発達凸凹の子たちの想い
トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにない強いこだわりの理由などを知ると、子育て中のイライラが、爆発する前にボヤ騒ぎくらいで済む場合があるんです。
クスッと笑える漫画を得意とするイラストレーター エイイチとコラボして、子育てに愛と笑いと「まぁいっか」を注ぎ込む『大喜利的エデュケーションマンガ』第3弾!
あやまらなければダメ?
一生懸命連絡帳に書いたのに、ふでばこも教科書も全部忘れちゃった!そもそも、今日は遠足ってことすら忘れちゃってたけど…
過去や未来!?そんなの関係ねぇ!『今』を全力で生きてるんだ。
自分だって忘れ物したくないよね。怒られることも、自分が困ることも、わかってるよ。だけど、覚えていられる量が少ないと、常に『今』目の前にあることに全力を注いじゃって(自転車操業状態)、次の指示を聞いても覚えてられなかったり、目の前にないと思い出すのが難しかったりするんだ。
なんでかな?
「話を聞いて」覚える、「文字を書いて」覚えるという方法が苦手な子もいるんだ。
学校では、大体、先生の話を「聞く」、連絡帳に文字を「書く」ことをして覚えるよね。そして、家では「聞いたこと」を思い出したり、文字を「見たこと」思い出したりする。でも、「話を聞いたり」「文字を見たり」して覚えて、思い出す方法が苦手な子もいるんだ。
こうしてみるといいかもよ
記憶の仕方は、人それぞれ。先生の話を聞いたり、連絡帳を書いたりするだけが方法じゃない。自分が覚えやすい・思い出しやすい方法を見つけてみよう。
聞いて覚えることが苦手なら、メモを字で書いたり、スマホに打ったり、スマホで写真を撮ったりして思い出すきかっけをつくるんだ。
見て覚えることが苦手なら、ボイスメモに残してもいいね。メロディーにのせて歌いながら覚えるのもいいね。思い出すきっかけを作るために、アラームを鳴らしたり、必ず見るところに思い出すきっかけのメモを貼ってみるといいよ。
公認心理師・松尾まりか先生が解説
連絡帳だけが覚える・思い出すツールじゃない
いつも忘れ物をしちゃうA くんがいました。ランドセルの中身(連絡帳)を家で見るのを忘れて翌日もそのままだったり、ランドセルから連絡帳やノートを出せたと思ったら、次は中身を入れてくることを忘れたりしていました。
私の心の中では「なんでやねん!」とズッコケたりツッコミを入れたくなり、毎朝、一喜一憂して忙しいのですが、A くんも連日「あ!」と新鮮な驚きを表してくれました。それだけA くんは、一生懸命だし、決して怠けてるとかじゃないから、こちらも歯がゆくなります。
大人は、「連絡帳書いたでしょ!昨日、言ったじゃない!」と言いたくなるのですが、実際には、文字を書いて覚えておくことや、先生の話を聞いて覚えておくことが苦手だと、どうしても覚えられない・思い出せない子もいるのです。
記憶の種類はさまざま
人の記憶には、いろんな種類があるんです。思い出やエピソードなど長期間覚えている記憶や、電話番号や料理レシピの分量など、すぐに忘れちゃいそうな脳のメモ帳代わりの短期記憶、体の動かし方の記憶(自転車・車の乗り方、タイピング、歩き方)なんかもありますよね。
記憶の方法も、目で見て覚える方が得意なのか、耳で聞いて覚える方が得意なのか、文字、または絵で覚えるのかなどなど、記憶しやすい方法も、人それぞれ。それに、それを思い出す方法も人それぞれなんです。
A くんも一緒に相談しながら、どんな記憶の方法が得意で苦手なのかを探り、ランドセルの外にシンプルな絵を描いた持ち物カードをぶら下げてみたり、手のひらに油性マジックで書いてみたり、いろいろ試してみました。
結果、タブレットで学ぶことを楽しみ、おしゃべりが得意なA くんだったので、毎日、A くんが持ち物を話す動画をタブレットで撮り、それを連絡帳代わりにすることにしました。
また、「今日楽しかったこと」の小話を動画で撮って翌日見せてもらうという宿題にし、小話動画を褒めちぎることで、A くんのモチベーションがあがりまくり、もれなく動画連絡帳も見るサイクルができあがりました。
それでも、どうしても忘れ物ゼロは難しかった。でも、いいんです!!こうやって、自分の苦手や得意を探りながら、「それいいね!」「これはイケそうじゃない!?」と、楽しく一緒に考える大人がいるんだなっていう経験を、子どもたちには重ねてほしいんです。きっと、その経験は、成長していくなかで、『自分でもなんとかしてみようかな』『できるかも』という力になっていくからね。