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池田屋がランドセル型リュックをつくった理由とは?
池田屋は豊富なカラーバリエーションと6年生まで飽きずに使える美しく品のあるデザイン、6年間の安心保証で多くのファミリーから支持されている老舗のランドセルメーカーです。ランドセルが主力商品の中、昨年からランドセル型のリュックを発売。
ランドセル以外の選択肢を作った理由、そしてその商品の魅力を池田屋の代表取締役社長を務める長岡和久さんにお伺いしてきました。
お話を聞いた方
池田屋 代表取締役社長 長岡和久さん
1950年創業! 池田屋ランドセルの歴史とは?
長岡さん(以降長岡):創業は1950年4月1日で、今年の4月で75年目になります。創業当初の1950年(昭和25年)は戦後で物資が潤沢ではなくランドセルを使っているのはごく一部の人でした。だいたい1960年(昭和30年)以降に日本全国にランドセルというものが広まったと言われています。
–池田屋さんでは当時からランドセルを取り扱っていたのでしょうか?
長岡:池田屋は自社で企画・開発を行い、生産は最適な工場さんにお願いしています。当時からランドセルの取り扱いはありましたが、仕入れたものを販売していました。
当時は、まだまだ素材や技術的にとても良いというわけではなく、作りも今のようには考えられてはいませんでした。
より良いものを提供したいと考え、子どもたちの声をもとに肩ベルトの改良などをしていき、1986年(昭61年)に「池田屋オリジナルランドセル」を完成させ、現在に至ります。
老舗ランドセルメーカーが「エアリュック」開発に至るまで
–池田屋さんがランドセル型のリュックを開発したと聞いたときは驚きました。リュック型の商品を開発するきっかけはなんでしょうか?
長岡:リュック型のランドセルは私立の小学校、京都や滋賀県の一部などでは昔から採用されています。3年ほど前から世間に認知され、皆さんがランドセルを選ぶ時の選択肢に入ってきました。
私たちが長年ランドセルづくりにおいて一番大事にしているコンセプトは「子ども思い」です。リュック型を望む人が増えたのなら、見合ったものをご提供していきたいという想いがあります。そこで、やるなら徹底的に作ろうということで、池田屋が培ってきた経験を全部詰め込み、商品開発に取り組みました。
— リュック型の商品を作るにあたって特に意識したことはなんでしょうか?
長岡:そもそもなぜリュック型ランドセルが皆さんの興味を引くようになったのかというと、やっぱり軽さなんですよね。作るうえで一番考えたのは、どうしたら強度を保ったまま軽くできるかということです。それが開発するときの一番のテーマでした。
強度を保つとなると補強材を入れるのが一般的ですが、そうすると重くなるんですよ。材料が増えると重くなるので、まずは材料の選定から熟考しました。
–新しい商品を制作するうえで意識したことはありますか?
長岡:池田屋では、一般の商品も販売しており、修理としていろいろな鞄が持ち込まれます。
特に中学校の学校指定の鞄や、リュックなどの修理が多く、どこが壊れやすいのかという実体験に紐付く知見がたくさんあります。その知見を活かし、特に壊れやすいところを強化し、頑丈な作りにしました。また、万が一壊れた時に修理できないと意味がないので、壊れたときの直しやすさも考えて設計しています。
近年のランドセルの変化とエアリュックのお客様の反応は?
長岡:昨年の4月からエアリュックの販売を始めたのですが、当初はあまり宣伝しませんでした。チラシも作成しましたが店頭にひっそりおいてある程度で、探している方が情報を聞きつけてきてくれたり、たまたま店頭で見つける方がいる程度でした。
–発売当初はひっそりと販売されていたのですね
長岡:最初は様子を見ながら販売を始めたのですが、WEBアンケートなどでリュック型ランドセルも検討に値するという方の割合が年々増えているので、今年からは積極的に紹介をしています。
–実際に「エアリュック」を見たお客さんの反応はいかがですか?
長岡:興味があって見る方は多くいらっしゃいますが、ランドセルとの違いを案内するとランドセルを選ぶ方がまだまだ多いです。
ランドセルには何十年という歴史があり、ほとんどが6年間普通に使い終えることができるんですよ。
毎年100万人もの子どもたちの大半が6年間使いきれる鞄は、他に探してもほとんどないくらいとても優れた鞄なんです。
–ランドセル型のリュックが登場したことで市場の変化は感じますか?
長岡:ランドセル型リュックには実績がまだないので、これからというところでしょうか。興味を持っている方が増えている実感はありますので、ランドセル市場も変化が始まってきたのかなと思います。
ランドセル型リュックは軽さが注目されていますが、ランドセルも機能性が高まり軽くなっているので、中身を入れた状態で持つと、革とナイロンではほとんど違いはわかりません。
重たいものは鞄ではなく中身なんですよね。2018年に文科省は正式に「置き勉」を認めましたが、子どもたちの荷物の負担が改善されたらいいですね。
池田屋渾身の「エアリュック」こだわりポイントをチェック!
開発に関する秘話を聞いただけでも魅力がいっぱいの「エアリュック」。ここからはおすすめのポイントを長岡さんに紹介いただきます。
エアリュックのおすすめのポイント
エアリュックのおすすめ4大ポイント!
・軽さ
・強度
・充実の収納と機能性、修理対応
・6年間保証
Point.軽さ
–軽さにこだわったということですが、重さはどれくらいになりますか?
長岡:圧倒的に軽くしたいと思い、通学でも使えるマルチリュックという位置づけでランドセルというわけではなく、名前も軽さをイメージした「エアリュック」にしました。
かぶせ部分は取り外し可能になっていて、なしの状態で650グラムという軽さが一番の特徴になっています。
リュックは軽いイメージがありますが、素材によってはランドセルとあまり変わらなかったりしますので、もっと軽くしようと考えました。2種類のかぶせがあるのですが、人工皮革が140グラム、本体と同じ素材のタイプが130グラムで、それぞれ取り付けたとしても790グラム以下になります。
Point.強度
–強度を保った上で軽い、ということですが強度のポイントを教えてください
長岡さん:6年間使っていく上での課題は、表面の摩擦などによる生地の傷みです。いかに丈夫なものを使うかが大事なことだと思いました。そこでアメリカのインビスタ社が開発したコーデュラナイロンを使用しています。
一般的なナイロンの約7倍の摩擦や引き裂きの強度があるとされています。
Point.充実の収納と機能性、修理対応
–リュックなのにランドセルと同じように自立するようになっているのも驚きました
長岡:底部分に底鋲をつけて、自立するようにしてあります。底部分も擦れやすい場所なので、非常に強い合成皮革を使用しています。
–修理がしやすい設計とのことでしたが、どの部分に工夫をしているのでしょうか?
長岡:リュックで修理が多い箇所が、縫製が取れてくることがあるベルトの付け根部分です。
通常のリュックは表だけですが、エアリュックは裏も生地を当てて、縫製も両側から止めています。とにかく頑丈になるように、試作を重ねて作りました。
6年間使うことを考えると、それでも絶対とはいえませんので、リュック内側の背面にポケットをつけて、壊れても縫製を掛けられるように修理用の小窓を作っています。もちろん荷物を入れても大丈夫です。
–ランドセルにはない、サイドポケットが付いているのもいいですね
長岡:外側に付いているのはただのポケットではなく、3センチくらいの底マチがついています。両サイドとも、水筒やペットボトルも外側できちっと収められるようになっています。
小学校の先生から水筒を中にいれると、こぼれて教材が濡れてしまうことがあると伺い、外に収納できるように考えました。中の収納が狭くならないようにマチをつけて外に広がるように一工夫しています。
Point.6年間保証
–ランドセルのように「エアリュック」にも修理保証があるのですよね
長岡:ランドセルでは6年保証が付いていますが、通学カバンとして安心して使っていただきたいという想いを込めてエアリュックも思い切って6年間の修理保証を付けました。お客様からも安心して頂けています。
ぜひ手に取ってみていただきたいですね。
エアリュックは「子ども思い」親御さんも納得の魅力がいっぱい
ランドセルのプロフェッショナルが作った「エアリュック」。
子どもの使いやすさを徹底的に追求されたこちらの商品は、リュック型を検討されている親御さんにも、高学年になって買い換えを検討されているご家族にもぜひ手に取っていただきたい商品です。
安心の6年保証で、ランドセルも、リュック型も両方試すことができるのも池田屋さんならでは。カラーバリエーションも豊富なランドセルとエアリュックは、お子さんが一番好きなものときっと出会えます。
本記事では紹介しきれないほどたくさんの魅力がある「エアリュック」。詳しくはホームページをご覧ください。
池田屋公式ホームページは>こちらから
もっと知りたい!池田屋が取り組む社会事業「子ども思いの森」
池田屋では、社会事業として2016年から「子ども思いの森」という活動を行っているそうです。子どもたちに必要な3つの力、考える力・伝える力・みんなでつながる力を育んでいくために、「子ども思い」の観点からアクティブに、クリエイティブに、課題解決に向けての事業を幅広く展開。どんな活動なのか事業部長の寺本さんにお話しを聞きました。
–どのような活動をされているのですか?
寺本さん:絵本作家さんやアーティストさんにご協力いただき、本格的なアートやものづくり、コンテンポラリーダンスなどを体験できるワークショップの企画・開催を通じて、子どもたちの生きる力を育むお手伝いをすることが主な活動になります。
また、私たちと同じ思いで子どもたちの生きる力を育む活動をされている企業や団体さんへのサポートも行っています。
2017年からは劇団四季の社会貢献事業「こころの劇場」を静岡県協賛企業として支援させていただいており、毎年、全国の小学6年生が授業の一環として劇団四季の舞台観劇を楽しんでいます。
店舗でワークショップも開催しています。「池田屋ミニランドセル」づくりではランドセルと同じ革を使っています。
ランドセルのかぶせの部分は革のきれいな部分を使うので、シワが多いものや傷があったりする部分は商品に使うことができません。
どうしても商品に使えない革の部分が出るので、大切な資源を無駄にしないため、このキットを作りました。
昨年からキッザニア甲子園さんからご依頼をいただいて期間限定の「ランドセル工房」として参加しています。とても好評なんですよ。
もう一つの人気ワークショップが、自分で描いた絵やデザインがランドセルカバーになる「ワンダーランドセル」です。
プロの絵本作家さんやイラストレーターさんの手ほどきを受けられるスペシャル回は特に好評で、親御さんも一緒に楽しまれています。これからも、子どもたちの生きる力を育むサポートをするイベントを企画中です。ぜひ公式instagramなどでチェックしてくださいね。
–素敵な活動ですね!池田屋さんの「子ども思いの森」についてのお話しも伺い、ますます池田屋さんの魅力にはまってしまいました。
池田屋さんの「子ども思い」は商品から、ワークショップ、子どもの生きる力を育む活動すべてに広がる
読者の皆さん、特に来年度入学のお子さんがいるご家庭はぜひ池田屋さんのランドセルやエアリュック、そしてHPをチェックしてみてください。ランドセル選びのヒントや、ワークショップなどお楽しみ情報がたくさん詰まっています。
※商品やワークショップの詳細情報は、公式ホームページや公式SNSからご確認ください。
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撮影/五十嵐美弥 取材・文/やまさきけいこ