「あのママきれいだね」と褒めるのも、スウェーデンではNG?【北欧パパと日本で子育てvol.08】

こんにちは。ライター・エッセイストの桒原さやかです。この連載ではスウェーデン人夫と日本で子育てしている日々のこと、子育てしながら気がついたことや考えたこと、またそれを私がどう捉えているのかというところまで書いていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。

連載8話目は、日本だと何気なく言いがちな、見た目への一言について。

スウェーデン人の夫が毎回ちょっと驚くこと

友人たちと集まって、ごはんを食べていたときのことです。

ひとりが、「あれ、〇〇ちゃん痩せた?」とひとこと。

みんなで和気あいあいと話していたら、ちらっと横を見ると、スウェーデン人の夫はビックリした顔をしています。話題にも入ってこようとせず、なんだか気まずそうにしているのです。

実はこんなことが、今までにも何度かありました。

日本に住んでいる私たちですが、スウェーデン人の夫からしたら驚くこともまだまだあるよう。

褒めることだとしても、あえて言わない

「〇〇ちゃんのお母さん、きれいだねぇ」と何気なく言ったら、スウェーデンの子どもから「見た目は関係ないでしょ?」と厳しく言われたと友人から聞いたことがあります。

どうやらスウェーデンでは、見た目のことについて、からかうことはもちろん、褒めることも、避けた方がいいと考えられているようなのです。

はじめは不思議だったものの、北欧に住んでから、その理由がちょっとわかったような気がしています。

誰も私の見た目を気にしていない……?

ノルウェーで一年半住んだトロムソの街。

ノルウェーに住んでいたときの話です。

多くの友人が毎日のように身につけていたのは、防水加工のジャケットやリュックなど、実用的なファッションがほとんど。ノルウェーのひとたちは体を動かすことが好きで、近くにハイキングができる場所がたくさんあることも大きいかもしれません。

私もいつのまにか、シャカシャカ素材の防水加工のジャケットが定番になっていました。たまに自分なりにおしゃれをする日もありましたが、特別何かコメントされるということもなかったような気がします。

誰も私の見た目のことを気にしていない。

それで悲しかったのか? というと、むしろ、すっごくラクだったんです。

今思えば、「他の人からどう見られているのか?」ということばかり気になって、結局、「自分が着たいものを着る」というあたりまえのことができていなかったのかもしれません。

相手のことを言わないことが、自分を守ることになる

「他の人が自分のことをどう思うのか? は、気にしなくていい」
「自分がどう思うかが大事」

これは見た目のことだけではなく、あらゆることにおいて、北欧のひとたちが大事にしていることじゃないかと思います。

自分を大事にするために、相手のこともとやかく言わない。これがとてもシンプルな解決方法なんだと、今では思うようになりました。

北欧の人たちは「自分がどう思うか」を大事にしています。

思わず言ってしまう、「かわいいねぇ」という言葉

大人同士では見た目のことについて何かコメントすることって、私自身振り返ってみても、あまり多くないかもしれません。でも、子どもたちに向けてはどうでしょうか…… ?

「〇〇君はイケメンになりそうだなぁ」
「〇〇ちゃんは目が大きくてかわいいねぇ」

思わずポロッと口に出してしまいそうな言葉です。

他人からどう思われるのか? ついつい気にしがちな私は、まずは自分が口に出さないというところから始めてみようと思っています。

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北欧パパと日本で子育て

プロフィール

桒原さやか ライター・エッセイスト

イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。

Instagram @kuwabarasayaka
note 桒原さやか(くわばらさやか)/スウェーデン人夫と子育て奮闘中。

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文・構成・写真/桒原さやか

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