「頑張っているのに伸びない」を抜け出す! コツは“質問力”や“量より理解度”、“面談は作戦会議”など。中学受験の専門家に聞く、伸びる学び方と親のサポート術

「頑張っているのに成績が伸びない」「塾に通っているけれど、このやり方で合っているのか不安」中学受験を考えている家庭だけでなく、日々の家庭学習でも、こうした不安の声は少なくありません。参考書や問題集、学習法の情報はあふれているのに、なぜ迷ってしまうのでしょうか。

今回RISUがお話を伺ったのは、元大手進学塾講師のユウキ先生。新刊『中学受験の子供の成績の本当の伸ばし方』では、テクニック論ではなく「塾と家庭の関わり方」に焦点を当てています。これは中学受験だけの話ではなく、塾に通っていない家庭でも同じです。家庭がどう関わるかが整えば、子どもの学びは安定します。今回は、家庭で今日から意識できる関わり方を教えていただきました。

なぜ、親は正解が分からないと感じてしまうのか

書籍『中学受験の子供の成績の本当の伸ばし方』を書いた背景には、「保護者の悩みの多さ」があります。

・どうやって子どもに伴走すればいいのか
・家庭学習はどこまでやれば十分なのか
・塾や学校に何を期待していいのか
・そもそも、何を質問すればいいのか分からない

こうした声に共通しているのは、「正解が見えない」という不安です。学びの現場では、当たり前になっていることが、家庭には共有されていない。逆に、家庭で感じている不安や迷いも、うまく伝わっていない。この情報のズレが、不安を大きくしていると考えています。その結果、

「どの教材を選べばいいですか?」
「宿題は全部やらせるべきですか?」

と、具体的な「正解を探そう」としてしまいます。でも、本質はそこではありません。塾や学校をどう活用するか、家庭がどう関わるか、その「設計」のほうが、ずっと重要なんです。

問題集を増やすことよりも、声かけの仕方や関わり方を整えることのほうが、結果として子どもの力につながっていきます。

学ぶ前に整えたいのは「学ぶ姿勢」と「質問力」

まずは「字は丁寧か」などの基本的な姿勢をチェック。

そして学習前の声がけや関わり方の代表としてお伝えしたいのが「学ぶ姿勢」についてです。

入塾前に「先取り学習は、したほうがいいですか?」と質問をうけることがあります。無理に難しい問題をやらせる必要はなく、大切なのは、内容の先取りよりも土台づくりです。

「学ぶ姿勢」を整える一例

■字を丁寧に書く
■ノートを整理する
■途中式を書く

こうした基本が整っているかどうかを確認し、できていない場合は声がけしてあげましょう。

さらに重要なのが質問する力、「分からないことを、そのままにしない力」

最近の子どもは、恥ずかしくて質問できないということが増えていて、実際、保護者の方から「うちの子、質問ができないので、先生からお声がけをお願いします。」と言われた経験もあります。

質問する力は、塾だけでなく学校生活や将来にもつながる大事な力。たとえば

 ・店員さんに質問できる
 ・習い事で自分からあいさつできる
 ・親以外の大人と話せる

こうした日常的な経験が、学びの伸びにつながります。

保護者面談は「相談」ではなく「作戦会議」

学ぶ姿勢や質問する力は、子どもだけの話ではありません。実は、保護者の「どう聞くか」「どう伝えるか」という姿勢も、同じくらい大切です。

その力が問われる場面が、塾や学校との面談です。実際、塾や学校の面談で「何を話せばいいんだろう」と迷うことは多いですよね。「まずは気持ちを聞いてほしい」「今の不安を整理したい」…そういう時間として面談を使うのも、もちろん悪いことではありません。面談は、親の気持ちを整える場でもあります。

ただ、もし「具体的にどう改善すればいいか整理したい」「家庭での関わり方を明確にしたい」と考えているなら、少しだけ準備していくのがおすすめです。たとえば、

■1週間の勉強時間
■家庭で困っていること
■志望校
■塾(学校)に期待すること

これを紙1枚にまとめるだけで、面談は「作戦会議」の場に変わります。感情だけで終わるのではなく、「次に何をするか」まで決められる時間になります。

面談は、ただの相談や話をする場ではなく、「子どものこれからを一緒に設計する時間」、そう意識するだけで、同じ30分でも中身は大きく変わります。

面談を「作戦会議」の場と捉えて、具体的な項目を用意しておくと◎。

宿題のコツ。「終わらせる」ためのものではなく、「理解する」ためにある

面談で方向性を整理できたとしても、日々の学習の中では迷いが生まれます。とくにご相談が多いのが、「宿題」の扱い方です。

やめたほうがいいのは、「宿題は全部終わらせるもの」という考え方です。

すでに理解できている単元なら、終わらせることにも意味はあります。しかし、そもそも理解していない状態で終わらせることだけを目標にしてしまうと、学力は安定しません。

順番は「理解→定着→量」。
大量の宿題を終わらせる(=量をこなす)のは、最後でいいんです。終わらせることより、理解できている状態にすることが大事なんです。

宿題に入る前に「理解を促す」

私自身も、宿題を教えようとして親子げんかから、さらに夫婦げんかにまで発展したことがあります。「このままでは、塾に通っている意味を活かしきれていないかもしれない」そう感じたことがきっかけで、宿題に入る前に、まず理解を促すという方法を考えました。

具体的には、子どもに「30分見れば、その単元のポイントが分かる」解説動画を作りました。動画で流れをつかんでから取り組むと、子どもは驚くほどスムーズに進められる。今の子どもたちは動画に慣れているので、文字だけより理解しやすい面もあります。

YouTubeなどの解説動画を活用するのも手。

もちろん、必ずしも動画を作る必要はありません。大切なのは、「まず理解できている状態をつくってあげる」ことです。そこに目を向けるだけで、家庭の空気も、学習効率も大きく変わっていきます。

さらに学びを深めるポイントは「実体験」

今は、低学年のうちから塾や習い事で予定が埋まっているお子さんも増えています。もちろん、それ自体が悪いわけではありません。ただ、私自身の子育てで意識していたのは、勉強以前の「外での体験」をしっかり積み重ねることでした。

博物館や科学館に足を運ぶ。旅行に出かける。実際に見て、触れて、体感する時間を大切にしていました。

とくに理科や社会は、机上で覚えるよりも、実体験があるかどうかで理解の深さが大きく変わります。「あのとき見た装置だ」「あの作業工程のことか」と、知識と体験が一瞬でつながるからです。「見たことがある」「行ったことがある」、その記憶があるだけで、学びの質は確実に変わります。

こうした体験は、受験のためだけではありません。考える力や想像力を育てる、すべての学びの土台になるものだと感じています。

最後に保護者の方へ

受験校の選び方も、勉強法も、どうしても数字を基準にしがちです。でも大切なのは、

・子どもが幸せそうか
・先生の雰囲気はどうか
・校風や学び方が子どもに合っているか

という視点です。数字だけでなく、実際に感じる“肌感覚も大事にしてください。これは塾選びや学校選びに限りません。教材選びや習い事、進路を考えるときに同じことがいえます。「合っているかどうか」という視点は、どんな環境でも大切です。

子どもが笑顔でいられるかどうかを第一に。

そして、無理をしすぎないこと。たとえば受験の学校選びで表現すると、「ぜひ挑戦したい難関校」「通えたら幸せな学校」「安心して任せられる学校」…このように複数の選択肢を持っておくと、心に余裕が生まれます。

子育ても学習環境づくりも、保護者だけで抱え込む必要はありません。教材や先生、周囲の専門家の力を上手に活用すること。そして家庭は、いつでも安心できる場所であること。

そのバランスが取れていれば、子どもは自然と伸びていきます。

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お話をうかがったのは

ユウキ先生 中学受験ThreeStars代表/中学受験リライズFC代表/中高一貫bridge★塾長

元大手進学塾教室長、経営コンサルを経て独立。自身の息子の中学受験伴走の中で、中学受験親の辛さを知り、授業動画の配信をyoutubeでスタート。

その後、中学受験スリースターズを創業し、授業動画の配信、保護者向けコンサルティング、オンライン個別指導などで中学受験指導に携わっている。

ユウキ先生の著書はこちら

ユウキ先生 KADOKAWA 1,760円(税込)

「集団塾」「個別指導」「家庭教師」「オンラインサロン」など、中学受験のための選択肢が増える中、
どこにどれだけ時間とお金をかけるのがわが子にとっての最適解か? 塾におすすめされる教材や講習はどれだけ取り組めばいいのか? 学校と塾の両立で気を付けるべきことは何か? など気になる話を、元大手中学受験塾講師であり、保護者としても中学受験を経験したユウキ先生が忖度なしにつづります。

取材・文/RISU

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