トライ&エラーが育てる“考える力”の原点
低学年のうちから“トライ&エラー”を恐れない
--低学年のうちに大切にしたい学びの姿勢はなんでしょうか?
中山先生:「間違えても大丈夫」「もう一度やってみよう」と思えることですね。
エルカミノが重視しているのは、まさにその“トライ&エラー”の姿勢です。考えて、試して、失敗して、もう一度挑戦する――その繰り返しが“考える力”の土台になります。
授業では、子どもたちが間違いを「恥ずかしいこと」ではなく、「次の発見」として受け止められるように声をかけています。「この考え方はいいね」「ここまで自分で考えたのがすごいよ」と、答えではなく過程を認める。そうした一言が、子どもたちに「自分はできる」という気持ちを芽生えさせ、次の挑戦への原動力になるのです。

体験を大切にしながら、学習リズムをつくる
--低学年での通塾は必要ですか?
中山先生:学習のリズムづくりと考えていただければいいですね。「次の塾の日までにここまでやろう」と目標ができると、家庭学習にも自然とリズムが生まれます。
一方で、下校時間の早い低学年は実体験のゴールデンタイム。公園で紅葉を見て「この葉っぱ、何の木かな?」、満月の夜に「今日はお月見だね」と空を見上げるなどの体験が、4年生以降の理科や社会で絶対に糧になります。
親以外の大人に褒められる経験が、自信に変わる
--実体験も大事なのですね。家庭学習と比べて、塾ではどのような価値が得られるでしょうか?
中山先生:親以外の大人に褒められることで得られる自信です。家庭では当たり前に見える努力も、先生に「よく考えたね」「ここに気づけたね」と言われると、子どもにとって特別な出来事に。それが自信の火種になり、「塾で先生に褒められたい」「次はもっとできるようになりたい」と、学習のリズムを自分で回す力につながります。

算数パズルで楽しみながら育てる、中学受験の土台
算数パズルでいつのまにか計算と図形の達人に!?
--エルカミノの算数の授業にはどんな特徴がありますか?
中山先生:1年生から3年生までは、エルカミノが開発したオリジナルの算数パズルを使います。「たし算ボックス」「数字の階段」「面積迷路」など、1〜3年生の発達に合わせて10種類以上を用意。パズルですが、中身はしっかりしていて、たとえば「同じ数ずつ増える」ルールで遊んでいるうちに、等差数列の感覚が身につきますし、「同じかけ算の答えをつなぐ」課題では、倍数や約数を考えるようになります。


子どもたちは“楽しく自ら取り組んでいるうちに”、気づけば3年生までに面積や比の感覚が身につき、4年生以降の受験算数の土台ができています。子どもたちも解けるとうれしいんでしょうね。「おかわりプリント、ください!」と目を輝かせます。




パズルは遊び感覚 間違えても大丈夫
--3年生まで算数パズルをやっているのは、なぜですか?
中山先生:パズルは“間違えてもいいと思える教材”です。低学年のうちに「もう一回やってみよう」が当たり前になると、4年生以降の難問にも前向きに向き合おうとする力が育ちます。
というのも、1年生でも、プリントに答えを書くと「間違っていたらどうしよう」と不安になる子が多いんです。「私の答え、合ってますか?」と先生に確認したくなる。でもパズルであれば遊びの感覚があるから、「あ、違ったな」と思ったら自然に答えを消して、もう一回やってみようとなるんです。

初見の問題にもひるまない心こそ大切
--トライ&エラーを恐れない姿勢は中学入試にも生きますか?
中山先生:それは本当に大切です。それができないと、“習った通り”にしか解けません。最近の中学入試は、初見の問題勝負。「前にやったあの問題に似てるかも」「一回こうやって解いてみよう」と仮説を立てて動ける子が入試本番でも力を発揮して合格することが多いです。
家庭では算数の武器を増やすサポートを
--家庭では、算数をどう支えたらよいですか?
中山先生:計算の土台づくりに集中していただければ十分です。「なんで分数のわり算を逆数にするのか」などの理解はあとからで構いません。まずは手を動かして計算に慣れましょう。計算という武器があると、子どもは安心して難問に挑めます。

また、数の感覚を生活の中で育ててください。九九をお風呂で口ずさんだり、買い物で「20%オフだね」、料理で「3人分に増やそう」「半分こしよう」。それだけで、のちの割合や比の基盤ができます。
--親がつい教えてしまうのは…?
中山先生:「和差算は足して2で割る」のように親御さんが教えてしまうと、子どもはそのまま覚えてしまいます。4年生のうちはそれでも解ける問題が多いのですが、5年生以降、そのやり方では通用しない問題が出たときに、和差算の仕組みを理解せずに公式だけで乗り切ってきたことがかえって足かせになってしまうんです。教えたい気持ちはわかりますが、そこはぐっとこらえて見守ってくださいね(笑)。
一冊まるごと読む“読書体力”をつける
世界遺産も課題図書に
--エルカミノの国語の授業では本を1冊扱うとうかがいました。
中山先生: 低学年は一冊の課題図書をまるごと読む授業をしています。読解問題としてクライマックスだけ読むより、物語の流れや登場人物の心の動きがつかめるからです。1年生は短い作品から始めて、3年生では読み応えのある課題図書へと段階的に大人向けの文章を読みます。ジャンルも、物語・詩・評論・ノンフィクションと幅広く扱っています。
世界遺産を取り上げる回もあるんですよ。ユネスコや原爆ドームの話がきっかけで、家で「今日はこんな話を聞いたよ」と話題にしてくれる子が多いんです。保護者の方から「そんな視点が出てきて驚きました」とご連絡をいただくこともあり、子どもの視野の広がりを感じます。

--具体的にはどんな授業なのでしょうか?
中山先生: 1年生のうちは、10分ほどで読める本を使います。授業ではみんなで読み進めながら、「このときこの人はどんな気持ち?」と場面ごとに1つのポイントを丁寧に考えます。翌週は別の登場人物の気持ちに注目して、少しずつ読み解きを深めていきます。
3年生になると長めの作品に。授業では「今日は〇ページから〇ページ」と範囲を区切り、質問プリントで要点を押さえます。前後のあらすじは授業内で補いつつ、本は自分の一冊として持ち帰ってもらい、「次回までにここまで読んできてね」と声をかけます。授業だけで完結せず、“自分で読み切る体験”を大事にしているんです。

家庭で育てる“国語の力”――音読と要約
--家庭では国語をどう支えるとよいでしょうか?
中山先生:まずは、音読を聞いてあげてください。
題材は教科書でも、市販の本でも構いません。声に出して読むと、意外と変なところで区切ったり、イントネーションが違ったりするもの。そんなときに「この言葉、知ってる?」とさりげなく聞いてあげるといいですね。知らなかった言葉をその場で教えるだけでも、立派な学びになります。
そして、読み終えた後には「誰が、何をした話だった?」「あなたはどう思った?」と簡単に問いかけてみてください。「主人公の○○くんが犬を助けてうれしかった話」ぐらい答えられれば十分です。
感想も低学年のうちは「悲しい」「うれしい」といった一言で構いません。むしろ、長く説明させるよりも、要点を短くまとめる力を育てることが大切です。実際、入試でも「30字以内で答えなさい」といった短文記述が多く、短く正確に伝える練習が自然と力になります。
新小1は入学前に公開体験も
--体験授業の特徴を教えてください。
中山先生:新小1公開体験授業は、小学校入学前の3月におこないます。算数と国語あわせて70分の授業を週1回、3週間にわたり合計3回参加してもらっています。できるだけ実際に通う予定の曜日・時間帯で受けていただきたいですね。たとえば、土曜日の午後だと、午前中の習い事のあとで疲れてしまう子もいます。その子のリズムに合った時間を見つけるのも、大切な体験のひとつなんです。
算数は4月以降も使う種類のパズルに取り組みますが、3月の体験授業用のものです。入学前の子どもたちですから、まだ計算が遅い子もいます。計算が速いかよりもパズルのルールを理解して、粘り強く取り組めるかが大切です。
国語も4月以降の授業の流れを意識しています。3回で1冊の本を読み、あらすじを考えたり登場人物の気持ちを書いたりします。

--必要な準備があれば教えてください。
中山先生:ひらがなの読み書きができること、指を使ってもいいので一桁のたし算ができれば十分です。
保護者の方も教室の後方で見学できますので、ぜひお子さんの“学ぶ表情”を見てみてください。「あんなに集中するとは思わなかった」「家では見られない表情でした」と驚かれる方も多いです。家庭では見えにくい“学ぶ意欲の芽”を、ぜひ、エルカミノで発見してください。
お話を聞いたのは
大手塾での指導を経て、エルカミノで国語を担当。国語教材の制作もおこなう。
小学1年生から6年生までの授業を担当。
論理的な読解指導で、御三家中学、筑波大学附属駒場中学、灘中学などの難関中学に多くの教え子を合格させる。
取材・文/黒澤真紀 撮影/フカヤマノリユキ
