「公立中高一貫校」は私立の中学受験とどこが違う?特徴は?公立中高一貫校合格アドバイザー・ケイティさんに聞いた基本のき

中学受験といえば私立の学校が主流ですが、近年「公立中高一貫校」もとても注目されています。先日行われた都立中高一貫校の受検では平均倍率約4倍と、人気私立中学校に並ぶほど。とはいえ、親世代の中学受験のころにはなかった学校形態なので、いまひとつピンとこない、という人も多いのでは? そこで公立中高一貫校合格アドバイザーのケイティさんに、学校の魅力や特徴のある入試について伺いました。前編では、公立中高一貫校の特徴や魅力、受検を考える際の注意点をお伝えします。

特徴①高校受験がないので、やりたいことに没頭できる余裕がある

公立中高一貫校とは、その名の通り、中高6年間一貫で過ごす公立校のことを指します。

高い水準の教育と、高校受験のない6年間

「公立中高一貫校が地元の公立中や公立高校と一番違うところは、中学から高校までの6年間を‶一貫して学ぶ〟ということ。6年間変わらない環境で、ダブりや途切れのない一貫したカリキュラムで、高い水準の教育を受けられるのが特徴です」と公立中高一貫校合格アドバイザーのケイティさんは言います。

中高一貫は私立校でも多い特徴ですが、その魅力はなんといっても「高校受験がない」ことでしょう。伸び伸びとした学校生活のなかで、受験で中断されることなく自分のやりたいことに没頭したり、部活動に打ち込んだりできますし、大学受験の準備も余裕をもって進められます。

学費の安さも魅力的な特徴

そして公立中高一貫校が親にとってうれしいのは、その学費の安さ。公立なので中学校3年間の学費は無償ですし、高校も公立高校と同額です。また、受検の申し込み費用も私立校に比べるとはるかに安く済みます。

特徴②受験ではなく受検。私立中入試と大きく違い「適性検査」で入学者を決める

適性検査では作文課題も多い

私立中学との大きな違いは、入学者の選別方法です。私立中学は教科書の範囲を超えた幅広い知識やそれをベースにした思考力を求められますが、公立中高一貫校は教科書の範囲内の出題で、「この学校にふさわしいかどうかの適性をみる」という「適性検査」が行われます。「試験」ではなく「検査」なのです。

「私立中入試の4教科別とは違い、適性検査では複数の教科の知識を活用して論理的に考え、表現する力が求められます。その難易度はどんなに対策をしていても合格率は五分五分というほどレベルの高いものです。ただ、この適性検査をくぐり抜けて合格しただけあって、地頭のよい、考える力のある生徒が多く、私立型の入試よりも多様な子どもが集まる印象がありますね」(ケイティさん)

★詳しい公立中高一貫校の入学者選抜方法については、後編「適性検査って?親のサポートも必須?入学選抜のしくみと対策」でも解説しています。

特徴③授業の進度も速く、特色ある授業を展開

公立中高一貫校は現在、全国で約600校ありますが、その数は都道府県によって大きく異なります。茨城県の13校、東京都の11校(区立中高一貫校を含む)などはかなり多いほうで、県内に1校、2校と少ないところもあります。

公立中高一貫校には「併設型」「中等教育型」「連携型」といったタイプがあり、とくに中等教育型は高校からの入学者がなく、6年間一貫したカリキュラムで学習するのが特徴です。併設型は高校からの入学者も募集しますが、東京都立の併設型中高一貫校のように、現在は中学からの募集のみで、高校からの入学ができないところもあります。

外国語学習に力を入れている学校が多数

「多くの公立中高一貫校では‶将来、国際社会で活躍するリーダーを育成する〟という目標を掲げていて、独自の教育方針のもと、外国語学習や探究活動、体験的な学習に力を入れるなど、特色のある授業を展開しています。地元の公立中に比べると授業の進度も早く、主要教科の指導時間を増やし、補講などの学習指導を充実させるなど、授業の質も高い傾向にあります。もちろん学校によりけりな面はありますが、基本的に私立中に引けは取りません。その結果、難関大学への進学実績もよいことも魅力ではないでしょうか」とケイティさんは続けます。

特徴④校風は自由なところが多い。基本的には「勉強優先」の学校生活

実際の学校生活の様子はどうでしょうか。中高生という多感な時期に3歳以上離れている先輩や後輩と同じ環境で学んだり、部活動に励みながら友だち関係、人間関係を育んだりできるのも中高一貫校ならではの特徴でしょう。

「個人差があるのであくまでも一例ですが、実際に都立中高一貫校に進学したある生徒の話では、部活動などでは上下関係があるけど、厳しくもなくゆるくもなく、他学年との交流も特別に親密というほどでもなく普通……ということでした。校風はとても自由で‶勉強さえしっかりできていれば、あとは干渉しない〟という暗黙のルールがあったといいます。部活動に思いっきり打ち込んでいても、基本的には‶勉強優先〟で、文化祭や体育祭などの学校行事も私立校のように羽目を外して大盛り上がりということは少ないようですね。たしかに‶学校には勉強をしに来ているんだよね〟という意識をしっかり持っている生徒が多いと感じます」(ケイティさん)

特徴⑤「勉強が好きな子」や「努力すること」がバカにされない

「思い切り勉強したい!」という子には最高の環境だとケイティさんは言います

また、私立校は落ちこぼれをつくらないよう補講や個人指導を行うなど、手とり足取りサポートしてくれる学校もみられますが、公立中高一貫校は比較的「過度なサポートはしない」学校が多いようです。もちろん意欲的に勉強に取り組んでいる生徒に対しては、適切なアドバイスやサポートをしてもらえるので、良い意味で「大人扱い」してくれるところでしょう。全体的には前期課程(中学)は先生の指導も厳しく、後期課程(高校)は自主性に任せるという学校が多いとケイティさんは言います。

「生徒たちは勉強する理由がわかっているので‶勉強が好きな子〟や‶努力すること〟をバカにしないという空気があると感じますね。思い切り勉強したい、自分の好きな分野を突き詰めたいといった子には最高の学習環境だと思います」(ケイティさん)

 特徴⑥入学選抜の倍率が高く、対策が難しい

このように公立中高一貫校は魅力的な点が多々ありますが、注意する点もあります。

入学選抜の倍率が高い!

人気が高いこともありますが、先に説明したように学校数が少ないことに加え、公立中高一貫校の受検日は1日だけなので、1校しか受験できないことも理由です。私立中のように併願はできません。

また適性検査については、作文課題などもあるため、どんなに対策をしてもその努力の成果が確実に得点に反映できるかわからないといった難しさがあります。

意外とかかる? 授業料以外の教育費

それと意外な注意点が教育費です。授業料は驚くほど安い公立中高一貫校ですが、実際進学した生徒たちの話によると、入学してすぐに塾通いが始まるのも普通だとか。

「また、海外研修のある学校ではそのための積み立てもあるようですし、部活動によっては必要な道具やユニフォーム、遠征費など私立校並みの費用がかかる場合もあるようです。通学や塾にかかる費用なども含め、教育費トータルでは私立中とさほど変わらないとさえ思うケースもあります」(ケイティさん)

 

 入学するのは難しいけど、6年間を一貫したカリキュラムで特色ある教育を受けられるなど、魅力の多い公立中高一貫校について紹介しました。

後編では、入学選抜で行われる「適性検査」について対策とともに解説します!

「公立中高一貫校」の適性検査って?親のサポートも必須?入学選抜のしくみと対策【中学受験】
地元の公立中や、私立中とはまた異なる「公立中高一貫校」。前編では公立中高一貫校の特徴を紹介しました。>>前編はこちら 教科の枠を超えた「適...

お話を伺ったのは

ケイティ | 公立中高一貫校アドバイザー

公立中高一貫校合格アドバイザー。大学在学中に大手進学塾講師として子どもたちに指導するなかで、中学受験で親子関係が壊れていくケースや、進学後に燃え尽きる子どもたちをたくさん見たことから、独立後も「合格をゴールにしない」をモットーにした指導やアドバイス徹し、人気に。適性検査対策の様々な情報を配信する「ケイティブログ 適性検査徹底攻略! 公立中高一貫校」を主宰。著書に『公立中高一貫校合格バイブル』など多数。

ケイティブログ 適性検査徹底攻略! 公立中高一貫校https://katy-tekiseikensa.net/

『公立中高一貫校合格バイブル』

実務教育出版(1,980円税込み)

取材・文/船木麻里

編集部おすすめ

関連記事