目次
不安その1 「新しい環境が苦手な子が、小学校に行けるか不安」
初めての人や場所が大好きで、勢いよく飛び込んでいける子は、まずいません
なので、「小学校」ってどんなところか見せて、目になじませてあげるといいですよ。
トイレが不安な子も多いですよね。そんな時は、学校に相談してみましょう。学校も聞かれれば見せてくれると思います。こうやって、わからない小学校という場所を少しわかるようにしてあげる手立てはしてあげられますよね。
それでも子どもが「行きたくない」という場合は、学校とどのくらい手助けしていいか相談してみましょう。最近は、学校の先生へかかわるハードルが高すぎる気がしますよ。先生と相談しながら子育てしていく意識でいればいいじゃないですか。
お母さんたちは「ほかの子と同じように学校に行ってほしい」と思うかもしれませんが、親の欲は子どもをつぶします。小学校に行ってどうなるかは行ってみなければ分かりません。でも、叱咤激励しないでください。そして、「あなたの場所はここにちゃんとあるよ」というメッセージだけは伝えましょう。
最初のうちは、ぐずぐず言っているのを見て「かわいそう」と思うかもしれないけれど、親の本気を見せて「まだあなたのSOSは出ていません。おいしいものを用意してお待ちしております。」って行かせていいんじゃないかな。6月くらいまでぐずぐずしていて表情も辛そうでサインが出てきたら、対処すればよい、そのくらいの心構えで大丈夫ですよ。
不安その2 「幼稚園で泣いてしまう子が心配」
この子は泣けるから、大丈夫!
帰ってきたら「ママも泣いてたのよー」とか「ママのことが大好きだから泣いちゃったのね、うれしいわ」でいいんじゃないでしょうか。
私は、小学校一年生のとき、初めて学校に行って椅子にだまって座っていることしかできなかったの。そして泣くことしかできなかったのよ。でも今はこんなにおしゃべりになって! 小学校の頃は”さなぎ”だったなって思うんです。さなぎは中で死んでない、安全地帯で自分を守ってて外をいっぱい見てるんです。殻を破ってから役に立つたくさんのことを学んでいました。
だから、今みんなと同じペースである必要はない。その子にはその子の育ちがありますよ。
不安その3 「人の話を聞かなくて、自分の気持ちを言えない子が心配です」
座って話を聞くことがそんなに大事?
小学校に行くと「座って話が聞けるか」っていうことをみんな心配してるんだけど、座って話を聞くことがそんなに大事ですか?って私は思うんです。
聞かないのは先生の話が面白くないんですよ。だから、「すみません。興味のない時は話が聞けなくって」って言っておけばいいんじゃないですか?
自分の気持ちが言える子は少ない
「自分の思っている気持ちが言えない」っていう質問ですが、気持ちが言える子は少ないです。みんなそう! 気持ちが言えないからいじめられるわけでもないですよ。
気持ちを言葉にする練習をするんだったら、落ち着いて家族で話をする時間を持つことが有効かな。親は話をするというよりも「あれしなさい」とか指示が多いでしょう? そういうのではなくて、「今日のご飯おいしいでしょう。〇〇スーパーのなのよ」とか、もっと日常的な会話を家でしましょう。そういうことが話を聞き、話す練習になるかなって思います。
いじめってね、人の本性として「人より優位に立ちたい」っていう気持ちがあるんです。子どものうちは、いばる時期も、弱くていじめられる時期もあっていいと思いますよ。自ら体験してこそ人の気持ちが分かるようになります。小学校の時期ってそういう大事な時期です。多少のことは、親が帰ってきて気持ちを言葉にしてあげてフォローすれば大丈夫。
不安その4 「子ども同士のケンカやトラブル、親のかかわり方が心配」
落ち着いてから、子どもの気持ちを通訳してあげましょう
最初の質問の「ふざけ合い」の話で、1,2年生くらいでは本気のケンカで大きなケガをすることはありません。「1対1、両方本気、素手」のケンカなら大丈夫。途中で仲裁せず見守りましょう。
子どもって感情が爆発するからケンカになるんです。感情的になっている時じゃなくて、両方が落ち着いてから「どうした?」って聞いて、子どもの気持ちを通訳してあげましょう。ただし、評価はしないこと。どっちかの味方をすると、「俺の気持ちなんかわかってもらえないんだ」って信頼してもらえませんからね。
「わがまま」っていう言葉は「我がまま」=「私のまんま」ってこと
次の「空気が読めない」という子は、そもそも4歳で空気を読んじゃいけません。読まない方が自分を大事にしています。「わがまま」っていう言葉は「我がまま」=「私のまんま」という意味なんです。このくらいがちょうどいい。
それで、お友だちからいろいろ言われても大泣きできるなら大丈夫。「こんなに悲しい」っていうことをアピールできるんだから。わがままで激しい子って、けっこういいことも考えるのよ。大泣きすることで周りの子も「これ以上はだめだな」とブレーキがかけられますから、大丈夫。
ただ、お母さんがダメージを受けるというのは親子が一体化しすぎてますよね。「あの子はあの子、わたしはわたし」と思っていないと。あなたのことを分かって耳を傾けてくれる人を見つけて、親の心配は子どもにかぶせず分かってくれる大人に言いましょうね。そうしたら、自分が取り戻せるんじゃないかな?
愛子先生からメッセージ
「子どもは、自ら育つ力がある」と私は確信しています。
だから、「大丈夫、大丈夫」と唱えましょう。親が幸せに生きていたら子どもも幸せになるんです。どっちかが幸せでどっちかが不幸ってありえません。親が、自分が輝いて生きていたら子どももその背中を見てちゃんとついてきます。
入園・入学前の不安な日々も、「子どもはきっと大丈夫」と思って日々を過ごしていってくれたらと思います。
「大丈夫」と子どもを送り出そう!
柴田愛子先生の親子へのメッセージ、「うちの子大丈夫かな?」と思うパパママをとても励ましてくれましたね。
入園・入学がいよいよ近づいてまいりましたが、今回愛子先生に教えていただいた
・子どもの表情を見る。
・気持ちに寄り添い分かってあげる。
を参考に、「大丈夫」と送り出してあげましょう。
前回の記事では柴田愛子先生が「親の大事な心構え」を伝授
お話ししてくれたのは
【著書】
「子育てを楽しむ本」「親と子のいい関係」りんごの木、「こどものみかた」福音館、「それって保育の常識ですか?」鈴木出版、「今日からしつけをやめてみた」主婦の友社、「とことんあそんで でっかく育て」世界文化社、「保育のコミュ力」ひかりのくに、「あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます」小学館、絵本「けんかのきもち」絵本大賞受賞、「わたしのくつ」その他多数。
文・構成/徳永真紀