入園・入学前の子どもの不安にどう寄り添う? 保育者歴50年! 柴田愛子先生が「親の大事な心構え」を伝えます!

2023年3月2日、花まる子育てカレッジとHugKumが共同で、今春入園・入学を迎えるお子さんをお持ちの保護者の方を対象に自主幼稚園「りんごの木」代表の柴田 愛子先生のオンラインセミナーを開催。

今回の記事では子どもへの寄り添い方をうかがいました。

もうすぐ4月。入園・入学が迫り、新しい環境に不安を感じているお子さんや保護者の方も多いのではないでしょうか? 保育者歴半世紀!
NHK Eテレ「すくすく子育て」でもおなじみの柴田 愛子先生が、そんな親子の不安に答えてくれました。

子どもの不安な気持ちに寄り添うとは?

こんにちは! 私は「りんごの木」という幼稚園の代表・柴田愛子です。保育の世界に入って50年経ちました。

「入園・入学前の子どもの不安な気持ちに寄り添う」というテーマですが、私がたどりついたところは「子どもをどう育てたいか」ではなく「子どもはどう育とうとしているか」、子どもを主役にして考える、ということです。

子どもが生まれてから入園・入学まで、たったの数年しか経っていませんよね。子どもが言葉で不安な心情を表現するのは難しいことです。だから私は、子どもの表情を見るようにしました。そして、表情から気持ちを考えるようにしました。怒っているようだったら、「怒ってるのね」。悲しい時は、「悲しそうね」

子どもは、言葉で不安や不都合を処理してくれる人よりも、そうして「気持ちを分かってくれる人」が大事です。

「言葉に頼ると、子どもの内面が見えなくなります」。このことを覚えておいてください。

子どものSOSはすべて表情と態度に出る

子どもは、本当に不安で本当に心配な場合は、表情と態度に出ます。

子どものSOSを見逃さないで

例えば…

・笑顔がなくなってくる。

・熟睡できなくなる。

・食欲がなくなり、食べられなくなる。

・おねしょをしていなかったのにしてしまう。

・目をパチパチしたり独特な癖が出る。

などがあります。子どもをよく観察してみてくださいね。

注意すべきは「もうすぐ」という言葉

また、入園・入学前のいまの時期に一番よくないのが「もうすぐ」という言葉ですね。

抽象的な言葉なので「もうすぐ、もうすぐ」って言うと、「もうすぐ」っていつなのか、不安になって子どもは脅かされてしまいます。そんなに前から学校や幼稚園の準備をしなくても、幼稚園だったら1週間前、小学校だったら、2週間くらい前でいいですよ。カレンダーなどで「この日になったらね」って視覚で教えて、心の準備をさせてあげましょう。

不安を抱える子どもにとって大事なのは「寄り添う」人がいること

子どもは、何かあったときに寄り添ってくれる人がいると、落ち着いて自分を取り戻します。

子どもがケンカをしたとします。親は解説してしまうんですよね。「あなたがおもちゃを取ったんでしょ」とかね。子どもは嫌なことがあって慰めてほしいのに、解説されてしまうと心を閉ざします。

それよりは「嫌だったね」と保護してあげたほうがいいんです。そうすると本来の元気を取り戻して一歩進むことができますよ。

子どもの気持ちに寄り添うことが大切!

親の過剰な心配は子どもの不安を大きくする

入園・入学前は、子どもより親の心配の方が大きいものです。それは子どもにとって重いもの。親の心配は子どもにかぶせずに、子どもが「じゃあ、行ってみようかな」と思う情報を流してあげてください。あれこれ言いすぎると、「小学校って大変そうだなー」と子どもたちは不安ばかりになってしまいます。

何をしてあげればいいかっていうと、例えばうちの幼稚園に、ほのちゃんという子がいました。ほのちゃんは不安の強い子だったのですが、おかあさんがこう言ったんです。

「ほのちゃん、その心配はもって行きなさい」って。ほのちゃんはそうして不安だけれどがんばって経験して自信がついて、「心配はね、もっていくと、消えるんだよ!」っていうようになったんです。

この気持ちですよね。親は、子どものことがどんなに心配でも、その子をずっと抱えているわけにはいきません。背中を押してあげるしかないんです。そして、「ちゃんと見てるからね。待ってるからね」と言ってあげて、学校に送り出せばいいと思います。

子どもが疲れちゃったときは…自分の小さなころを思い出して伝えましょう

子どもが疲れちゃったときは、「おかあさんも、ドキドキして学校は不安だし、いやになっちゃったんだよ」というように、自分の小さなころを思い出して伝えましょう。そうして子どもの気持ちに寄り添ってあげれば元気を取り戻します。

「ただいま」の声が元気であればOKです。元気がなかったら、「何があったの?」とは聞かないで、「おつかれさん。おいしいおやつにしようね」と言って、一緒におふろにはいって一緒に寝る。心と体が温まると子どもの心は開かれて、何があったか言うようになりますから。

新しいことをさっさと進められる子はいません。子どもが不安そうな時には「そばにいるよ」と伝えてあげ、寄り添いましょう。

次の記事では、ママパパの具体的なお悩みに愛子先生がお答えします!

【入園入学の悩み】「新しい環境が苦手」「お友達とのトラブルが心配」ママパパの不安に柴田愛子先生がお答え!
不安その1 「新しい環境が苦手な子が、小学校に行けるか不安」 初めての人や場所が大好きで、勢いよく飛び込んでいける子は、まずいません ...

お話ししてくれたのは

柴田愛子|保育者・自主幼稚園「りんごの木」代表
1948年、東京生まれ。私立幼稚園に5年勤務したが多様な教育方法に混乱して退職。OLを体験してみたが、子どもの魅力がすてられず再度別の私立幼稚園に5年勤務。1982年、「子どもの心に添う」を基本姿勢とした「りんごの木」を発足。保育のかたわら、講演、執筆、絵本作りと様々な子どもの分野で活動中。テレビ、ラジオなどのメディアにも出演。子どもたちが生み出すさまざまなドラマをおとなに伝えながら、”子どもとおとなの気持ちのいい関係づくり”をめざしている。
【著書】
「子育てを楽しむ本」「親と子のいい関係」りんごの木、「こどものみかた」福音館、「それって保育の常識ですか?」鈴木出版、「今日からしつけをやめてみた」主婦の友社、「とことんあそんで でっかく育て」世界文化社、「保育のコミュ力」ひかりのくに、「あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます」小学館、絵本「けんかのきもち」絵本大賞受賞、「わたしのくつ」その他多数。

文・構成/徳永真紀

 

入園入学特集

編集部おすすめ

関連記事