【ポスターコンクールで入賞したい!】図工の先生が教える、中学年(3・4年生)のポスター作り |名前ペンでの縁取り・グラデーションなど、こなれるコツをご紹介!

夏休みの宿題として最近増えているのが「ポスター」を描くこと。また小学生でも中学年になると、工夫や少しだけ高度な技が要求される時も!標語も含めて、中学年のポスター作りのコツを小学校で図工の先生としても活動している、アートコミュニケーションクリエイターのはっとり先生に伺いました。

準備はしっかりと

ポスターを描く紙はしっかりとしたものを!

ポスターはコンクールによって用紙の指定サイズが異なり、学校で配布されるのではなくご家庭でご用意することが多いようです。

画用紙のサイズは、上の写真では青い丸で囲ったように「八つ切」や「四つ切」と日常生活で使うコピー用紙とは異なるサイズ体系になっています。また、サイズを間違えると素敵な作品ができてもコンテストに応募できなくなってしまいます。可能な限りポスターの作成要項を持参の上で街の文具店や画材店に足を運ぶと間違いありません。

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はっとり先生からのPoint!

ポスターはコンクールによって用紙の指定サイズが異なり、学校で配布されるのではなくご家庭でご用意することが多いようです。

その場合は気をつけたいのは画用紙のサイズ。普段使う用紙などはA4やB5というサイズ体系になっていますが、画用紙は「四つ切」「八つ切」と別のサイズ体系になっています。

募集要項を持参した上で街の文具店や画材店に足を運ぶと間違いありません。特に入賞を目指すのであれば文具店や画材店で厚手の画用紙を購入することをお勧めします。

どの画材で描く?

普段学校で使っていて、長期休みのために持ち帰ってきた画材で十分です。また、ご自宅にある画材をプラスして描くこともできますよ!

水彩絵の具(写真右下)

水彩絵の具も学校で使っているもので十分です。この時に不足している絵の具や道具がないかチェックしておくと、授業が再開になった時にも困りませんね。

今回使った絵の具は、写真の一番下の「サクラ マット水彩 マルチ」です。今回使ったものと同じものを使う場合には、このパッケージを目印に探してみてください。

鉛筆

下書きをするときは、普段使っている2Bの鉛筆で構いません。

ネームペン(写真上部)

縁をしっかりなぞり、ポスターらしい文字や図案を強調した内容にするために使います。授業に使っているものと同じで構いませんが、絵の具を塗った上からなぞり書きをした後のネームペンは、ペン先が少し荒れて描きづらくなりますので、ポスター作成後は、夏休み明けの授業のために新しいものを用意することをお勧めします。

マーカーペン(写真右上)

今回は、カラーペンとしてサクラクレパスの「ピグマックス」シリーズを使用しました。ガラス、プラスチック、金属、木にも書ける、不透明調インキを使ったマーカーペンです。他社からも同様の機能を持つマーカーペンが発売されていますのでご自宅にあるもので構いません。

ポスター作り 絵を描く前の大事なポイントは?

下書き前に「標語」を考えます

コンクールの応募要項をよく読み、自分が感じたみんなに伝えたいことを「標語」として考えます。思いついたものをメモ帳などにどんどん書き出してみましょう。

「下がき」を作ろう

標語の内容を伝えられるような絵を考えます。まずは手元にある紙やノートで良いので、どんな絵を描きたいか、どうしたらメッセージを伝えられるのか考えてみましょう。イメージを膨らませながら何枚か作成をしてみます(これを「ラフスケッチ」や「エスキース」と呼びます)。中学年になったら、できるだけ自分の言葉で考えられるように促してあげてください。

下がきのコツは「優しい力」

下書きは鉛筆で優しく書いていきます。力を入れると画用紙には筆跡が残ってしまうからです。また、鉛筆で書いた線を消すときも優しい力で消しゴムを使ってください。強く擦ると画用紙の表面が傷んでしまいます。

標語のフォント(書体)は少し工夫をしよう

まずは標語を鉛筆で大きめの字で描きます。その外側に肉付けをしていくように鉛筆で描いていきます。この時、インターネットなどで見つけた気に入ったフォントを参考にして文字を書いてみるのも良いでしょう。

ちょっとした工夫ですが、一部を何か物に見立ててみたり、飾りをつけたりと工夫をしてみると出来上がった時に目を引くポイントになりますよ。

ネームペンでなぞります

構図全体が決まったら、メインの絵と標語の外側の線をネームペンでなぞります。

すべてをなぞったら、最後に不要な線を消しゴムで消して下書きが完成です。この時も消しゴムで優しく消すのがポイントです!

絵の具の硬さを感覚的に!「ジュース」「ソース」「マヨネーズ」

水彩絵の具を使う場合には絵の具に水を入れるときの3つの硬さを覚えておくと便利です。それは「ジュース」「ソース」「マヨネーズ」。


マヨネーズは絵の具をチューブから出し、湿らせた筆で塗るくらいの硬さです。

ソースは絵の具に少量の水を加えて、なめらかになったくらいの硬さです。

ジュースはたくさん水を加えて、さらさらの液体の状態にしたものです。

たっぷり水を入れます。

この3種類の絵の具の硬さはこの後の説明に出てくるので覚えておきましょう。

背景を塗ろう

背景には柔らかい色を、少しずつ薄めて塗ってみよう

濃い色やはっきりした色を避けて、黄色や黄緑・薄い水色などの柔らかい色を選ぶと、ポスターのスローガンやメインの絵が映えます。絵の具の硬さは柔らかめのソースで始め、横に一列塗ったら水を加えて次の一列というように、横は同じ濃さ、下がっていくと色が薄く見えるように塗っていきます。最終的にジュースくらいの硬さを目標に大胆に水を使ってください。グラデーションが効いて上手に見えますよ。

今回は上部から黄色の絵の具を使って塗っていきました。

虹を塗り終えるとパッと華やかに!

絵の具を複数混ぜて色をつくる

今回は、人物の背景部分には虹色を塗りました。中学年になると、絵の具を混ぜて自分の色を作ることも授業で習います。そこで虹には、複数の絵の具を混ぜて作った色も使用しました。

上の写真では虹の一番上の色の赤を作っています。絵の具を絞り出したままの色ではなく、白と黄色を混ぜて朱色に近づけています。

絵の具を混ぜる時のポイントは、パレットに出すときの絵の具同士の距離です。近すぎないように気を付けてください。少し感覚をあけておくと、どの色を混ぜたかもわかりやすくなります。

そして、色を混ぜるとき、大切なのは絵の具を多めに作っておくことです。塗っている途中で足りなくなった場合には作り直すことになりますが、同じ色を作るのは難しいため、初めから多めに作っておくことでこのピンチを防げます。

標語や絵を塗ろう

メインとなる絵と標語に色をつけていきます。基本的には絵の具を使って塗っていくのがおすすめです。絵の具の硬さは「マヨネーズ塗り」です。下書きで描いたネームペンが見えなくなるくらいしっかりと絵の具を載せていきます。

このときに気をつけたいのは、先に塗った絵の具が乾いているかどうかです。乾いていない上から絵の具を塗ると紙の上で色が混ざってしまいます。今回は背景を上から塗ったので背景が乾いていた標語から塗ります。

ネームペンとの間を少し開けているのは、この後隙間に少し薄い色を塗って立体的にするためです。

応募要項に特別な決まりがなければ、使える画材を色々と使ってみてもOK!
標語を不透明なマーカーで塗ってみました。

また、細かなモチーフには色えんぴつを使ってみました。

虹色の背景も乾いたので、人物を塗っていきます。顔・体や洋服などもしっかりと色をつけていきます。この時点でネームペンの線が見えなくなっても大丈夫です。

仕上げ

絵の具で書いた部分が乾燥したことを確認したら、ネームペン、もしくは青・茶色・黒などしっかりと見える色で線をなぞり直します。

ポスターは、広く意見を訴えかけたりメッセージを伝えるために作ります。そのため、標語やモチーフをくっきりハッキリさせて「伝わる」ことが大切です。

仕上げに白いクレパスを使って立体感を出してみました。これもちょっとした技ですが、仕上がりに立体感が出ます。

完成

作品はこのように完成しました。標語が入るだけで、すぐに「ポスター」とわかります。黒で縁取りがあるため視認性もぐっと上がりました!

ポスターというと「絵の具で書かねば」という先入観が筆者にはありましたが、自宅にあるさまざまな画材を使うことができるということが目から鱗でした。これを参考に、素敵なポスターを作り上げてくださいね!

監修者

はっとりさおりさん
アートコミュニケーションクリエイター

東京都小学校図画工作専科として12年勤務。退職後、もっと幅広い人にアートを気軽に体験してもらいたいと思い「絵画造形教室アトリエFilo(フィーロ)」を設立。講師として現在も小学校で教える傍ら、3歳〜90歳まで幅広い年齢の方に向けて指導、講演会等を行う。

絵画造形教室アトリエFilo(フィーロ)
https://atorie-filo.studio.site

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文・構成/ふじいなおみ

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