北欧では、雨の日だって関係ない?
スウェーデン人の夫は、雨の日もレインコートを着てよく散歩に出かけます。多少の雨なら、涼しい顔でランニングにも出かけていきます。
はじめはちょっと驚いたものの、北欧の子育て事情を知っていくうちに、これは子ども時代からはじまっていたことなんだなぁと、今ならしみじみ思います。
というのも、北欧の保育園では、雨の日も雪の日も1日に1回は外遊びをするんです。
雨の日も雪の日も一度は外で遊ぶ

雨の日は水たまりにジャンプしたり、水と土を混ぜておままごとをしたり。また、雪の日は雪だるまを作ったり、ソリで小さな山をヒューンとすべり降りたり。
雨の日も雪の日も関係なく、ビショビショ、ドロドロになって、子どもたちは大はしゃぎで楽しそうに遊んでいます。
保育園の必須道具は、かぶれるレインコート
どんな天気の日も外で遊ぶのがあたりまえの北欧では、保育園の必須道具のひとつがレインコート。丈夫なナイロン素材のもので、洋服の上からかぶれる、ジャケットとつなぎのものが一般的です。冬になると、スキーウェアのような防寒具と、スノーブーツ、スノーグローブが必須道具になります。

保育園にはTorkskåpという大きな乾燥機が備わっていて、濡れたものはお迎えのときまでに乾かしておいてくれます。低温で乾燥できるから、ふつうの乾燥機ではかけられない衣類に便利で、アパートの共有洗濯部屋にもよくあるのです。
不安定な天気の多い北欧のことわざ「悪い天気の日はない、あるのは悪い洋服だけだ」
スウェーデンには日本のように梅雨の時期はありませんが、春から秋にかけて雨の日がけっこう多いのです。1日中降るということはあまりありませんが、雨の日が長く続くこともよくあります。また、風が強いことも多いので、防水のジャケットやレインコートやリュックは、大人から子どもまで日常的に着用しています。

ちなみに、スウェーデンにはこんなことわざまであります。
「悪い天気の日はない、あるのは悪い洋服だけだ」
つまり、ちゃんと準備さえしていれば、天気なんて関係ないということなのかもしれません。
どんな日も、自然を感じることが幸せ

そんな環境で育ってきた夫は、日本にいても、晴れの日も、雨の日も、雪の日も、つねに子どもたちを外に連れ出します。
どろだらけになっちゃう……とか、雨の日に外に行くのが億劫だな……と思うことも、正直やっぱりあります。でも、一度でも外に出て遊んでおくと、そのあとの子どもたちは機嫌がいいように感じるのです。そんなわけで、やっぱりちょっとだけでも外で遊ぶか……! と外へいそいそと出かけています。
ちなみに雨の日に外で遊ぶと風邪を引いちゃうと思う方もいるかもしれません。でも北欧では、しっかりしたレインコートさえ着ていれば、外の新鮮な空気に触れることで免疫力が高まり、風邪を引かないとも考えられているんです(もちろん子どもの体調次第では控えてくださいね)。
すべては自然が解決してくれる。
北欧のひとたちはそんな風に考えているのかもしれません。

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プロフィール

イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか