【発達凸凹の子ども達へ・まり先生の解決記】空気が読めないって言われるけど…。話す順番の練習をしてみよう!【マンガ あやまらなくていいんだよ 】

発達凸凹の子どもたちにとっての「人生っていいもんだな」「学校って楽しいかも」を追求してきた、特別支援学校・支援学級のまり先生(公認心理師)が、学校でのあるあるトラブルを、ユーモラスに解決するエピソードをご紹介!

発達凸凹の子たちの想い

トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにない強いこだわりの理由などを知ると、子育て中のイライラが、爆発する前にボヤ騒ぎくらいで済む場合があるんです。

クスッと笑える漫画を得意とするイラストレーター エイイチとコラボして、子育てに愛と笑いと「まぁいっか」を注ぎ込む『大喜利的エデュケーションマンガ』第6弾!

あやまらなければダメ?

とっても面白いこと思いついちゃったから、みんなに話し始めると、よく「空気読んで!」って言われるんだ。

 

誰かに話したい!って気持ちが最高なんだ!

誰かに話したいっていう気持ちって、ものすごく大切なものなんだ!だって、誰かと一緒に楽しいことをシェアしたいとか、自分の思うことを伝えたいって気持ちがあるから、人と関われることができるし、コミュニケーションも広がるし、一人よりいろんな経験や体験ができるでしょ。現代の世で『重要な力』って叫ばれてる“コミュ力“なんてのも、この気持ちがあるからこそ育てられるものなんだ。

なんでかな?

でも、誰かに何か伝えたいときって、自分が話したいこともあるし、話していいタイミングかどうか判断しなきゃいけないし、時に相手の気持ちも考えなきゃいけないし、結構たくさんやることあるんだよね~。

思い浮かんだことを、つい無意識に言葉にしちゃうこともあるんだよ。

こうしてみるといいかもよ

ソーシャルスキルトレーニングなんかで、サイコロトークしてみると、話し手、聞き手が分かれて、「今は聞く時」「今は話す時」と決まっているから、安心して話せるし、「聞いた後は、話す番がくる」って分かっているから、話したいことも我慢しやすいよ。あとは、演劇を真似してみるのもいいよね。セリフなんだけど、会話の練習ができるしリアクションの練習もできるし、話す順番の練習もできるんだ。

公認心理師・松尾まりか先生が解説

まずは伝えたい気持ちを受け止めて

私が、コミュニケーションが苦手な子とかかわるときに、最も大切にしていることがあります。それは、「この人に伝えたい!」と思ってもらえる関係をつくること。発語を促す子にも、理解を促す子にも、コミュニケーションの応用をする子にも、「この人に伝えたい!」「この人なら聞いてくれる!」という関係づくりを、まずもって築くことを最優先にします。

なぜなら、コミュニケーションがうまくいかない子は、大体、日々の生活の中で、友だちに伝わらなくてうまくいかなかったり、ついうっかり言ったことで先生に怒られちゃったりしている体験を重ねてきているんですよね。それも毎日毎日。そんな子は、「話してもしょうがない」「また言っちゃった自分は悪い子」なんて思いになると、自分を表現しにくくなってしまいます。どんな子にも発達のチャンスはあると言うのに、行動しなくなると、発達できるものもできなくなってしまう。それだけは、避けたいのです。

予告やアフターフォローで環境調整

そもそも、空気を読む力って必要なのかな?なんなら、自分の気持ちを表現して尖って生きていけ!と思ってしまう私ですが、集団生活を重んじる学校や社会では、いかんせん煙たがられてしまうこともしばしば。そうなると、子ども自身が辛い思いをしてしまうので、自分の思いを表現できる良さを認めつつ、「今は、ちょっと相手の話を聞こうかな」「こうきたらこう返す」を身につけておくのも手です。先に書いた、ソーシャルトレーニングやサイコロトークもありですし、話し手はマイクを持つ、それ以外は聞き手、と視覚的に分かりやすくするのもありです。または、うなずきや、相槌など動作と一緒に「聞く姿勢」を覚えるのもあり。

だけど、子どもを変えるより、大人が「今からお話しするよ。先生が話している時は、話さずに聞いてね」と事前に聞く姿勢を伝えるとか、「『どうぞ』って言われたら、話してね」と話すタイミングを伝えておくとか、空気を読みやすい環境を大人が整えることをおすすめします。さらに、友だちとの会話中、空気読めない発言しちゃった子には、大人が「なるほどね、S ちゃんは、~って言いたかったのかな」とその場で代弁したり、「よく思いついたね!じゃ、こんなのはどうかな」と話題を逸らしたりして、子どもたちの気持ちを台無しにしないアフターフォローしたいですね。

大人になればなるほど、周りを気にして自分の意見を言うことが臆病になってしまいがちですから、子ども時代に自分の思いを思いっきり表現して、「それもあり」と受け入れてもらえる経験を重ねてほしいものです。

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前回のお話はこちら

【発達凸凹の子ども達へ・まり先生の解決記】文字を読むのが苦手だけど・・・。定規を使う、代読、いろいろな方法を試してみよう!【マンガ あやまらなくていいんだよ 】
発達凸凹の子たちの想い トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにな...

原作

松尾まりか|特別支援学校教員資格・公認心理師
日本と海外の特別支援学校で14年間勤務した後、特別支援学級で勤務。児童発達センターの指導員、乳幼児の発達相談員と、教育界と福祉界を渡り歩きつつ、発達が気になる子と関わる教員、支援員、高校の寮のハウスマスター向けに、すぐに実践できる研修も行う。モットーは、子どもたちの 『人生っていいもんだな、おもしろいな 』を増やしたい。小学校・幼稚園・特別支援学校教員資格・公認心理師。

企画構成イラスト

エイイチ|イラストレーター
テレビや書籍にて漫画、挿絵、芸能人の似顔絵を描いているほか、学校の教材アニメーションを制作したりするなど、多様なコンテンツを手がける。著書に「見えないボクと盲導犬アンジーの目もあてられない日々」(小学館)「スキンヘッドパパの育児日記」(日経BP)など。東京都生活文化スポーツ局「パパズ・スタイル」にて子育て漫画を連載中。

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