すみっコたちと魔法使いの友情と夢にまつわる物語
「すみっコぐらし」10周年記念作品にして、劇場アニメ第2弾『映画 すみっコぐらし ⻘い月夜のまほうのコ』が、11月5日(金)より全国公開されました。もはや鉄板コンテンツとなった「すみっコぐらし」ですが、前作『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は動員120万人超えというメガヒットとなりました。本作でも愛らしいすみっコたちが、心ときめく大冒険を繰り広げます。
今回は5年に1度の青い大満月の夜、すみっコたちの町に5人の魔法使いが舞い下ります。「わん」「つー」「すりー」「ふぉー」「ふぁいぶ」という名の魔法使いたちは、何でも夢を叶えてくれるとのこと。でも、どうやら一番小さいふぁいぶだけは、まだ上手く魔法が使えないようです。
そんな魔法使いたちのパーティーに招待されたすみっコたち。魔法がかけられた街は、キラキラと美しくきらめき、すみっコたちも大喜び。楽しい宴も終わると、魔法使いたちが帰る時間になりましたが、なんと、すえっコのふぁいぶと間違えて「たぴおか」が連れていかれてしまいます! 果たして1人残されたふぁいぶの運命とは?
光の粒がきらめくファンタジーの世界観にうっとり
本作は、タイトルに“まほう”が入っていますし、魔法使いのような衣装をまとったすみっコたちのポスタービジュアルを見ただけで、ワクワクしますよね。実際に大満月の夜のパーティーシーンは、とてもファンタスティックな仕上がりになっています。
光の粒が散りばめられた街を見て、すみっコたちもテンションアップ。例えば、お茶をしていたコーヒーカップが魔法によってアトラクションのように大きくなり、それに乗ったすみっコたちは大はしゃぎ。まさに、映画ならではのスケールアップした世界観に心躍ります。
また、前作から続投した井ノ原快彦と本上まなみのナレーションは、今回も絶妙。すみっコたちにツッコミを入れつつも、優しく寄り添ったり、彼らの気持ちを代弁してくれて、とてもほっこりします。
コンプレックスは、アイデンティティにおける大切な要素
寒がりで北から逃げてきた「しろくま」や、自分がペンギンなのかどうか自信が無い「ペンギン?」に、とんかつの一番端の部分で、非常に油っぽいために食べ残されてしまう「とんかつ」など、今ひとつイケてないすみっコたち。それでも彼らは決してくさらず、常に肩を寄せ合って仲良く平和に暮らしています。
今回は、うっかり取り残された魔法使いのふぁいぶと、実はきょうりゅうの生き残りであることを秘密にしている「とかげ」との友情を軸にした感動のファンタジーとなっています。
とかげのおかあさんは、すみっ湖にひっそりと住む「すみっしー」ですが、2人はなかなか会えません。だからこそとかげは、家族と離れて寂しい思いをしているふぁいぶの心を察して、一緒に暮らすことにしました。
ふぁいぶは、自分を仲間に入れてくれたすみっコたちにお礼がしたいと思い、彼らの「いつかこうなりたい」と願う夢を叶えようとします。ところがそこから予想外の展開を迎えていくことに。
すみっコたちは、それぞれにコンプレックスを抱えているキャラクターたちですが、裏を返せば、それらは彼らの個性でもあります。そこも含めてのアイデンティティだということは、本シリーズのテーマでもあると思いますが、本作でもそこがきちんと描かれているので、見ていてハッとさせられます。
そして、いつもながら、
監督:⼤森貴弘 原作:サンエックス
ナレーション:井ノ原快彦、本上まなみ
公式HP:https://sumikkogurashi-movie.com/
文/山崎伸子
©2021 日本すみっコぐらし協会映画部