身近な材料で古代エジプト鍵を再現!
皆さんは、古代エジプト錠を知っていますか? 紀元前の古代エジプトで宝を守るために作られた、カンヌキやピンなどからなる錠で、世界最古の錠の1つと言われているとか。
古代エジプト錠に興味を持った喜屋武知悠くんは、自由研究で古代エジプト錠を段ボールや木の棒などの身近な材料で再現することに成功! 錠の仕組みを理解するだけでも難しいのに、自分で作ってしまうことに驚きました。
自由研究にまつわるエピソードや、普段の知悠くんについて、喜屋武さん親子さんにお話を聞きました。
興味を持ったきっかけは、あの人気テレビ番組
-古代エジプト錠に興味を持ったきっかけは何ですか?
知悠くん:テレビ番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」で古代エジプト錠が取り上げられるのを見て興味を持ち、どうやって宝物を守ったのか調べてみました。そのうちに、僕も自分の宝物を入れたいと思い、古代エジプト錠を作ってみたくなりました(何を入れるかはまだ決まっていませんが)。
テレビのわずかな情報から自分で設計図を作成
知悠くん:古代エジプト錠の設計図はなく、テレビ番組を録画してコマ送りしながら、どうやって動いているかを理解し、設計図を考えました。
苦労したのは、カンヌキを固定するピンの長さを揃えるところ。揃わないと、鍵が開きません。最初は、お父さんと一緒に木を切ってピンを作っていたのですが、どうしてもうまくいきません。いろいろ試した結果、市販の食器立てを使ったところ成功しました。
仕組みが単純だから、簡単にできると思っていたのですが、鍵の角度の調整が難しかったり鍵が折れたりして、何度も作り直しました。うまくいかず、気持ちが乗らない日は思い切ってやめました。最後は、突然うまくいく方法を思いつき、夏休み最終日にやっと古代エジプト錠が完成しました。
ユニークな創作活動の裏にドラマがあったのですね。たくさん苦労した分、できたときの喜びも大きかったよう。
ものづくりと読書が大好き
こんな立派な創作をする知悠くんは、どんなお子さんなのでしょうか? 喜屋武さん親子に聞いてみました。
-知悠くんの性格や得意なことなどを教えてください
1年生のときも市の自由研究コンクールで受賞
知悠くんのお母さん:細かい作業を地道にするのが得意。自分ができるようになるまで、ちょっとずつやるのが好きみたいです。1年生のときは、恐竜の化石を紙粘土で作りました。大きくて学校へ運ぶのに苦労しましたが、市のコンクールで金賞を受賞しました。
得意科目は算数だと思います。公文では、4ケタの掛け算や割り算を先取り学習しています。数字で考えるのが得意で、今回の自由研究にも生かされたのではないでしょうか。
読書は年間200冊以上
知悠くんのお母さん:息子は友達と遊ぶより、本を読んだり一人遊びが好きです。2023年は、図書館の本を200冊以上読みました。今は、マインクラフトの小説がお気に入り。時には、小学5・6年生の本を図書館の先生にお願いして借りることも。マンガも好きで、『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦』、コロコロコミックも大好きで読んでいます。
エジソンのような大発明がしたい!
-今後やりたいことは何でしょうか?
知悠くん:来年の自由研究は、自分で新しい化学物質をつくってみたいと思います。将来の夢は、今のところないのですが、実験をしてエジソンのような大発明ができると嬉しいです。あと、プログラミング教室に通って、ロボットづくりに取り組む予定です。
知悠くんのすごさに圧倒されましたが、取材中に「You TuberのHIKAKINさんも、この記事を読んでくれるかな?」と気にしているかわいい一面も。
ママとパパの得意領域でサポート
取材で見せてもらった古代エジプト錠の作品は圧巻。親御さんのサポートについても教えてもらいました。
ママは文献探し、パパはものづくり担当
知悠くんのお母さん:私は学校の図書館司書をしているので、息子の文献探し・まとめを手伝いました。夏休み中、生徒が不在のときは、息子を横に座らせて、文献を一緒にまとめました。1年生のときと比べて、文献まとめが上達してびっくり。
一方、夫は高校の物理の教師で、設計図作成や材料選び・加工などのものづくりに関わることをサポートしました。夫婦で役割分担がうまくできたのかもしれません。息子がやる気あるので、私たちもサポートしたくなりますね。
手を出したくなってもグッと我慢
知悠くんのお母さん:息子がうまくいかなくて、イライラしたり悩んだりしているのを見ると、ついつい手伝いたくなりますが、息子は“自分でやること”にこだわりを持っているので、自分がやったと認識できるようぐっと我慢しました。
心の中では、やめれば?と言いたいこともありましたが、「どうしたいのか」と、息子の意見を聞くようにし、正解をすぐ言わず息子との対話を大切にしました。
自由研究を通じて、喜屋武さん親子の絆が深まっているのを感じました。両親がサポートしてくれるからこそ、知悠くんもがんばれたのでしょう。
子どもの意見を尊重することで主体性が生まれる
取材中に印象的なエピソードが。知悠くんのお母さんに「記事にお母さんのお写真を載せても大丈夫か」と尋ねたところ、知悠くんに「お母さんも一緒に載っていい?」と聞いていました。てっきり、ご自身が載りたいかどうかで答えてくれると思っていたので驚きました。子どもの意見を尊重するというのは、こういうことなんだと。
取材中、知悠くんは、自分の言葉でできるだけ答えようとする姿勢が見られました。自分の意見が聞いてもらえるからこそ、責任を持って主体的に進められるのではないでしょうか。今回の取材を通じて、子どもの意見を聞く大切さは理解していても、実際にできているのかどうか、自問するよい機会となりました。
最優秀賞のインタビューはこちらも
取材・文/峯あきら