【異次元の完成度】 正体不明の“段ボール職人”が伝授! 自由研究(工作)を傑作にする極意とは? 登録者数184万人超え、段クリエイターさんの原点に迫る

YouTubeチャンネルの登録者数が184万人を超える、謎のダンボール工作クリエーター「段クリエーター」さん。ダンボールを素材に本物を凌ぐ完成度の自動販売機やゲーム機、車などの制作工程を動画でアップしています。ダンボール工作はトライ&エラーの繰り返しと話す「段クリエーター」さんに自由研究のヒントなど、お話を伺いました。

小さい頃から、大人になった今も変わらない「工作」好き

ーー段ボール作品はいつ頃から作り始めたのでしょうか。小さい頃から工作やものづくりが好きだったのでしょうか?

段クリエーターさん(以下、段クリエーター):コロナ禍のときに時間に余裕があったことで「段クリエーター」を始めました。それまではYouTubeなどは特にやってなかったのですが、工作は小さな頃から好きで、図工の時間が一番好きな子どもでした。

ーー子どもの頃は、例えばどんなものを作られてたんでしょうか?

段クリエーター:お菓子の空き箱を使って車を作ったり、ちょっと大きな段ボールを使って自分が着られるよろいなんかも作りました。昔のプロレスラーのビッグバンベイダーが着ていた甲冑みたいなものとかですね。

※ビッグバンベイダー…新日本プロレスに在籍時、甲冑姿でリングインしていたプロレスラー。

ーー工作の中でも「ダンボール作品」を作り始めたきっかけは何かありますか?

段クリエーター:実は仕事でも段ボールの設計に長く関わっていました。例えばパソコンなどを送るときに、箱の中で製品が壊れないように固定する緩衝材など、さまざまな形の箱を作る設計です。その技術を活かして何かできないかな、と考えたのが今の活動につながっています。

ーー最初にYouTube用に作った作品はどんなものでしたか?  

段クリエーター:ゲームに登場する武器(刀)です。その頃「鬼滅の刃」の武器を作ったりするのが流行っていて、もっとリアルに作ったらいいんじゃないか、と思ってやってみたのですが当時ユーザーからの反応はあまりよくなくて…。今は電気系統のギミックなども入れて作っていますが、当時はそういった工夫もまだいれてなくて再生数もあまり伸びなかったです。

最初に作った「カムラノ鉄刀」

段クリエーター:YouTubeでは作っている工程を見せることがメインになるので、どう見せるかを結構考えながら作ることが重要なのだと思います。そうなると、やはりギミックがあった方が見ていて楽しいのかなと。それで、ジュースの自動販売機やゲーム機なども作るようになりました。

段クリエイターさんのYouTubeより。再生回数は驚異の1600万回越え。

ーー子どもの頃に初めて作った作品は覚えていますか?  

段クリエーター:初めてかどうかわかりませんが、昔の写真を見たら、オロナミンCの箱を体にして、頭は三角の、ロボットみたいなものを着ている自分が写っていました。幼稚園ぐらいの頃だと思うんですけど、そんなに小さかったんだなと(笑)。

ーーその頃から段ボールが好きだったんですね。

段クリエーター:今もつい何でも「段ボールで作ることはできないかな」という視点で、モノを見てしまいます。

ダンボール工作は “トライ&エラー” を繰り返してこそできるもの

ーー制作する中で「うまくいかないな」と悩んだ経験はありますか?   特に大変だったことは?

段クリエーター:うまくいかないときは何度もあります。ギミックのある作品の場合、設計ではうまく行く予定でも実物を作って試してみるといろいろなトラブルがあって、うまくいかない場合が多いです。

自動販売機の転がる仕組み。段クリエイターさんのYouTubeより。

段クリエーター:例えばジュースの自動販売機の場合、ボタンを押して缶が転がるような仕組みなんですが、スムーズに転がすために坂道の角度を調整したりするのは、何度も日々試しながらやって3日くらいかかりました。全体としては制作に1か月くらいはかかりましたね。試行錯誤して、結局ダメでゼロからやり直し、ということもあります。

ーー設計図は必ず作るんですか? 書き方はどこかで学んだのでしょうか?

段クリエーター:だいたい設計図は作ります。電気で動いているものを段ボールに置き換えるとなると全然違うので、作るものを見てどうやったら動かせるかなと構造を考えながら、自分の知識に本やネットなどで調べたことを加えて設計します。完全に独学です。

エアホッケーを作ったときの設計図

段クリエーター:図面上は成立しても実際はその通りに動かないことも多いですが、段ボールって、鉄や木と違ってすぐ作って試せるじゃないですか。まず小さなサイズで簡単に作って試してみる。それをたくさんつなげたり、大きくしたりしていくんです。とりあえずやってみて、トライアンドエラーを繰り返す感じですね。

完成したときの達成感はたまらない!

ーー作品作りの楽しいところはどんなところですか?

段クリエーター:作っているときはどれも大変ですが、やはり完成したときや、ギミックがうまくいったときは、その大変さも忘れてしまうほど楽しくてうれしいです。

ーーうまくいかなくて諦めたものもあったりしますか?

段クリエーター:いくつかはあると思います。全然うまくいかなくて、そのままになってしまったものも…。でも、大変だったことは忘れてしまいますね(笑)。

ーー何を作るかは、どんな風に決めてますか?

段クリエーター:自分が作りたいものを自由に作るっていうのが基本で、特にルールはないです。「段クリエーター」は数人のユニットなんですが、ガンダムが好きな人はガンダム、僕は乗り物とか。最近はだいたい作っちゃったなとか思って、ゲームセンターにネタ探しに行ったりもしています。

段ボールでゲームセンターを作ったとき。段クリエイターさんYouTubeより。

ーーダンボールの選び方のポイントはありますか?

段クリエーター:段ボールの厚みは一番薄いもので1ミリ、厚いものだと15ミリとなっていて、僕は作品の強度に応じて厚みを選定しています。普段の生活で届く荷物が入っているのはだいたい3~8ミリくらい。15ミリだと100キロ以上のものを運ぶような特殊強化ダンボールになります。

ーー道具は主に何を使ってますか?

段クリエーター:基本はカッター、ボンド、両面テープです。他に電気系統のギミックなどが入ると工具などを10個くらいは使います。

ーーこれまで作ったダンボール作品で、一番思い入れのある作品はどれですか?

段クリエーター:ジュースの自動販売機ですかね。作品の精度としてもですが、「段クリエーター」で初期にヒットした作品でもあるので。

今年メーカーとコラボして「当たり付自動販売機」と「カプセル販売機」の工作キットを発売したのですが、それも「当たり付自動販売機」の方が人気が高いみたいです。

段クリエイターさんがコラボで設計・監修をした「当たり付自動販売機」と「カプセル販売機」

販売詳細は>>こちら

工作は考えるよりも、まずは手を動かして作ってみることが大事

――夏休みの自由研究や工作に悩む子どもたちや保護者の方に向けて、アドバイスをいただきたいです。まず、何を作るかという「テーマ探し」でつまずいてしまう子も多いのですが、何かヒントはありますか?

【自由研究のヒント①】「自分が好きなもの、ほしいなと思うものを、まず作ってみよう」

段クリエイター: いろんなモノを見て「おもしろいな」とか、「なんか変だな」というものを見つけることからやってみると良いかもしれません。全くないものを1から作るのは難しいですが、自分が好きなものや興味があるもの、ゲームや本に出てきてなんかこれ買えないけどほしいなというものでもいいと思います。

【自由研究のヒント②】「頭で考えすぎず、まず手を動かしてみる」

――作りたいものが決まっても、どうやって手をつけていいかわからず、止まってしまうこともあります。

段クリエイター:とりあえずダメでもいいから、手を動かして作ってみることが大事。頭の中でずっと考えているよりも、作ってみてダメなら直す方が早い。その工程が、ひらめきのきっかけになるかなとも思います。勉強と違って、工作に決まった答えはありませんから。

――なるほど。具体的な進め方として、おすすめのステップはありますか?

段クリエイターいきなり完璧なもの、複雑なものを作ろうとしないことですね。まずは簡単なところから、ステップを踏んでいくのがいいと思います。

まずは作りたいものの全体の形・外側をきれいに作ってみる。次のステップとしてそこに何か動きをプラスするって考えた方がゴールは早いです。

段クリエイターさんが作った回転寿司装置。Xより

1. まずは「外側(見た目)」から作ってみる

段クリエイター: いきなり動く仕掛けから考えると、難しくて挫折してしまいがちです。まずは作りたいものの全体の形・外側をきれいに作ってみる。外側ができないのに、中の仕組みは考えられませんから。

2. 全体ができてから「動き」を考える

段クリエイター: 形ができてから、「じゃあ、どこか動くようにしてみよう」と次のステップとしてそこに何か動きをプラスする方法を考えます。こだわりたい部分が最初にあると、そこばかりに集中してしまって、結局全体が完成しない、ということにもなりかねません。

3. 動きは「簡単なもの」から試してみる

段クリエイター: 電気などを使わなくても、例えば「回転する」動きは取り入れやすいと思います。車を作るとしたら、竹串などを軸にしてタイヤを回してみるとか。まずはそういった簡単な動きから挑戦してみると、達成感も得やすいですし、次の工夫につながると思います。

段クリエイターさんが作った車。YouTubeより

段クリエイター:僕自身も、子どもの頃はまず車の形を作って、その次に「タイヤが動くようにしたいな」と考えて、ステップアップさせていました。

【自由研究のヒント③】「本物っぽさ」へのこだわりが、作品を輝かせる

――段クリエイターさんの作品は、段ボール以外の素材も効果的に使われていて、それがリアルさを高めていますよね。

段クリエイター: そうですね。動画としての見せ方も考えて、いろいろな道具や素材を使うようにしています。もちろん段ボールとカッターだけでもすごいものは作れますが、例えば自動販売機のボタン部分を光らせたり、ジュースが出てくる部分に違う素材を使ったりと、少しプラスアルファの要素を加えるだけで、ぐっとクオリティが上がって見えます。

自分が納得できるまでやりきることが重要

――最後に、この記事を読んでいる子どもたち、保護者の皆さんへメッセージをお願いします。

段クリエーター:段ボールを使って何かをつくることは、クリエイターへの第一歩です。完成したときの喜びは、作った人でなければわからないもの。うまくいかなくても大丈夫! やり直せば、もっといいアイデアが生まれるかもしれません。勉強と違って答えはないけれども、自分が納得できるまでやりきることが重要だと思います。

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お話を伺ったのは

DanCreator(段クリエーター)

段ボールを使って実物大の車や自動販売機、ロボットなど欲しいモノ、作りたいモノをつくる、謎のダンボール工作クリエーター。作品の完成度が凄いと評判のYouTubeチャンネルの登録者数は184万人(2025年7月現在)で、人気の動画は3000万回を越える。

X:@dancreator_tw
Instagram:@dancreator_insta
YouTube:@dancreator

取材・文/苗代みほ

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