【中学入試2023算数速報】難関校の問題にはどんな傾向が?算数のプロ・川島 慶さんの分析

首都圏の中学受験が行われる2月1日〜3日、難関校の算数問題が出揃うと同時に、毎年自ら問題を解き、「中学受験算数 良問大賞」を発信するワンダーファイ代表の川島慶さん。今年の速報と傾向や、算数な苦手な子どもへの対策まで、お話を伺いました。

川島さんは150ヶ国200万人以上のユーザーが使う思考力アプリ「シンクシンク」やSTEAM領域の通信教育「ワンダーボックス」など、子どもの「知的なわくわく」を引き出すコンテンツを作る会社、ワンダーファイの代表。
自称・算数オタクであり、算数オリンピックの問題制作や、花まる学習会・高濱正伸さんとの共著でベストセラーとなっている「なぞぺーシリーズ」にも関わっています。

中学受験算数の問題を解くことは、東京大学在学中から、趣味でずっと行なっていたそう。そんな川島さんに、まずは近年の中学受験算数の傾向についてお話しいただきました。

奇抜な難問が減って、バランスが良くなったため、多くの受験生にチャンスが!

2020年からは毎年、「良問大賞」として各校の素晴らしかった問題を取り上げ、全体の傾向も発信されていますが、今年はどうでしたか?

川島:思考力を問う問題が多い傾向は少し前からあったのですが、今年特に感じたのは「取り組みやすい問題」が増えたことです。各学校は60分の試験の中で生徒を正当に理解、評価しなければならないので、基本的な知識をもとに試行錯誤すれば自然に解ける、つまり正当な厳しさを伴った問題が目立ちました。

かといって問題が難しくなくなったということでは全くなく、丸暗記する学習方法では対応しきれないけれど、本質的に理解しているかどうかを問われているということです。奇をてらった問題や、重箱の隅をつつくような難しさの問題は、グッと減りましたね。

ワンダーファイ代表の川島慶さん

基礎をしっかり学んだ子が報われるという意味で、とてもバランスが良くなっているなというのが印象です。

とはいえ、難関高はまだまだ独自色の強い、難問を出してきますけどね(笑)。

また、母校の栄光学園が 10年以上前から繰り返し出題し続けていたのですが、正解が複数あり、全ての正解を答えさせるとういうタイプの問題に他校も追随し、増えてきました。これは、受験生の理解度をはかるうえでとてもいい出題方法だなと思って見ています。

グランプリは「全体バランスも非常に良かった」聖光学院 大問5

毎年、ワンダーファイから発表される「良問大賞」には、業界からの反応も大きいとか。今年のグランプリは受験生が取り組みやすい問題構成だった聖光学院。特に大問5は川島さんも「非常に面白い問題だし、激しく共感する」と評していた時針、分針、秒針の3つを考える問題が選ばれました。

旬な話題は算数にも!サッカーがテーマの武蔵中学校 大問4

また、時事問題が社会だけでなく算数にも影響する好例として、武蔵中学校のサッカーの問題も「身近な話題賞」として取り上げられました。W杯があった年にサッカーのシュート練習の問題を出題することも粋ですし、「子ども同士の遊びにしろ、課外活動にしろ、多くの子どもが何らかの形で取り組んできたテーマの核心に迫る問題です」と川島さんも高く評価。

「立体の切断」は毎年必ず出る!中でも四天王寺中学校の問題が秀逸

また、川島さんが「毎年多くの学校で頻出するため必ず対策が必要」と言うのが「立体の切断」。その中でも、試験の限られた時間で切断に対する正しい理解を問う絶妙な出題だったのが四天王寺中学校のこの問題。
苦手意識のある小学生も多い立体の切断も、工夫次第で空間認識の理解ができるといいます。

開成中学校からは場合の数の大問5が良問に

男子の御三家・開成中学校からは「場合の数分野賞」でこちらの問題がランクイン。「場合の数の本質に迫った問題です。(1)を間違えると続く残りの問題全て間違える構造でしたので、受験生にとって⼼理的に酷だったとは思いますが…」。

とはいえ、我が子は算数が苦手…どうやって解消する?

ここまで、中学受験算数の問題について解説いただきました。とはいえ「うちの子はそもそもこんなレベルの問題なんて解けない!算数の苦手はどう解消したらいいの?」とお悩みの親御さんもいらっしゃると思います。それについてのアドバイスもいただきました。

算数に苦手意識がある子はまず、計算の工夫を

川島:多くの小学生に算数を教えてきましたが、算数が苦手な子の多くは計算でつまずくし、大きなエネルギーを計算に使ってしまっていることに気づきました。計算に関しては「とにかく反復が大事」と言う意見もありますが、自分はそうは思いません。野球の素振りも、間違ったフォームで100回繰り返しても意味がないのと同様に、計算も「工夫する」とか「工夫したくなる気持ちで解く」と言う姿勢が大事だなと思うんです。

計算の工夫がとことん身に付く「究極の計算」アプリ

工夫のコツは私が開発に関わった究極の計算アプリにも詰め込みましたが、これをマスターすることで、煩雑な計算に時間をかけることに対して、戦略的に工夫するという選択肢が生まれますし、その結果「ラクに、正確に、早くできる」が叶うんです。

空間認識こそ、デジタルテクノロジーを使って

また、多くの小学生がつまずく単元に割合や立体の切断、速度など抽象的なものがあります。その中でも切断や展開図の問題に関しては、自分がもっている知見とデジタルというテクノロジーで完成したのが究極の切断究極の展開アプリです。「生まれ持ったセンス」とされがちだったこのジャンルですが、子どもがイメージしやすいように考えられているので、自然と空間認識力が育まれていきます。

究極の切断アプリでは、気持ちよく立体感覚がイメージでき、反復練習もできる。

こういったデジタルの教材も上手く組み合わせながら、とにかく楽しく算数に取り組む子どもたちが増えて欲しいというのが私の願いですね。

 

ワンダーファイの良問大賞のページには他にも多くの問題が取り上げられています。ざっと見るだけでも各学校がさまざまな狙いを持って算数の入試問題を作成していることがわかりますし、川島さんの「子どもがわくわくしながら向き合える問題」という見方で見ると、お子さんの志望校選びに新たな視点が生まれるかもしれません。

お話を伺ったのは

川島 慶|ワンダーファイ代表
東京大学大学院工学系研究科修了。算数・数学好きが昂じて学生時代よりベストセラー問題集「なぞぺ〜」の問題制作に携わる。2007年より花まる学習会で4歳から大学生までを教える傍ら、公立小学校や国内外児童養護施設の学習支援を多数手掛ける。2014年株式会社花まるラボ創業(現:ワンダーファイ)。 開発した思考力育成アプリ「シンクシンク」は世界150カ国200万ユーザー、「Google Play Awards」など受賞多数。2020年にSTEAM領域の通信教育「ワンダーボックス」を発表。算数オリンピックの問題制作に携わり、2017年より三重県数学的思考力育成アドバイザー。

取材・文/HugKum編集部

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