目次
身近にあった“発酵食品”がきっかけに
ーー発酵に興味を持ったきっかけは?
長女(以下いおさん):ひいおばあちゃんが味噌を手作りしていて、それを小さい頃から見て育ったという環境が影響していると思います。発酵食品が身近にあったので、珍しいことをしているという感覚はなかったです。小学5年生のときに自由研究で何をしようか考えて、「納豆をいろんな葉っぱで作ってみよう」と思いついて。そこからいろいろな発酵実験がスタートした感じがします。
次女(以下こすもさん):私はお姉ちゃんがいろんなものを作っていたので、自分もやってみたくなりました。今は、いろんな味噌を作るのにハマっていて、豆の種類を変えてみたり、見たこともない味噌を作るのにチャレンジしたりしています。

長男(以下みろくさん):僕もお姉ちゃんたちが発酵食品を作っているのを見て、やってみたくなりました。特に、菌の中でも強いといわれている“納豆菌”が好きです! 納豆菌は世界中にいる菌の中でも最強に近い菌だと思います! 胃酸でも溶けないし、熱にも強いから、炒めたり温めたりしても生きているところがすごい!
“推し菌”を見つけてさらに楽しく
- ーー3人ともいろいろな発酵に挑戦していますね。発酵の魅力ってどんなところ?
いおさん:発酵と腐敗の違いって、体にいいものなのか、害があるものなのか。同じような過程を経ているのに、食べられるものと、食べると危険なものになってしまうもの…。そして、長期保存ができるというところも不思議だし、面白いなと思います。
特に私は乳酸菌に興味があるんですが、乳酸菌ってわりとどこにでもいるんです。だから、よく道端で葉っぱを摘んでいます(笑)。葉っぱの裏側には乳酸菌が付いていたりするので、それを集めて発酵食品を作ったり。納豆も、桜の葉っぱで作ったとき、とってもおいしくできました。

こすもさん:食べ物って発酵するだけで栄養価が何倍も高くなったり、味もめちゃくちゃおいしくなったりするんです。それってすごいことですよね!
私は将来料理人になりたいと思っているので、麹調味料を使ったごはんを作って、たくさんの人に食べてもらって健康になってもらえたらいいなと思っています。
みろくさん:僕はさっきも言ったとおり納豆菌が好きで。納豆を食べた部屋で発酵食品を作ろうとすると、空気中に納豆菌がいるから納豆になっちゃうんです。お姉ちゃんが前に納豆を食べた後に味噌を作ったら、納豆味噌になってしまってびっくりしました!

『サンドウィッチマンと芦田愛菜の博士ちゃん』出演後、さらに研究欲が!
ーーテレビ出演をされて何か変わったことはありますか?
いおさん:みろくが昨年の夏に「発酵コンクール」と「超自由研究コンクール」の2つで入賞したんです。そのことを『博士ちゃん』の番組の方が見つけてくださり、連絡をいただきました。
最初はみろくだけテレビに出ようという話でした。でも、私もこすもも同じコンクールでちょっと前に金賞取っていたり、家に変わった味噌があるという話をしたら、じゃあ姉弟で…という流れになってみんなで出ることになったんです。

いおさん:そのときに、他にも面白い発酵食品があるかなどいろいろ聞かれまして、さらに発酵について調べたりチャレンジしたりするようになったと感じます。そして、せっかく調べたり試したりしたので、それをSNSを使って発信してみようかなと思い、Instagramなどを始めました。
偶然の出来事が成功につながる場合も。失敗は次に生かす!
ーー今までの経験で、これは面白かったなと思うことはなんですか?
いおさん:家でヨーグルトを作っていたとき、通常より長めに、3日間くらい発酵させてしまったことがありました。「大丈夫かな?」と思って開けてみたところ、ヨーグルトの表面がふわふわしていて、見た目が麹みたいになりました。ヨーグルトもこんなふうになるんだなと不思議で面白かったです!
こすもさん:さっき弟が話をした、味噌を作ろうとしていたら、納豆味噌になった体験です。ふたを開けてみたら糸を引いたので「え? なんで?」って思ったけど、食べてみたらおいしかったです。それで、あえて納豆入りの味噌も作りました! ネバネバする味噌も新鮮ですよ。

みろくさん:僕はいろんな葉っぱで納豆を作る実験をしています。今は、猫じゃらしの葉っぱを使って作っています。これを成功させたいです!

瓶が割れる事件も
- ーー逆に、今までで印象に残っている失敗は?
いおさん:天然の乳酸菌と酵母で作る微炭酸の『ジンジャーバグ』という飲み物があるんですけど、それをちょっとオシャレな茶色の瓶で作っていたときのことです。瓶に直射日光が当たってしまっていて、菌が元気になり過ぎて発酵ガスが抜けきらず、瓶が突然粉々に割れたんです。もう爆弾! 幸い誰もけがはしなかったんですが、とっても驚きました。みなさんも発酵食品を作る際は十分注意してほしいと思います。

いおさん:その失敗から、『ジンジャーバグ』が発酵するときに出る二酸化炭素を集めて、水草を育てる実験を思いつきました。二酸化炭素は水に溶けやすく、水草はその溶けた二酸化炭素を吸収して酸素を作ってくれるので、地球環境にもいいことなのでは? と思っています。まだ実験中なので、成功すればいいなと思っています。

社会の役に立ちたい!
ーーこれから発酵の研究をどんなことに生かしていきたいですか?
みろくさん:僕は納豆が大好きで、“納豆のラップ曲”も作って配信しています。たくさんの人に“納豆ラップ”を聴いてもらって、納豆好きな人が増えたらいいなと思っています。
こすもさん:私は発酵食品に含まれるGABAがストレスに効果的だと聞いているので、その研究をしたいです。GABAでストレスが軽減されれば、みんなが幸せになりますよね。そして争いごとも減って、戦争がなくなったらいいなと思っています。
いおさん:私は食べ物が発酵するところをずっと観察してきたのですが、まだこの目で乳酸菌を見たことがありません。乳酸菌などの菌を目で見るためには、電子顕微鏡が必要なので、大学に進学していろいろな乳酸菌を観察したいです。菌の中にはものすごく美しいものがあるんです。小学生の頃は、図鑑NEOの『植物』の中に出てくる菌のページを何度も見ていました。

親子で楽しんだ思い出がきっかけに
いおさん:発酵食品を作ることはそんなに難しいことではないし、作った後においしいものが食べられて、健康にもいいので、ぜひチャレンジしてほしいと思っています。玉ねぎ麹や、いろいろな野菜を入れたコンソメ麹もおいしいし、市販のヨーグルトメーカーがあれば、さらに作るのは簡単です。

いおさん:私が発酵食品にハマったのも、子どもの頃から母と一緒に料理したり、味噌を作ったりしていた経験があったからだと思っています。自分が楽しいな、好きだな、と思うことをどんどん突き詰めて失敗も楽しんでほしいと思います。
夏休みの自由研究も親子で楽しめることが一番だと思います。私たちも、自由研究コンクールにこれからも参加していこうと思っています。楽しい親子の思い出を、そのまま形に残してみてください。

図鑑・自由研究コンクールの作品募集中!
取材・文/鬼石有紀 撮影/小倉雄一郎
