「産後ケア事業」の実際に密着! ⾃宅にいながら、授乳の方法や⾚ちゃんのお世話の仕方などを相談できる「訪問型」の魅⼒を取材しました

PR /こども家庭庁

産後ケア事業とは、市町村が出産後1年以内の⺟⼦に⼼⾝のケアや育児のサポートなどを⾏い、 産後も安⼼して⼦育てができる⽀援を⾏う事業です。サービス内容や利用対象などは市町村によって異なりますが、「宿泊型」、「通所型」、「訪問型」の3つがあります。
今回は、⾃宅で産後ケア事業が受けられる「訪問型」に密着し、千葉県千葉市の例を紹介します。
※ここでの「産後ケア事業」とは、⺟⼦保健法に定められた、市町村が実施している事業です。

産後ケア事業が充実! 注目の自治体千葉市

千葉市の産後ケア事業は、平成29年度から開始され、ママの希望に応じて「宿泊型」、「通所型」、「訪問型」を選べます。40か所の事業所(20251⽉現在)で産後ケア事業を利⽤でき、令和5年度は2,905⼈が利⽤登録。

直接予約してタイムリーに利用できるなど使いやすい点が魅力

  • 千葉市の産後ケア事業のポイントは次の通りです。
    • ●妊娠中からの事前利用登録申請が可能。
    • ●利用時にはママ⾃⾝で事業所を選び、直接予約をすることができるため、産後すぐやタイムリーな利⽤が可能。
    • ●利⽤できる事業所数が多いため、ニーズにあった事業所が選べる。
    • ●千葉市の住民であれば、誰でも利⽤できる。
    • ●利⽤対象者⼀⼈あたり「宿泊型」、「通所型」、「訪問型」をそれぞれ7回(日)ずつ利⽤できる。

千葉市では、産後ケア事業を開始した当初から「訪問型」を実施しており、経験豊富な助産師が直接、⾃宅にうかがい、⼀⼈⼀⼈の体調や⽣活スタイルに合わせてケア等を⾏っています。

また、千葉市では、これまで「訪問型」の利⽤対象は産後5か⽉未満までとしていましたが、令和6年4⽉からは産後1年未満に拡⼤。卒乳や離乳食の相談など、月齢に併せて幅広く利⽤できるようになりました。「訪問型」では1回最大2,200円の⾃⼰負担額で利用(※課税世帯の場合)できます。

  • 助産師さんに聞きました! 産後ケアの必要性 

  • 20年以上のキャリアをもつ、助産師の新森 永遠路さん。

にいもり助産院院⻑ 新森 永遠路(にいもり とわじ)さんに産後ケア事業の必要性や「訪問型」の特徴を教えてもらいました。

――まずは産後ケア事業の必要性を教えてください。

新森さん  産後はママの体に⼤きな変化がみられるため、ケアが必要です。しかし⾚ちゃんのお世話などがあってゆっくり休めなかったり、慣れない育児やホルモンバランスの変化によって不安や心配事がつのったりしがちです。そのため、どのママにも産後ケア事業を受けて安心してほしいと思います。

  • 訪問型は、マンツーマンで助産師さんが関われることがメリット

自宅で赤ちゃんの身長、体重を測定して発育状態をチェック。

--訪問型の特徴を教えてください。

新森さん  訪問型は、助産師がご⾃宅にうかがってケアをします。主に問診、バースレビュー、授乳の支援、育児の相談、乳房ケア、ママの⾝体のケア、⾚ちゃんの⾝体測定、発育発達状態の観察などを⾏います。パパも⼀緒にお家にいる場合は、パパの育児支援や、パパからの育児相談にも対応します。 

訪問型のメリット

  • ●マンツーマンで助産師が関われる
  • ●上の⼦がいても気軽に受けられる
  • ●⾚ちゃんを連れて外に⾏かなくてOK
  • ●⾃宅なのでリラックスしてケアが受けられる
  • ●⾃宅にある育児グッズなどを使い、より具体的なアドバイスを得られる
  • ●自宅に伺うことで、ママやパパだけではなく、祖父母を含めた関わりや支援が可能
  • 自宅のソファで乳房ケアをして、母乳のつまりを解消したり、母乳の分泌を促します。

育児の気がかりだけでなく、ママ・パパ自身の悩みも気軽に相談を

体重計や身長計などは、助産師さんが持参してくれます。

――産後ケアでは、どのような相談を受けることが多いのでしょうか。

新森さん 一番多いのは授乳に関することです。「うまく授乳ができない」「おっぱいが張って痛い」「授乳してもすぐに泣く」「授乳量が正しいのか分からない」など、さまざまな相談を受けます。また「体重があまり増えない」「湿疹のケア」「うんちが出ない」など、⾚ちゃんの体のことや発育発達の悩み、離乳⾷の相談を受けることも多いです。

ほかにはママ・パパ⾃⾝の「体調やメンタル不調」などを相談されることがあります。 とくに新⽣児期や低⽉齢の時期は、外に出る機会が少なくママ・パパが孤⽴しやすい時期です。なかには「誰に相談したらいいのかわからなかった」と⾔いながら、ケアのときにお気持ちを伝えて下さるママもいらっしゃいます。助産師に話すことで、気持ちが穏やかになったり、解決の⽷⼝が⾒つかることもあるので、⼀⼈で悩みを抱え込まずに気軽に相談してほしいと思います。

ママが育児相談をしている間は、パパが赤ちゃんを抱っこ。訪問型は、夫婦で参加しやすいこともポイント。

訪問型では、パパの気持ちを支えることも

――先程パパの育児支援とおっしゃっていましたが、授乳や抱っこ、沐浴など具体的な支援以外に気にかけていることはありますか。

新森さん  パパも産後のママのサポート、赤ちゃんのお世話、家事、ときには上のお子さんのケアなど、色々と大変な時期です。お仕事が休めないパパもいます。家族全員が穏やかに心地よく過ごすためには、どうしていくことが良いのかを一緒に考えていくことを大切にしているので、ママはもちろん、パパともたくさんお話するように心がけています。

助産師と二人三脚で乗り切ろう

――産後ケア事業を、まだ利用したことがなかったり、検討しているママ・パパにメッセージをお願いします。

新森さん 最近は「わからないことがあればインターネットで調べればいい」と考えるママ・パパも多いのですが、育児に関する悩みの解決法は一人一人異なります。たとえば赤ちゃんの飲み方、体重の増え方、眠り、泣き、またママの母乳の分泌、疲れ具合、育児に対する価値観なども一人一人で違いますし、時期による変化もあります。状況をしっかり見て、予測も立てながら、その時期の⾚ちゃんとママに合う解決法を提案します。困った時には助産師を頼ってください。ぜひ、お住まいの地域の産後ケア事業を調べてみることから、おすすめします。

私たちも訪問型を利用しています!(千葉市在住/あいさんご夫婦・仮名)

今回、訪問型のケアを受けるようすを取材させていただいたあいさん(仮名)とパパに、どんな点が良かったかを語っていただきました。

あいさん「最初に利⽤したのは、産後8⽇⽬です。市から妊娠中に情報提供があったこともあり、すぐに利用しようと思いつきました。⺟乳で育てたいと思ったのですが、やっぱりミルクも⾜した方がいいのかなと思ったり、でも胸も張って痛かったりで、不安になり助産師さんに来てもらいました。

訪問型を選んだのは『⽣まれたばかりの⾚ちゃんを連れて外に⾏くのは⼤変』と思ったためです。助産師さんには乳房のケアをしてもらったり、授乳前にホットタオルで温めて胸の⾎⾏をよくする⽅法も教えてもらいました。また、一度の授乳で両方の母乳を吸わせることが辛かったのですが、片方ずつしっかり吸わせる方法を教えてもらい、とても楽になりました。

「訪問型で助産師さんに来てもらうことで、育児不安が軽減した」というママ。

「現在、⼦どもは⽣後5カ⽉になりましたが、順調に⺟乳で育っています。最近は、助産師さんに離乳⾷のことなども相談しています。またパパが休みの⽇に合わせて予約をしているのですが、パパも助産師さんと話すことで⼦育ての意識がすごく⾼まりました。わが家は、パパがお⾵呂担当ですが、パパから『湯船のお湯をなめてしまうのですが、⼤丈夫ですか?』などと相談することもあります。訪問型を利⽤したことで、夫婦で協⼒しながら楽しく育児ができるようになったと思います」

パパ「妻が妊娠して、産後ケア事業のことを初めて知りました。わが家は、育児でわからないことがあると『次の産後ケアで、助産師さんに聞こう!』というのが合言葉のような感じです。助産師さんとつながれて、本当に心強いです」

不安の多い出産後のサポートのひとつとして、ぜひとも利用してほしい「産後ケア事業」。まずは自治体のホームページを確認したり、問い合わせたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

こども家庭庁では、産後ケア事業紹介動画を作成しています。

また、こども家庭庁が作成している「健やか親子21ウェブサイト」でも、新たに産後ケア事業のページが新設されました。是⾮、こちらも合わせてご覧ください!

「産後ケア事業」紹介動画

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撮影/廣江雅美  取材・⽂/⿇⽣珠恵