発達凸凹の子たちの想い
トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにない強いこだわりの理由などを知ると、子育て中のイライラが、爆発する前にボヤ騒ぎくらいで済む場合があるんです。
クスッと笑える漫画を得意とするイラストレーター エイイチとコラボして、子育てに愛と笑いと「まぁいっか」を注ぎ込む『大喜利的エデュケーションマンガ』第5弾!
あやまらなければダメ?
算数は大好きだけど、テストは大嫌い!だって、文章題が読めないんだもん!だから、やらない!
文字を読むだけが理解の方法じゃない
問題を理解する方法は、いっぱいある。学校のテストが「学習したことがどれくらい分かっているか、どこが分かっていないか」というのが目的なら、問題を読んでもらって答えてもいいよね。テレビのクイズ番組だって、司会者が話して問題をだすし、テロップも出るし、それがズルいなんて言われないもん。
なんでかな?
文字は書けるんだけど、読むのが苦手な人もいるんだ。
ひらがな1文字1文字を読むのに必死で時間がかかり、文の意味まで考えられない。算数の計算はできるし、文章問題も聞けば意味はわかるけど、『読む』という行動があることで頭がパンクしちゃうこともあるんだよね。
こうしてみるといいかもよ
代読してもらったり、音声教科書で聞けば、話の内容が理解しやすいよ。文節ごとで、斜線を引いてくれたら、単語の区切りがわかりやすくなって、少し読みやすいときもあるんだ。テストは、読んでくれたら、答えは書けるよ。
公認心理師・松尾まりか先生が解説
読むことで疲れ果てさせ、大事な目的見逃さないで
「文字を読むことが苦手」ということには個人差があり、文章をうっかり読み間違える子もいれば、スラスラと読むことが難しい子もいるし、読むことはできても理解するのが難しい子もいて、それぞれなんです。おしゃべりが得意で物事を流暢に説明したり、意見をはっきり言えるタイプでも、読むことが苦手な子はいます。教科書に顔がついちゃうほど近づいて読んだり、人差し指で文字をひとつひとつ指して読んだり。そうすると身体に力が入って肩が上がり、音読するときには喉も力んで声を振り絞るしかなく、棒読みになっていたり…。終わった後は、脳みそも使いすぎてぐったりしているので、本当に疲れるんだなぁと感じたことがあります。
特にテストなどは、文章を声に出して読まず、黙って読みますよね。国語の音読などでは、一回読むと音で内容を理解したり、音で文章を覚えたりして、同じ文ならば少し読むスピードも更新されますが、初めて見た文章で黙って読むとなると、まぁハードルが高くなる子が多いです。
「読めないから先生読んで」とヘルプを出せる子であればいいですが、困っていることを言えずに何も書かないか、はたまた何も書かないと暇だからテスト中に遊び始めちゃう子もいます。そりゃ、1 時間暇なら寝るか、遊ぶかになりますよね。そこでじっと耐えろって、修行僧かという話。極端な例ですが、私たちだって、馴染みのないクメール語で書かれた国語の問題を読んで「回答は日本語で書いてよし!がんばれ!!」と言われても、困るでしょう。百歩譲って中国語で書かれていて、漢字で推測したとしても難しい。
目的の優先順位をつける
だったら、どうするか。目的や難しさによって、読むのか、代読で読んでもらうのかなど、補助教材などの支援を決められるといいのではないかなと思います。もちろん、読む練習のときはスモールステップでレベルを決めて練習をしますが、テストのときなどは、各教科の知識を確認したいので「読む」はひとまず置いておくのも手です。個人差になりますが、問題文だけ読んであげたり、事前に問題文の文節に線を入れておいたりしてね。
大事なのは、欲張らないこと! 子どもたちにどんな力をつけてほしいのか、どんな力を確認したいのか、その活動で『イチバン大事な目的』を達成するためにどうするかを考え抜きます。親や先生というのは、あれもこれもと言いたくなる性分ですが、そこを優先順位をつけて、できれば一つに絞る。その目的を基準にして、目をつむったり、削ぎ落としたり、加えたりするものを判断して、子どもが「あ、これならできるかも」という環境を整えることが、大人の腕の見せどころなんですよ! そうやって、『あ、これならできるかも環境』のなかで成功体験を積み重ねた子は、「~すれば、うまくいく」がわかるから、大人になっても強いのです。