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男の子に多く、5~11歳の約5~6%といわれるDCD
DCDの有病率は、5~11歳の約5~6%といわれています。男女比は2:1~7:1で男の子のほうが多いです。仮に有病率が5%とした場合、35人クラスだとそのうち1~2人はDCDに該当するという計算です。
またDCDは発達障害の一種ですが、ほかの発達障害と併存しているケースも多く、ASD(自閉スペクトラム症)の約80%に、AD/HD(注意欠如・多動症)の50%以上にDCDが認められたという報告もあります。環境因子や遺伝的要因があることもわかっています。
ボタンが苦手、転びやすい、学習用具が上手に使えない…
DCDの特性の一例を紹介します。次のことが、同じ年齢の子よりも苦手・目立つときは、DCDの可能性があります。
1)食事に時間がかかる。食べこぼしが多い
2)コップに飲み物を注ぐとこぼす・コップで飲むとこぼす
3)着替えに時間がかかる。ボタン・ファスナーに手間取る
4)ぶつかったり、転んだりすることが多い
5)お遊戯・ダンスについていけない
6)縄跳び・球技・鉄棒などが苦手
7)走り方が気になる
8)靴ひもが結べない
9)はさみ、じょうぎ、コンパス、楽器などの道具を上手に使えない
10)なぞり書きが苦手・マスから字がはみだす など
気になる様子があるときは、子ども自身に「もっと上手にできるようになりたいことはある?」と聞いてみましょう。子ども自身も、どうしたらいいかわからずに悩んでいるかもしれません。
診断がつくのは5歳ごろ。気になるときは健診で相談を
DCDの診断がつくのは5歳ごろからですが、子どもに気になる様子があるときは3歳児健診や5歳児健診で相談するといいでしょう。
健診以外では、児童精神科やお住まいの地域の保健所でも相談できます。そのときは「〇〇が苦手なんです」と言うよりも「〇〇が苦手ですが、DCDではないでしょうか?」と伝えてください。
DCDは、まだ日本では広く知られていません。そのため「DCD」というワードを使わないと見逃されるケースもあります。
苦手意識から、自己肯定感が低くなることも
DCDの課題は、子どもが運動などに苦手意識をもつようになり、新しいことにチャレンジするのを嫌がったり、「僕(私)は、どうせできないから…」とあきらめやすくなったりすることです。そのため遊びや活動のバリエーションが広がらない傾向があります。
また、自信をなくして自己肯定感が低くなる子もいるでしょう。友だちにからかわれたりして嫌な思いをすることもあります。DCDと診断された子の半数は、友だち関係がうまくいかないという報告もあります。そのためママ・パパの理解が必要です。
早期に療育などの専門機関につなげてサポートを
DCDは、早期に療育などの専門機関につなげるのが理想です。完治するものではありませんが、専門家からサポートを受けることで、時間はかかってもじょじょに苦手なことができるようなっていきます。また専門家のサポートを通して、苦手なことに取り組む術を子ども自身が身につけていきます。
園や小学校の先生と情報を共有
DCDは、前述の通り「はさみ、じょうぎ、コンパス、楽器などの道具を上手に使えない」「なぞり書きが苦手・マスから字がはみだす」といったほか、姿勢よく座っていられないなどもあり、園や小学校の先生から注意を受けやすい傾向があります。
先生のなかにはDCDという発達障害があることを知らない方もいます。
そのためママ・パパから子どもの特性について話し、先生と情報共有することが大切です。
園や小学校では、DCDの子どもが苦手とする活動が多いです。ママ・パパから先生に「うちの子、跳び箱はできていますか?」「着替えが遅くないですか?」など、子どもの様子を聞いて、先生に子どもの特性を伝えておきましょう。
後編では、家庭でできるサポートについて紹介しています
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取材・構成/麻生珠恵