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「ABA」は、発達障害の子ども達への早期療育の有効性が高く評価されている療育です
ABAとは?
もし、遊びの時間、ひとりでテーブルにミニカーを並べてばかりいてお友達と関わろうとしないお子さんがいたら、皆さんならどう説明しますか?「性格だから」「自閉症の特性だから」?
「ひとりでばかり遊ぶ」から、「お友達(他者)と関わって遊ぶ」へ、具体的に行動を変えるのに役に立つのが「行動分析学」の考え方です。行動分析学では、「行動」に着目し前後の状況を観察することで、その行動の理由を紐解き、行動の法則(原理)に基づいて科学的に望ましい行動へと働きかけていきます。
行動分析学の「行動の原理」には、行動のあとに良いことがあると、行動は維持される、増える、「強化」という原理があります。お給料がもらえるから仕事に行くように、これは子どもにも大人にもすべてのヒトに共通の原理です。この原理を使って、「お友達(他者)と関わると、より楽しいこと(良い結果)がある」という状況を作っていきます。
この場合、ミニカーが好きなお子さんですから、その遊びのなかにまずは大人が入っていって、2人の方が楽しいこと(良い結果)があるという状況を作っていきます。たとえばゴミ収集車のミニカーで遊んでいたら「ゴミ~!」と小さな紙か何か丸めて持ってきて提示して、最初はごみ収集車のゴミを入れる荷台の扉を開いて入れて見せてみましょう。そのとき、「うわぁ、ゴミ(入ったね)~!」と楽しく盛り上げることが大切です。何度かやると、ごみを提示すると自分から扉を開いてくれるようになるかもしれません。それから、長い筒のようなものを子どもに向けて斜めに置いてトンネルに見立て、ミニカーを通すのもおすすめ。大好きなミニカーがお子さんの方にシューっと出てくると、「大好きな車」「トンネル」「トンネルを持っているママ」が繋がって(ペアリングといいます)、トンネルもママと関わることも好きになっていきます。
こんな風に、「行動分析学」の視点で考えると、「関わり遊びを好きになる」ように具体的に意図して考えることができるのです。この「行動分析学」を日常に応用し、できない行動を増やしたり、問題となる行動を減らしたり、私たちの生活をより豊かに変えていく実践的な学問を、「ABA(応用行動分析学)」といいます。
日本での認知度はこれから
ABAはとくに自閉症スペクトラムなど発達障害を持つ子どもたちへの早期療育の有効性が高く評価され、いまや英語圏の多くの国々では、診断を受けると医師からABAセラピストに繋がり、公費でセラピーを受けられるように。ただ、まだまだ日本での認知度は低く、いまだに支援現場での活用は少ないという現状ですが、それでも近年、子どものために懸命に情報を収集する親御さんを中心に、情報発信をする人が少しずつ増え、繋がり、小さなムーブメントが生まれて始めています。
3/27日にABAを知る機会となる「発達障害支援フォーラム」がオンラインで開催されます
3月27日(日)、ABAを知りたい人や実践しているというご家族、支援者、そしてABA実践家の先生方を繋いだイベント「歩こう話そうTALK&WALK2022 発達障害支援フォーラム」が開催されます。
ABAについて知る、学ぶ機会として、また、難しい子育てに日々奮闘しているご家族や支援者が集まって情報を共有したり共感し合ったり繋がる機会になればと、毎年世界自閉症啓発デー(4月2日)に合わせて開催しています。
コロナ感染防止対策でメインはオンラインになりますが、途中参加も途中退室もOKなのがオンラインの良さ。無料ですので、ぜひ気軽に参加してください。
発達障害の臨床研究の第一人者・井上雅彦先生も登壇
今年は日本の発達障害やABA界をけん引する第一人者のお1人である鳥取大学の井上雅彦先生をお迎えし、ペアレントトレーニングなどについてお話を伺えることになりました。
また、瀬川記念小児神経学クリニック院長の星野恭子先生にもイベントでもご登壇いただきます。大きな影響力を持つ方々にご協力いただけるようになり、日本に広く知られるための大きな一歩になることが期待できます。
「歩こう話そう TALK&WALK 2022~発達障害支援フォーラム~」。参加費は無料です
日時:2022年3月27日(日)10:00-16:30
会場:オンライン (JICA横浜より生配信)
後援:神奈川県教育委員会・JICA横浜
主催:ABA SPEAKS(発達障害を持つ子どもの家族や支援者が集まって情報発信している団体)
協賛:グリーンバード横浜南・食支援ネットかながわ
▮詳細・申し込みはこちら↓↓↓
歩こう話そう TALK & WALK 2022 ~発達障害支援フォーラム~ | Peatix
<主なプログラム>
「ABA療育『ここが知りたい』に答えます!」
伴友紀(BCBA認定行動分析士、公認心理師)/藤坂龍司(NPO法人つみきの会・ABA SPEAKS代表)/井上雅彦(国立大学法人鳥取大学医学部教授)
「ABA療育&ペアレントトレーニング研究最前線」
井上雅彦 (国立大学法人鳥取大学医学部教授)
「医療におけるABA・日本での展望」
星野恭子 (医療法人社団 昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック院長)/藤中秀彦 (国立病院機構新潟病院臨床研究部長)
▮講師の先生方の詳細はABA SPEAKSブログで
Blog | ABA SPEAKS (abaforeverybody.org)
▮イベントについての問い合わせ(※件名にTALK&WALK2022の件 とご記入ください)
今年で4回目のイベント。参加のみなさんの沢山の経験談が力をくれるはず
TALK&WALKイベントは今年で4回目。過去に参加された親御さんの声をお聞きしました。
・今まで自分のやってきたこと、自分のABAを認めてくれるのは息子成長だけだったのが、イベントに参加して、たくさんの人が私や息子を褒めてくれました。優しくて、お互いを認め合える人たちに囲まれて、こんな心地の良い場所はないなと思います
・ABAを学び実践している方がいることに、やっぱりこれだと再確認できました
・初心者でもわかりやすい内容で良かったです。やはり親目線、親の苦労話(療育について)が知りたかったので有意義でした
・困っているわが子を助けたい。そのために結局ABAが必要でした。そして一番効果がありました。それをイベントで知り合ったみなさんとシェアーできるのがうれしかったです
主催のABA SPEAKS(https://www.abaforeverybody.org/)のメンバーの中には、8歳でほぼ発語なく、問題行動も多かった息子さんをホームスクールでABAでサポートした親御さんも。息子さんは8年かけて大学を卒業し今は働いているそう。たくさんの経験談が、今を変える力になるかもしれませんね。
構成/くろみつきなこ(ABA SPEAKS)