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子どもが自ら学ぶ!「自学ノート」とは?
自分で学習内容を決めて学習する自主学習。 小学校の宿題として取り組んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。〝自学指導の達人〟森川正樹先生の学級では、「自学ノート」をクラスで発表して「すごい自学ノートを作りたい!」という意欲を高め、子どもたちが楽しみながら自学を進めています。
森川先生の著書『小学生の究極の自学ノート図鑑』では、真似したくなるような「自学ノート」を図鑑的に紹介しています。そこで、今回は「自学ノート」を応用して自由研究にするときのコツや親御さんのサポート法などについて、教えてもらいました。
自由研究のテーマは、体験型がおすすめ!
__自由研究のテーマが、なかなか決まらなくて困ることがよくあります。決める時のコツやポイントはあるのでしょうか?
自学ノートもそうですが、テーマを決めるときに大きな作品を完成させることをあまり考えないほうがいいです。興味を持っていることなど、小さなトピックをいくつか出してその中から決めてみましょう。いきなり1つテーマを決めようとすると迷ってしまうので、親子で一緒に話しながら何日かかけて話し合ってみてください。興味があるものを並べてみてまとめられそうなテーマを選んでみましょう。
おすすめは、体験を自由研究にすることです。例えばご家庭で旅行などのイベントがあったり、習い事のキャンプの予定があればその道中を自由研究にするのがいいと思います。見開きの1ページ目には1日目のこと、2ページ目に2日目のこと、3ページ目に帰りのことなど、ページ割もすぐにできますよね。
テーマが決まらなかったら自由研究のために水族館に行く・博物館へ行くなど、予定を立てるのもいいですね。
道中の出来事をお子さんにメモさせて、フォローでこっそりおうちの方もメモをしておきましょう。写真はたくさん撮っておき、パンフレットは切り貼りできるように多めにもらっておくと役立ちます。写真やパンフレットを使えば、文章が少なく済みますからね。お子さんによっては文章を沢山書くのがしんどい場合があるので、写真に合わせた文章を少しずつ書いていくくらいの気持ちであれば、あっという間に完成しますよ。
自学ノートを自由研究にするときの作品の見せ方
__自学ノートを自由研究に応用する場合、どのような見せ方で提出すればよいのでしょうか?
自学ノートの書式は自由研究にとても向いているのでそのまま応用できます。そのときに、自学ノートの性質をうまく利用して見開き2ページでひとつの自学をするのもいいですが、自由研究になると継続性があったり内容も多めになる場合があります。
自学ノートの形式をうまく利用し、見開き2ページごとにひとつの項目という感じで、見開き単位で書くといいでしょう。例えば1枚目が動機や調べるきっかけ、2枚目で実際に調べたり自由研究で取材に行ったこと、3枚目の最後に感想、などというように、自学ノートの2、3回分でまとめていけると思います。
構成を考えるときは伝わりやすくまとめることを意識して、記事割は見開きで起承転結をつけたほうが学びが見やすくなります。
自由研究は、何ページまでと決められていないので、調整しやすいですよね。何枚書いてもいいので、自学ノートの自学と一緒に自由研究すれば、学びがずっと蓄積されていくので、自学をやっている人はそのままノートを使うのがおすすめです。
模造紙など大きな紙を使って提出する場合もありますが、書く時や管理が大変なのでノート以外でしたら8つ切り画用紙がおすすめです。100均などでも手軽に購入できますし、何枚かまとめて穴を開けてリボンでまとめると特別感が出て、家での管理もしやすいです。
自由研究で親がサポートするときのポイント
__自由研究のサポートをするときのポイントを教えてください
一番良いのは、おうちの方がサポートすることをいとわないことです。「自分でやらせないと力にならないのでは?」と、お悩みになる親御さんも多いですが、書くのは必ず本人にさせて、そうじゃない部分で迷っているときは遠慮せずに保護者が声を掛けていいです。
特にこういう作業が苦手なお子さんや、やり始めのときは親が突き放さないほうがいいです。だんだん自分で考えていけるようになるので、「あなたが頑張って書くなら一緒にサポートするよ」と、お子さんの迷いや疑問に対して、真摯にこたえていくというスタンスがよいと思います。
もうひとつ大切なのは、その子の良いところを褒め続けることです。例えば字が丁寧に書けている子に関しては「字が丁寧だね」ということをずっと褒め続けてほしいです。子どもを〇〇の達人にしてあげてほしい。そうすると、その子が勝負するところができるので自信がつきます。その自信は必ず他の部分に派生します。大きな誌面の中のひとつで必ず成功体験をつくる。ここは譲れない!という部分ができたほうがいいので、褒めることも親御さんのサポートです。
__自由研究で図鑑を丸写しする子どもには、どのような声掛けをしたらいいですか?
なんで丸写しがいけないのかと言う理由を説明しないといけないですよね。「図鑑をそのまま写すのは、図鑑の写真を撮ってるのと一緒だよね。それって図鑑をみた方がよくない?せっかく一生懸命書いても、もったいないからやめようよ」と。では、どうしたらいいのかというと、図鑑をみてどう思うのかはその子によって違いますよね。そこが価値のあるところなので、これをみてどう思ったのか感想を入れましょう。丸写しにならないように必ず本人の感想を入れて書くのがポイントです。
__子どもが途中で飽きてしまったときは、どのようなサポートをすればよいでしょうか?
飽きてくることは想定しておいた方がいいですね。親御さんは事前に子どもの自由研究のテーマを把握しておいて、うちの子は途中で飽きるかもしれないということを見越して、テーマに合わせたネタをこっそり集めておくことがおすすめです。
お子さんが調べていることを先取りしておき、面白いネタを用意しておき、つまずいた瞬間に「こんなのあるんだけどあなたの自由研究に使えないかな?」と、かっこよく差し出せるといいですね!そうすると、おうちの人も応援してくれているんだなという気持ちで本人ももうひと頑張りできると思いますよ。
子どもたちが体験した感動を”瞬間冷凍”して伝えることが大事!
__森川先生が今まで印象に残っている自由研究はありますか?
『小学生の究極の自学ノート図鑑』でも紹介してますが、ツバメを観察して自学にまとめたものは、観察記録なども、ものすごい情報量で印象に残っています。
夏休みに食べた料理を全て自学ノートに写真と解説で残した子もいましたよ!夏休み専用の自学ノートを作って、エピソードも入れてずっと綴っていて、これは自由研究の域を超えていましたね。自学にハマって遊びの感覚になって楽しんでいることが伝わりました。
あと印象に残っているのは、カブトムシを自分で採りにいって体験したことをまとめていたものです。写真を沢山使っていたことと、はじめてカブトムシを採って感じたことをメモしていたのがとてもよかったです。その”瞬間”の感動が文章や写真に残されていると、すごいものになるんです。
「カブトムシをはじめてとってうれしかった」ではなく、「カブトムシをはじめて捕まえるときに手が震えた」の方がよっぽどうれしい気持ちが伝わりますよね。
感動を”瞬間冷凍”したメモの表現って結構鋭いんですよね。ぜひそこは親御さんがサポートしてあげていただきたいところです。お子さんの表情もぜひ写真に撮って残してあげてください。
子どもと一緒に自由研究に取り組もう!
子どもが取り組むテーマを事前に知っておき、日常の会話の中などでさりげなく自由研究のサポートができれば、子どもも気持ちよく話を聞いてくれます。「あーしなさい、こーしなさい!」ではなく、「どう思ったの?それでどうしてみたい?」と子どもの意見や気持ちを聞き出し、形にしていくことが大切なのですね。
コツやポイントを知るれば、自由研究もこわくない!ぜひ、記事を参考に家族で自由研究に取り組んでみてください。
夏休みの自由研究
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森川先生の著書はこちら!
(本書は、子どもが真似したくなるような「自学ノート」を図鑑的に見せ、自学への意欲を引き出します。原寸に近い大きさで掲載されているノートでは、びっしりと書き込まれた一文字一文字まで読むことができ、テーマの選び方、文章の書き方も知ることができます。学校でも家庭でも、子どもも大人も読んでほしい「これからの学び方」図鑑です。
お話を聞いたのは
「森川正樹の”教師の笑顔向上”ブログ」で、日々の教育関連情報を発信中。
取材・文/やまさきけいこ