【10DANCE】竹内涼真×町田啓太──妖艶な完成度の高いダンスに釘づけ! 視線を合わせ、相手を想いながら踊る二人の関係から目が離せない

2025年12月18日配信開始。Netflix実写映画『10DANCE』は、ラテン派・鈴木(竹内涼真)とスタンダード派・杉木(町田啓太)が10種の社交ダンスの競技〈10ダンス〉を通して惹かれ合う官能と競技の物語。Wキャストの二人のダンスシーンが圧巻!見ている人を釘付けにする作品。この冬のオススメです!

原作は男性二人の競技ダンスに懸ける想いを描き「このBLがやばい! 2019」を受賞

男性二人のダンスに懸ける情熱と闘志、苦悩、嫉妬、愛を描いた井上佐藤による大ヒット漫画で、競技ダンス漫画の先駆け的作品として人気を博しているだけでなく、「このBLがやばい! 2019」を受賞した「10DANCE」(講談社「ヤングマガジン」連載)が原作となった本作。

ラテン部門の日本チャンピオン鈴木信也(竹内涼真)と、スタンダード部門の日本チャンピオンで世界2位の杉木信也(町田啓太)の、ダンスのジャンルでは本来は決して交わらない2人が、“スズキとスギキ”という名前の一文字違いをきっかけに互いを強く意識していきます。ラテンとスタンダード(ボールルーム)という得意分野を互いに教えながら、過酷な「10ダンス」(ラテン5種目+スタンダード5種目)での頂点を目指します。

練習と競技を通じてぶつかりあい次第に惹かれあう二人を、ブラックプールのワールドチャンピオンシップへの出場や、互いの心の距離が問われる大会が待ち受けます。ダンスを通して近づく二人の体の距離が、やがて心の距離へと変わっていくストーリーです。

二人の体を密着させ1つになるからわかる、互いの気持ち

<以下、ネタバレを含みます>

鈴木信也と杉木信也は正反対の感性の持ち主ですが、ダンスに対する想いは互いにストイックを極めています。二人はダンスへのさまざまなアプローチを伝えますが、初めはやり方の違う指導を理解できず反発することも。しかし、相手のダンスに向けた姿勢に自分にはないものを見ると、次第にお互いを認めていくように。そして憧れ、さらにより深く想いを募らせていきます。二人の感情が対極にあればあるほど惹かれあい、その想いをそれぞれが自らのダンスの高みへと昇華していくのです。

二人の表情の変化に注目

いつも表情を崩さず気持ちを見せない杉木。「ダンスは愛を持って完成する」と指導されながら杉木のダンスには愛がないために、「死神のような顔をしている」と言われていました。それほど誰にも心を許さなかった杉木でしたが、自由に、心のあるがままをそのまま表現する鈴木に、密かに憧れていました。

一方の鈴木は、はじめこそ杉木に対し反発するような態度を見せていましたが、もともと鈴木も杉木に憧れを抱いていました。杉木との時間を重ねることで揺れ動く自分の気持ちを認め、杉木への想いを素直に受け入れていきます。杉木に体を委ね、美しく踊らされる鈴木の表情はかわいらしく喜びに満ちています。

圧巻のダンスシーンは作品最高の魅せ場!

この作品ではさまざまな想いを投影したダンスシーンがありますが、どのシーンでも言えることは、鈴木×田嶋アキ(土居志央梨)、杉木×矢上房子(石井杏奈)、そして鈴木×杉木の男性二人の、どのペアのダンスもそれぞれが美しく素晴らしいということです。

スタンダードダンスを踊る杉木と矢上ペアの、体をピタリとつけた安定感のある優雅なダンスが醸成する世界観は、すでに王者の貫禄を漂わせます。また、鈴木とパートナーである田嶋アキとのリズミカルで情熱的なラテンダンスは、会場全体を熱くするパワーを感じさせます。そしてラテンが自身の性格や人生そのものだと物語る鈴木と、ダンスに愛を感じられないと言われていた杉木のペアは、二人のダンスが新しく生まれることで互いに足りなかった何かを手に入れ、新たなステージへと進む様子が描かれます。

鈴木と杉木の、高身長の男性同士が同等の力で踊ることで生まれるシルエットのマッチングには、まず息をのみます。そして二人の長い脚がシンクロするダイナミックなステップはとても美しく圧巻の一言。このままずっと観ていたいと思わせるほどです。二人が手を重ね、視線を合わせるシーンでは、相手を思う気持ちが映像からあふれています。

大友啓史監督は「愛に関する器を問う」作品にしたいと語っており、ダンスを通して心の距離がじわじわと縮まる過程は、観ている人の胸を確実に揺さぶります。大会シーンの緊張感と、二人のふとした仕草の色気や目を合わせたときの隠しきれない気持ちのにじみ出た表情、その振れ幅が、この映画をただのダンス映画で終わらせず、愛の物語へと作り上げています。

主演二人が“体ごと”取り組んだ役作り

竹内涼真はこれまでドラマや映画で幅広く活躍してきましたが、本作ではラテンという新しい身体表現に初挑戦しています。社交ダンス未経験ながらも、学生時代のサッカーで鍛えた体幹を武器に、約半年〜1年の集中トレーニングで「体の内側から湧き上がるセクシーさ」を身につけました。画面越しに伝わるそのうねりは、ただの“形”ではなく内面から出る感情そのものです。

町田啓太は高校からダンス経験があり、演技力とダンスを両立させる力に長けています。杉木という「帝王」を体現するため、ブラックプールでの空気感を吸収し、スタンダード特有の立ち方や“帝王ホールド”を丁寧に作り上げました。

二人ともパートナーの土居志央梨、石井杏奈と繰り返し練習を重ね、短期間でペアとしての息を作っています。努力の積み重ねが、映像の説得力に直結しているのがわかります。


社交ダンス未経験から役を作り上げた竹内、帝王の威厳を研ぎ澄ませた町田、そしてプロの監修と美術チームによる徹底した演出――。それらが大友監督の手により美しくまとめあげられた珠玉の一作です。観れば画面の熱と美しさに吸い込まれ、もう一度観たくなる。年末の配信、これを見逃す手はありません。

Netflix映画『10DANCE』 独占配信中

文・構成/HugKum編集部

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