《小学生×塾》5月に見直したいポイントとは? 4・5・6年生の注意点と、見逃せない3つのサイン【中学受験専門家・ユウシンさんに聞く】

2月にスタートした塾の新学年。少し落ち着いてきた5月頃、「思っていたより大変かもしれない」と感じるご家庭も多いのではないでしょうか。4年生は算数の考え方が変わり、戸惑いやすい時期。5年生は宿題量や通塾頻度が増え、生活リズムを見直す必要が出てきます。6年生は志望校を意識し始め、焦りを感じることもあるかもしれません。そこで今回、多くの受験生を指導してきたユウシンさんに、5月頃に起こりやすい変化や注意したいポイントを学年別にうかがいました。

算数が変わる4年生、ここで焦らない子が伸びていく

――4年生は受験への入口ともいわれますが、どんな力を意識して伸ばしたい時期でしょうか。

ユウシンさん:4年生はやはり算数ですね。植木算やつるかめ算などの特殊算が少しずつ入ってきます。それまで一生懸命やってきた計算とはガラリと変わり、抽象的な理解が求められるので、そこで焦らずに、なんでそうなるのか、時間をかけて理解してほしいです。解き方を暗記しただけでは、その場は良くても、応用問題に対応できなくなってしまいます。

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――特殊算が分からなくて算数が苦手になるお子さんも多いですよね。

ユウシンさん:そうですね。だから、問題を難しいと感じるようになったら、しっかりと考える習慣をつけた方がいいです。まだ4年生。焦らずに、基本問題だけでもいいので、時間をかけて理解することが必要だと思います。

5年生は「頑張り方」をアップデートする時期

――難易度、分量、通塾頻度が上がる5年生。「急に回らなくなった」と感じるご家庭も多いようです。

ユウシンさん:宿題がこなせない、やり方が合っていないなど消化不良がある場合は、スケジュールを見直す大事なタイミングだと思います。

――5年生になると、習い事との両立に悩むご家庭も増えますが、どのように考えるとよいでしょうか。

ユウシンさん:5年生は習い事と塾とのバランスを考え始める時期ですが、やり方次第で両立は可能です。この時期から習い事を全部なしにするのももったいないので、効率的なやり方やスケジュールの見直しをしてみてはいかがでしょうか。勉強の質と量を保てるやり方はいくつもあると思います。

――1日のスケジュールを見直してみると、「ここに無駄があったんじゃないか」など見直せそうですよね。ありがちなロスタイムはどこが多いのでしょうか。

ユウシンさん:一番多いのが、勉強に取りかかるまでの時間です。その場合、学校から帰ってきた4時半ごろに個別指導や家庭教師を入れるというのもありだと思います。大人がジムを習慣化するのは大変ですが、パーソナルトレーナーを予約して、ジムに行ったら一緒にやってくれると楽じゃないですか(笑)。それと一緒ですよね。

6年生の夏までに学校見学を

――いよいよ6年生。志望校も絞られ始め、焦ってくるご家庭も多いかと思います。

ユウシンさん:夏休み前までは、新出単元を勉強していると思うので、基本的には5年生の延長で毎週のことをきちんとやるのが前提です。まずは基礎をしっかり定着させましょう

僕が6年生のこの時期にやってほしいのは学校見学です。夏以降はお子さんが忙しくなるので、ぜひこの一学期の間に、いろんな学校の説明会にご本人と一緒に行ってみてください。現実的な目線も含めて、現状の偏差値の±5ぐらいの学校を見ていただきたいですね。

実際にその学校に通っている生徒の話を聞く機会も。

スタートダッシュはうまくいかなくて当たり前

――いわゆる「スタートダッシュ」がうまくいくかどうかは、その学年の流れに影響するものなのでしょうか。

ユウシンさん:スタートダッシュはうまくいかないものだと思っておいたほうがいいと思います(笑)。学校生活だけでも変化が多くて大変なので、最初からすべてが順調に進むことのほうが少ないです。

――学校でもクラス替えがあったり、新しい友達ができたり、担任の先生が変わったりと、環境の変化が大きい時期ですよね。

ユウシンさん:そうなんです。正直、この時期は塾のことだけに集中できる状況ではないんですよね。この時期に一番大事なのは、新しい学年の生活に慣れること。ここから少しずつ回り始めればいいくらいに構えて問題ありません。

4~5月は学校での変化が大きい時期。まずは見守って。

見逃せない! 要注意の「3つのサイン」

――そう言っていただけると安心する保護者が多いと思います。では、この時期、成績はいったん置いておいて、「このサインが出ていたら少し注意した方がよい」というポイントはありますか。

ユウシンさん:まず、うそをつくようになることですね。たとえば、テスト結果を隠したり、本当はやっていない宿題を「やった」と言ったりするケースです。こうした行動が見られるときは、何かしらの不安やプレッシャーを感じている可能性があります。本当の原因を探ってあげることが大事だと思います。

2つ目は、勉強や塾そのものを強く嫌がるようになることです。「塾に行きたくない」「もう勉強したくない」という状態になってしまうと、少し無理が出てきているかもしれません。その場合は、一度立ち止まって休塾を検討したり、塾を変えたり、受験の進め方自体を見直したりすることも選択肢になると思います。

3つ目は、勉強方法がうまく機能していない可能性があることです。たとえば、解き直しをしているつもりでも、実際には理解につながっていないケースはよくあります。やっているように見えても、学習の効果が出にくい方法になってしまっていることもあるんですね。

わが子の様子をよく見ておきましょう。

――子どもにうそをつかれると、ショックを受けたり、つい怒ってしまったりしそうです。

ユウシンさん:うそをつくときは、必ず何かしら理由があるんですよね。もちろんうそ自体はよくないことではあるんですが、冷静に考えてみると、うそをつかざるを得ない状況を大人が作ってしまっているケースも意外と多いと思っています。

子どもも、最初からうそをつきたくてついているわけではありません。「正直に言ったら怒られるかもしれない」「がっかりされるかもしれない」と感じると、つい隠したくなってしまうことがあります。

――親はどう接してあげるのがよいでしょうか。

ユウシンさん:「うそをつかないで」と伝えることももちろん大切なのですが、それ以上に、「なぜうそをつく必要があったのかな」と一度立ち止まって考えてみることも大切だと思います。もしかすると、保護者の言葉や態度が無意識のうちにプレッシャーになっていた可能性もありますし、学校や塾での不安が影響している場合もあります。

関わり方を振り返って、「少しプレッシャーをかけすぎていたかもしれない」と感じたら、そこから関係を調整していけばいいと思います。多くの場合、取り返しがつかない状況になることはほとんどありません。親子の関係は、いくらでも作り直していけるものです。

親の「よかれ」がかえって逆効果に!?

親が「やりすぎ」「焦りすぎ」「干渉しすぎ」のケースも一定数ある、とユウシンさん。

――親がよかれと思ってやっていることでも、子どもにとっては逆効果になってしまうケースはありますか。

ユウシンさん:何事も極端になりすぎるのはよくないですね。たとえばスケジュールをすべて親が決めて、細かく指示を出し続けるような過干渉は、自主性が育ちにくくなってしまいます。一方で、「自主性が大事だから」とすべてを子ども任せにしてしまうのも難しい。

暗記の方法でも、ノートにたくさん書く方法もあれば、声に出して覚える方法、赤シートを使う方法など、やり方はいろいろありますよね。保護者が方向性を示しつつ、「どれがやりやすそう?」と、最終的には子どもに選ばせる。適度に伴走していく関わり方がよいと思います。

――そうすると、子ども自身も「自分で決めた」と感じられてよさそうですね。

ユウシンさん:そうですね。ただ一つ注意したいのは、自分で決めたことでも、うまくいかないことは普通にあるということです。するとつい「やるって言ったよね」と言いたくなってしまうのですが、小学生なので、そのときの気分や体力によって難しいこともあります。

そんなときは、「今回は思ったより大変だったね」「少し予定を調整してみようか」と寄り添ってあげてください。できなかった理由を一緒に考えて、次にどうするかを話し合う。そうした関わり方のほうが、結果的に続けやすくなると思います。

――最後に、この時期を過ごす保護者の方へ、心が軽くなるアドバイスをいただけますか。

ユウシンさん:多くのご家庭を見ていると、「やりすぎ」「焦りすぎ」「干渉しすぎ」になってしまうケースは少なくありません。少し力を抜いて、関わり方を調整していくことも大切だと思います。

最初からその子にぴったり合うやり方を見つけるのは難しいものです。やってみて、少しやりすぎたと思ったら調整する、その繰り返しで大丈夫です。最初は100の力で頑張ろうとしても、少し負担が大きいと感じたら80くらいに調整していけばいい。試行錯誤しながら、その子に合ったペースを見つけていくことが大切だと思います。

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お話を聞いたのは

ユウシン 中学受験YouTuber

YouTubeチャンネル「ホンネで中学受験」、個別指導塾Growy代表。自身も中学受験を体験し、大学進学後、大手集団塾講師や家庭教師として中学受験業界に入る。チャンネルでは学習法、学校紹介、塾紹介などの発信をし、登録者数3万人。著書に『SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー 中学受験4大塾でがんばるわが子の合格サポート戦略』(実務教育出版)がある。

この記事を書いたのは

黒澤真紀 ライター

愛媛県出身。大学時代まで自然豊かな愛媛で過ごし、都内の学習塾に勤務した後、2011年よりフリーライターへ。教育分野を中心に、医療やライフスタイルなどのテーマで執筆しています。息子たちが小学生の時に大学院を受験し、2019年、お茶の水女子大学大学院修士課程修了(社会科学修士)。子育てもひと段落。最近、俳句を始めました。

写真/五十嵐美弥

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