【シングルマザーの中学受験 奮闘記|全寮制中高一貫校までの道のり】高望み過ぎる中学校見学で赤っ恥、いっぽう小学校では思わぬ事件が勃発…

公園に並ぶランドセル

シングルマザーと息子の中学受験奮闘実録、3回目。子どもの目指すべき学校を決めるため、学校見学へ。そこから見えてきた息子の本音とは!? 一方、学校ではいじめ事件が勃発…。

前回までの流れ】

● 考えもしていなかった中学受験。友達の影響で「塾に行きたい」と言いだす息子

● 塾に入るも、一番下のクラスから抜け出せず

● 塾長に相談したところ、「目標を明確にしたほうがいい」とアドバイスを受ける

 

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前回の「やる気を出さない息子の、塾通いの目的はもしかして…! 塾長との談判で気づいた私の誤算」はこちら≪

志望校を決める

ようやく「息子が勉強しないわけ」がつかめた私は、地元の中学校を研究することにしました。とはいえ、この地に引っ越してきたのは10年ほど前。地域への馴染みも薄く、どんな中学校があり、それぞれどういう特色があるのか? なんてことには全く関心がありませんでした。

唯一名前を知っていたのは、R中学校。以前、勤務していた会社の先輩の母校でした。久しぶりに先輩に電話をして話を聞いてみると、「伝統校だし目指すのはいいけど、 かなりの難関校だぞ」と言われました。

スマホで連絡

その言葉からは、どこか「あんたの息子には、難しいんじゃないの?」というニュアンスが含まれているようにも感じられました。

確かにR中学校は、このエリアでは偏差値が一番高い男子校。今の成績のままでは、到底入れる学校ではないと思いつつも、「まだ2年もあるんだし、このまま塾に行ってさえいればやる気も出るだろう。なんとか入れるじゃない?」なんて呑気な考えでおりました。

R中学以外にも、公立・私立を含めて5~6校のホームページや口コミを閲覧し、情報を収集しました。時期を同じくして、塾が主催する学校見学ツアーが開かれたので息子とともに参加することになったのです。

やる気をよび起こそうと、息子と学校見学へ

R中学校見学会、当日。集合場所へ行ってみると、私たちおめでたい親子には場違いな雰囲気でした。

参加しているのは、皆一番上のクラスの親子。説明会が始まると、子どもたちは進んでメモを取り始め、質疑応答の時間になると手を挙げて積極的に質問をしています。要するに心構えが違うのです。自分が入りたい学校であり、目指すべき学校ですから、真剣度や目の輝きが違います。

一方、我が息子はというと、口は半開きで、ぼんやりと話を聞いているだけ。「メモを取りなさい。みんなメモを取ってるじゃない」と小声で厳しく諭すと、「筆記用具、忘れちゃった」の一言。私は慌ててバッグの中からメモ帳とペンを取り出し、押し付けました。(この子ったら、何しに来ているのかサッパリわからないわ)と内心、我が子でありながら憎々しい気持ちになってしまいました。

学校見学

学内見学ツアーが始まっても、あっちへウロウロ、こっちへチョロチョロ。遠足で社会見学でもしているか、お気楽な旅行にでも来ているような感じでした。

その後、見学ツアーが催されるごとに3校ほど学校を見てまわりました。3校目を見終わったところで、夕食をとりながら「今まで見てきた学校のうち、どこに行きたいと思った?」と聞くと、覇気のない声で「行きたいところはないな」と答えました。「なんで?」と聞くと、私が予想もしなかった答えが返ってきました。

「全部男子校だったでしょ? 僕は男女共学がいいよ!」と。その答えに、(何よ、その答えは)と内心ムッとしながらも、「どうして男女共学がいいの?」とさらに質問をしました。すると、「女の子がいるほうが、がんばれるから!」と息子は言います。その答えに、頭から湯気が出るくらい、腹が立ってきました。

何か高い望みや希望、夢があるかと思いきや、「女の子がいる学校がいい」とは。こんな子が中学・高校へ行ったら、「きっと女の子に気を取られて勉強なんかするわけがない!」と思いました。

頭に血がのぼって興奮している中で、脳裏にある人物の顔が浮かんできました。それは、私の父。私の父は無類の女性好き。「若い頃はモテたんだぞ」と何度も武勇伝を聞かされたものでした。自分の恥を晒すようで本当に恥ずかしい話ですが、70歳を超えた今でも、きれいな若い女性を見ると声をかけたりします。そんな父の孫なんだから、血は争えないなと諦めの境地になりました。

行きたい学校が決まらないまま日は過ぎ、成績も上がる気配はまったくありませんでした。

突然に事件は起こるもの

勉強に関しては、私の期待にまったく応えてくれない息子ですが、普段の素行において私を悩ますようなことはありませんでした。乳児の頃はけっこう手がかかりましたが、物心がつく頃には周囲の人から可愛がってもらっていました。特に、ご年配の方からは「子どもらしく素直で、やさしいお子さんですね」などと褒めていただくことも。それが我が子の唯一の取り柄だとも思っていました。

そんな息子ですから、小さな喧嘩くらいはあったものの、学校で大きな問題を起こすようなことはありませんでした。あの日までは

ある日のこと、パソコンに向かい仕事をしておりますと、手元のスマートフォンが鳴るので見ると発信元は小学校から。慌てて出ると、担任のM教師でした。

話の内容は穏やかなものではなく、息子を含む数人の男子が、一人の同級生の女の子をからかったというのです。女の子は傷ついて泣きだし、帰宅したそうです。

ピンクのランドセル

「私からも厳しく叱り、指導しました。その後、皆で女の子に謝りました。本人たちは、ちょっとからかっただけだと言っていましたが、そうしたことがいじめにつながります。お母さんからも今後、同じことをしないように指導してください」と言われました。

学校でのいじめは根の深い問題であることは、十分認識していました。ですから、息子には「友だちをいじめたりしてはダメよ」と普段から言い聞かせていただけに残念な気持ちになりました。

帰宅した息子を問いただしてみると、素直に認め「ごめんなさい」と謝りました。本人も神妙な顔で深く反省している様子だったので、それ以上責めることはしませんでした。ただ、明日学校へ行ったら、「もう一度、しっかり謝りなさいよ」と念を押しておきました。私としては、この件はこれで終息したものと思い込んでいたのです。

時として大人の言動は、子どもの心を深く傷つけることも

ところが、予想もしなかった事件が起こります。普段は明るく帰ってくる息子が、大きな声でしゃくり上げながら、帰ってきました。「どうしたの?」と聞いても、なかなか答えてくれません。少し落ち着くのを待って話を聞いてみると、下校中、からかった女の子の両親に取り囲まれて、怖い形相で詰問を受けたというのです。

その父親からは「どうして、うちの子をいじめたりするんだ」と叱責された挙句、母親のほうからはシングルマザー家庭であることを揶揄する言葉を浴びせられたらしい

泣く小学生男子

そこで私は担任に連絡をし、今回の事情を伝えると、「ああ、そうでしたか。先方のご家庭には『今後そのようなことはしないでください』と伝えます」という、なんとも頼りない返答でした。担任の先生の弱腰とも受け取れる発言の理由は、のちのちになってわかることに

翌日、普段なら起きてくる時間なのに、息子は部屋から出てきません。部屋に呼びに行くと、布団をかぶって起きようとしませんでした。「早く起きなさいよ」と言っても、布団の中から「学校には行きたくない」と言うので、学校を休ませてゆっくり話すことにしました。

その後、10日ほど登校拒否が続きました。なんとか、なだめすかして私が送り迎えをするという約束したことで、やっと学校へ行ってくれるように。

1か月ほど送り迎えをしたことで、女の子の両親が待ち構えていないこともわかり、これまで通り一人で学校に行けるようになりました。この事件は、卒業するまでさまざまな形で尾を引くことになったのです

そして、私の子育て観を根底から覆すほどの影響を与えることにもなりました。

今回の学びと葛藤《まとめ》

●学校見学へ行くことで、見えてくるものがある

● 男子校・女子校がいいのか、共学校がいいのか、子どもの意見を把握しておいたほうがいい

● 勉強以外の問題も出てくる。親としての心構えが必要

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執筆/清宮ゆう子

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