なぜイスラエルとイランは争っているの?
2025年6月現在、中東の国であるイスラエルとイランが、互いに攻撃し合う大きなできごとが起こっています。この問題にアメリカも関わり、事態はさらに複雑になっています。なぜこの衝突が起きたのでしょうか。
イスラエルとイランは、長い間、仲が良くありません。その大きな理由の一つは、イランが核兵器を作ろうとしていると、イスラエル側が心配しているからです。核兵器はとても危険な武器ですから、イスラエルは「もしイランが核兵器を持つと、イスラエルの平和が脅かされるかもしれない」と考えています。一方、イランは「私たちは平和のために核技術を使っているだけだ」と主張しています。
6月、イスラエルはイランの核施設を空爆しました。イスラエルは「これは、イランの核兵器開発を止めるための攻撃だ」と説明しています。イランはこれに怒り、ミサイルやドローンでイスラエルに反撃しました。この攻撃で、両方の国で多くの人がケガをしたり、建物が壊れたりしました。
なぜアメリカが関わったの?
アメリカにとって、イスラエルは大切な同盟国です。6月21日、アメリカのトランプ大統領は、イランの核施設を初めて空爆しました。米国とイランも長年対立関係にありますが、米国がイラン領土を空爆したのは今回が初めてです。

トランプ大統領は「イランの核兵器開発を止めるため」と話しています。この攻撃はイスラエルと協力して行われ、アメリカの特殊な爆弾を使って、地下にある施設を壊そうとしました。
イランはこれに強く反発し「アメリカは国際法を破った」と非難しました。イランの外務省は「報復の可能性もある」と警告しています。このため、中東の緊張はさらに高まっています。
大きな戦争になる可能性も
この問題はとても複雑で、今後を予測するのは難しいです。しかし、いくつかのシナリオが考えられます。
①大きな戦争になる可能性
まず、今後さらに戦闘がエスカレートするシナリオで、イランがアメリカやイスラエルに強く反撃すると、もっと大きな戦争になるかもしれません。
②大きな戦争にならないが、互いの攻撃がしばらく続く
また、大きな戦争にはならないけれど、ミサイルやドローンの攻撃がしばらく続くかもしれません。その場合、中東の平和が不安定なままになります。
③話し合いによって戦いを止める
一方、イラン、アメリカ、イスラエルが話し合いを始めて、戦いを止める道を探す可能性もあります。欧州やグローバルサウスなど多くの国々は当事国に対して自制を呼び掛けています。
※6月24日時点でトランプ大統領は「イランとイスラエルが停戦に合意した」と自身のSNSで配信しましたが、実際に停戦の運びとなるかどうか予断を許さない状況です。
日本では、ガソリンや電気の値段が上がる可能性
日本は中東から遠い国ですが、この問題が日本にも影響を与える可能性があります。イランは、ホルムズ海峡という石油を運ぶ大事な海の道を封鎖する可能性を示唆していて、これが起きるとガソリンや電気の値段が上がる可能性があります。

日本は輸入する石油の9割を中東に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過するので、日本にとっても身近な問題です。ガソリンや電気だけでなく、物の値段も高くなるかもしれません。
また、イランやイスラエルに住んでいる日本人が、戦いに巻き込まれる危険があります。日本政府は、イランやイスラエルなどに住んでいる日本人を安全な場所に避難させる政策を急ピッチで進めています。
皆さんに考えてほしいこと
戦争は多くの人を傷つけ、幸せを奪います。ですから、世界の国々が協力し、話し合いで解決することが一番大切です。
日本は、唯一の被爆国として、核の廃絶のため長年積極的な交渉を続けています。皆さんも、ニュースを見たり、先生や家族と話したりして、なぜこんなことが起きているのか考えてみてください。そして、平和の大切さや、違う国の人たちと仲良くすることの意味を学んでほしいと思います。
イスラエルとアメリカの関係はこちら(2024年11月)
記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバスサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。