※ここからは『FPたけやきみこ先生が娘に伝えたい お金の話』(小学館)から転載・再構成しています。
目次
お金について子どもに教えるのはメリットがいっぱい!
お金のことだからこそオープンに
私は親や祖父母から「人前でお金の話をするなんていやしい」と言われてきました。しかし、今の時代はどうでしょう。買い物の決済はキャッシュレスになり、お金の稼ぎ方や働き方も多様化してきました。お金の需要も大きく変化してきて、お金の話はタブーなんて言っている場合ではありません。
親子で膝を突き合わせて真剣にお金の話をする機会はもっとあってもいいのに、もったいないと思います。普段からご家庭でお金のことを子どもに話してみてください。親が自然にお金の話をできていれば、お金へのイメージも悪いものということはなくなりますし、興味を持ち、大好きになって、お金と上手に付き合えるようになります。
お金を学ぶと、ガツガツしちゃう? 早めに子どもの特性を知ることが大切
お金は私たち大人にとっても特別な存在。普段、冷静な人が、お金のこととなると急に態度が変わるということもあります。子どもも同じ。普段は決して見えないお金を前にしたときの「横顔」があります。子どものお金への執着度、関心度、距離感を「お金の教育」を通じて、知っていただきたいのです。貯めてばかりの子、使う楽しさに目覚めてしまう子、お金のことばかり聞く子。怖いかもしれませんが、特性を早めに知ってほしいのです。
残念ですが私の経験上、その特性は大人になっても、基本的に変わらないということがわかりました。だからこそ、親の方が子どもの特性をよく理解し、その子に合った教育を考えてほしいと思います。それは親だからこそ伝えられる哲学になります。その結果、子どもの一番の理解者になり、親子の信頼関係を築くことができます。
【子どもにお金の教育をするメリット】
- 子どもがお金を大好きになれる
- お金に対する子どもの「横顔」を知ることができる
- 子どもの特性を知り、足りないところを補うことができる
- 親子の信頼関係を築くことができる
- 親も一緒に学ぶことができる
いつから始めても大丈夫!お金の教育
13歳からでもお金の教育は間に合う
「小学校までの12歳までにお金の教育を始めましょう」とお話をしています。そのころまでは素直に話を聞いてくれることが多く、始めやすいという利点があるからです。思春期に入ると、何かとぶつかることがあり、特にお金に関しては、「さっさと、頂戴‼」と急かされて、渡したらそれっきりなんてこともありがちです。
でも、お金の教育を「する」のと、「しない」のとでは、将来、雲泥の差がつきます。学校でも学ぶ機会があるかもしれませんが、お金にまつわるマナー、トラブル、儲け話など身近な題材や具体的な方法、解決方法などは家庭での教育に頼っている状況とも言えます。会話が減ってくる年ごろにこそ、お金について積極的に伝えていきましょう。
家族で守るルールを決めておく
お小遣いをはじめ、お金の教育を続けていくためには、「ルール」があると安心です。我が家では「ルール5カ条」を作りました。このルールは見えるところに貼って、みんなで守るようにしました。
ルールは数が多すぎないようにして、内容は親が決めましょう。五の「困ったときには、親に相談する」という項目は必ず入れてください。
中高生からはお金を使う行動範囲が広がります。危険と隣り合わせの時代ですので、架空請求や悪いバイトの誘いなどに引っかかってしまったときに、親にすぐに相談するようにさせるためです。子どものときのトラブルは親がフォローできるものがほとんど。友達ではなく親に相談してもらうためには信頼関係も大切で、「何があってもあなたの味方」だと日ごろからメッセージを発信し続けましょう。
お小遣いはお金教育の一環
定額制で管理力を磨く
お小遣いは、自分でやりくりできる「自由なお金」です。限りあるお小遣いをどうやりくりするか、お金の教育の一環として導入してはいかがでしょうか。我が家のお小遣い制度をご紹介しますので、参考にしてください。
お小遣いは毎月もらう定額制から始めて、次月のお小遣い日まで、子どもにやりくりさせます。毎月買う雑誌や携帯代、お菓子など、今までは家計から支出してきたものを子どもに任せる場合は、その分お小遣いに上乗せをします。後々、誰が支払うなどとトラブルにならないように、お小遣いを始める前にその範囲を親子で決めておくことが大切です。
管理の方法は、財布がメインになります。記録用に小遣い帳を付けられればいいのですが、難しければ付けなくてもオッケーです。ただし、買い物したときのレシートや領収書は、専用のノートに貼って保管をさせておきましょう。自動販売機などレシートをもらえない買い物をしたときでも、できる限りこのノートに書き留めさせます。
家計簿のように、費目別につけて、計算する必要はなく、「いつ」「何に」「いくら」使ったかがわかるようにしておきましょう。今月はどうして手元にお金がないのだろうと思ったときに、一緒にノートを振り返ってみれば、お金がない理由がわかります。こうして、子どもが自身の消費行動に気づくことができます。
お小遣いを通して、一定期間やりくりする経験を積むことができれば、徐々に管理するチカラも付いていきます。途中で、お金がなくなってしまい、前借りをせがまれても応じないようにしてください。なぜなら、ここで我慢できなくなると、大人になってから軽い気持ちで、キャッシングやリボ払いに逃げてしまうからです。
借金もアルバイトも経験させる
親子間でのお金の貸し借りは、高校生からOKとしていますが、ただでは貸すことはしません。まず、借りたいお金の使途を子どもにプレゼンしてもらいましょう。そして、返済するためにどう稼ぐか、アルバイトができる環境であれば「働く」経験をさせてみましょう。
借金を返済するということは、返済の期日に約束したお金を返すことです。働いて得たお金があっても、何よりも優先して返済に充てなければいけません。もちろん、欲しいものや貯金は二の次になります。つまり、借金をしたら、その返済を最優先すべきという道理を教えなければいけません。
ただ、返済のためにしても、アルバイトは世の中の仕事や職業に触れることができるチャンスです。求人サイトを探してみるとわかるのですが、自分に合った条件はなかなか見つからないものです。その場合、アルバイトを探すときのポイント、条件や契約内容参考など、譲れない条件を見極めて根気よく探させましょう。また、アルバイトが決まったら雇い主と契約を結びますが、その契約書の内容についてしっかり親子で確認するようにしましょう。面接に行ったときには、実際に就労する職場環境を見せてもらうことも忘れずに伝えます。将来の仕事も子ども自身が決めるのですから、このようなプロセスを経験させましょう。
我が家の場合、高校生の息子が自転車を自作したいという理由でその資金を貸しました。息子は返済のために夏と冬の休みを利用したアルバイトも経験しました。本当は夏休みだけのはずが、それでは追いつかず冬休みも働くことになり、しかも給料全額を返済に充てなくてはなりませんでした。汗水流して働いて得たお金なのに、自分の自由にならないという経験をしました。その貴重な経験は大人として独り立ちしたあとも、判断の基準として助けてくれると信じてお金の教育をしています。
※ここまでは『FPたけやきみこ先生が娘に伝えたい お金の話』(小学館)から転載・再構成しています。
著書では、お金をテーマに幅広い内容を網羅
我が子はお金に苦労せず育ってほしいと願う親御さんも多いと思います。そのためには、小さい頃からのお金の教育が必要です。
今回はおもにお小遣いについて紹介しましたが、著書では、株やNISA、キャッシュレス決済、金銭トラブル、給与明細の見方、税金や社会保障、離職に離婚のリスクまで、子どもが人生をサバイブするための情報がたっぷり掲載されています。
著者のたけやさんは、社会人の娘さんと大学生の息子さんがいるため、自身の子どもがやっていた投資やクレジットカード選びなど、HugKum読者のパパママがこれから知っておくべき情報も幅広く伝えてくれています。
子どもへのお金教育へ役立つ!著書をチェック
お金教育の第一人者FP・たけやきみこ先生の、自分の娘に伝えたい「女性が生きていく上で知っておきたいお金の話」を、マンガで紹介します。
進学や一人暮らしなどライフイベントにかかるお金、給与明細の読み方や税金の話、貯金や投資に関する知識に加え、奨学金や教育ローン、社会保険など困ったときに頼りたい制度も詳しく解説。離職・離婚後のリアルな経済状況など、あらゆる局面で役に立つ本です。
子どもが「生きるチカラ」を身につけるために親ができること
著書内で、たけやさんはこう語ります。
娘には「お金の教育」を子育ての中で実践してきました。その目的は「生きるチカラ」を付けること。最終的な理想は自分の手でライフプランを立て、生活設計を考えながら生きていけるようになることです。
現在は私たち個人が生活設計を考えなければならない「自立の時代」です。国や会社にも依存はできません。必要なお金は自分で稼ぐ時代。でも、苦しいときは支援制度やサポートなどを頼れるようにするのも親として教えておきたい。
同書は、子どもの自立促進に役立つ情報はもちろん、親御自身が勉強になる内容ばかりです。ぜひ手に取ってみてくださいね。
教育費を徹底解説!こちらの記事も参考に
著者紹介
ファイナンシャルプランナー。SAKU株式会社代表。2人の子をもつ。「お金の教育」の専門家として、“まわりに流されない家庭教育”をモットーに、全国の小学校や高校での講演や、子育てサイト・雑誌、TVなどでの発信を続けている。著書に『子どもの一生を決めるおうちお金教育』(KADOKAWA)、『一生お金に困らない子どもの育て方』(幻冬舎)、『マンガでわかる!子どもにちゃんと伝わるお金の「しつけ」』(近代セールス社)など多数。
文・構成/HugKum編集部