本命校の受験がスタートした2月1日〜3日
―2月1日、中学受験の本番の鐘が鳴らされました。
母 娘がまず挑んだのは、難関の大学附属の中学校。親としては、娘の第一志望であった国立校(2/3)が実際には偏差値的には難しいと考えていたので、ここが親の本命校でした。
―結果はどうでしたか?
母 残念ながら×(不合格)でした。
―2日の受験はどうしましたか?
母 午前校は×。午後校は〇(合格→のちに進学)をもらえました。
―3日が娘さんの本命校でしたね。
母 小学校受験以来、娘がずっと憧れてきた学校でした。たとえ難しくても、これまで頑張ってきたから挑戦してみたいという娘の気持ちを尊重しました。
―試験に送り出すときは、どんな声がけをしましたか?
母 あまりにも心配でつい「大丈夫なの?」と声をかけたら、「大丈夫に決まっているでしょ!?」と言い返され、そのまま振り返りもせず、試験会場に入っていきました。娘としては、そうでも言って自分で気合を入れないとやってられない気持ちだったのかもしれません。その集中力にあふれた顔は、我が子ながら頼もしいと思いました。
―気合と集中力で乗り切ったのでしょうか?
母 結構それで乗り切った学校もありますが、さすがに全部はムリ(笑)! 残念だった学校もありましたが、試験場に向かう表情は、今思い返してもカッコいいと思います。
―中学受験の合格発表は、その日のうちに出る学校もあれば、翌日(翌々日)の場合もあります。結果の受け止め方はいかがでしたか?
母 〇の場合は「すごいね!」、補欠候補(合格待ち)のときは「惜しいね」と。娘の本命校の×は、「難しかったよね」とサラリと受け止めました。親があまり感情的にならなかったせいか、本人もあまり落ち込んだり引きずったりすることはなく、あっさりしていました。
―進学先はすんなり決まりましたか?
母 親の本命校も子どもの熱望校も×だったのですが、いくつかの併願校で〇ももらっていました。その中で、娘は工業大学附属の中高一貫校が気に入り、どうしてもそこに進学したいと言い出しました。
親の目から見ると、漠然と理系向きだとは思っていましたが、将来、どんな職業に就くかもわからないし、ものづくりそのものが娘に向いているかどうかも分からなくて、悩みました。
―娘さんには将来の夢はありましたか?
母 当時、テレビドラマの「ドクターⅩ」に憧れて、外科医になりたいと言っていました。お兄ちゃんに影響されての医者志望だと思いますが、親としては、性格的には妹のほうが向いているかも!?と思っていましたが、本人の特性や能力はまだまだわからないのが正直なところでした。
―誰かに相談しましたか?
母 まず夫とじっくり話して、今の時点では、ある程度専門的な方向性を決めてしまうような進学先ではなく、もっと幅広い選択肢のある学校のほうがよいという結論になりました。ただし、娘をどう説得したらよいか…。そこで、塾の先生に相談しました。
―塾の先生はどうおっしゃっていましたか?
母 面談のとき、先生が娘に鋏を渡して「どう思う?」と質問しました。娘は「??」と戸惑い、特に何もコメントしませんでした。その様子を見て「ものづくりに興味のある子は鋏を見たとき『ここの部分を中心にして、2つの刃がこう交わるから、切れるんだな』と、構造とか各部分の働きなどについて考えるんだよ。そういうふうに考えなかったということは、今の時点では、ものづくりにあまり興味がないということなんじゃないかな」と。将来、やっぱり工業系に進みたいと思えば、そのときに道を選ぶこともできるから、今は幅広い選択肢で将来を考える学校に進んだ方がよいと説得してくれました。
―娘さんは、納得しましたか?
母 先生の言葉は、親が言うよりも、心にストンと落ちたみたいです。納得してくれました。そういう意味でも、塾の先生には親身になってもらえたと感謝しています。
「結果はほろ苦いもの」受験を終えて得たもの
―現在の進学先に決定した決め手も教えてください。
母 進学した私立中学校は、塾の先生の薦めもあって、受験期のドタバタスケジュールの中で浮上した学校でした。親子ともに学校見学に行ったこともなく、とりあえず通学できる立地の学校ということで急遽受験し、合格。いろいろと迷った末に、進学することになりました。第一志望ではなかったという意味では、娘の中学受験は、ほろ苦い結果でした。
―受験を通して得たものは何ですか?
母 娘への信頼感ですね。4年間の間、成績の低空飛行があまりにも長く続き、正直、娘の実力を「?」と疑ったこともあります。でも、最後の最後で成績がグンと伸びました。「うちの子はやる気になれば必ずできるはず」と親が思っていたことが間違いではなかった。これを確認できたことは、とても嬉しかったです。
ただ、親子ともに希望校には届かなかったというほろ苦い思いはしたので、「できることなら、最初から実力を示してほしかった!」とは思いますけどね…。
中学校生活と今後
私立中学に進学すればハッピーとは限らない
―現在の学校生活はいかがですか?
母 娘を見ている限り、それなりに楽しそうではあるものの、中堅私立校の掲げる校風の「生徒の自主性を重んじる」には「??」という感じです。自分のふるまいに気を付けられる賢いお子さんが集まる上位校では決して建前ではないのかもしれませんが、中堅校では実際には学校側が子どもたちを厳しく管理しているように感じています。
―具体的にはどういう点でそう感じますか?
母 娘に聞くと、制服の着方、スマートフォンの規制など、細かくさまざまな管理がなされているようです。そうした学校側や先生の対応に関しては、親のほうも「私立に進学すれば、ハッピー。すべて任せて安心」とは感じていません。
―お兄ちゃんの影響もありますか?
母 ありますね。お兄ちゃんは中学受験して、第一志望に不合格。併願の難関校には受かったものの、本人の希望校ではなかったため、地元の公立中学を経て、都立高校に進学しました。ですから、中学受験の合格校(進学校)が、必ずしも本人の幸せや満足感につながるとは思っていません。
高校受験も視野に進路を広くリサーチ
―これからの将来についてはどう考えていますか?
母 実は、娘が高校受験をしたいと言い出しました。上級生(高校生)になっても、厳しく管理されるのはイヤだと。
―せっかく中学受験をして入った中高一貫学校ですが、ご両親としてはいかがですか?
母 よく言われる「中学受験はゴールではない」と言う言葉がありますよね。その言葉通り、中学受験や私立中学進学は、決してゴールではないので、娘が自分で道を決めて頑張るなら、応援しようと考えています。
―私立中学からの高校受験。どんなことを心配していますか?
母 中学受験を経て一定以上の学力を持った子どもが集まる私立中学では、地元の公立校と違い、内申点が低く出る傾向にあるので、都立高校の受験には苦労しそうだな…と思います。実際、今、塾に通いながら、対策中です。都立高校の受験では、中3の1・2学期の内申点が大きく影響するので、それを考えながら受験校を選びたいと考えています。
もう一度できるなら、子どもを叱らないようにしたい
―これから中学受験をするご家庭へのメッセージをお願いします。
母 中学受験の最中には、「あれ、こんなはずでは…」ということも起こり得ます。親は、なるべく「毒(愚痴)」を吐ける相手(パパ、ママ友)を確保しておいたほうがいいと思います。私の場合は、受験に積極的であったパパに相談できたのは良かったと思います。
―相談できるママ友の選び方へアドバイスはありますか?
母 情報を交換するママ友に関しては、同じ小学校や塾の人は避けたほうがいいですね。相手のお子さんの成績が我が子より良くても、悪くても、お互いに気を使った会話になりますから。個人的には、小学校も、塾も、受験校も全くかぶらない保育園時代のママ友と、お互いに愚痴をこぼし合って励ましあいました。
模試の日に子どもを会場に送っていき、お迎えの時間までの間に、どちらかの模試の会場の近くのカフェでお茶したり、ランチしたりしました。気分転換にもなり、楽しかったですよ。
―もう一度、中学受験をできるとしたらどうしますか?
母 幼少期からやり直してみたい気もします。できるだけ早くから早期教育を受けさせ、就学前に公文で計算や漢字などの基礎を徹底して、子どもに合った塾に入れて…。それから、成績が伸び悩んでいるとき、子どもを叱らないように気をつけると思います(笑)。
でも、それは中学受験を終えてみたから言えるのかもしれません。どんな結果が待っているかわらかない、受験真っ只中のときは、不安で仕方なかったですから。
―最後に、ご家族にとって娘さんの中学受験とは、どんなものでしたか?
母 怒ったり、悩んだり、泣いたり…。子どもと一緒に歩んだ4年間でした。その中で、カッコいい我が子の表情を見て感動し、「やればできる子」だと再認識できたのは、よい思い出です。
中学受験、私立校進学は、ゴールではない――。ハナちゃんも、ハナちゃんを見守るママもパパも、これからのことを考え、歩み出しています。がんばれ、ハナちゃん! がんばれ、ママ&パパ!
ハナちゃんの中学受験体験記【前半】はこちら
文・構成/ひだいますみ