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家族の髪の悩みから出合った「石けんシャンプー」からブランドを立ち上げ
俳優として長年活動してきた井浦新さんと井浦あいさん一家は、16歳の男の子と12歳の女の子がいる4人家族。それぞれの髪の悩みに合わせていくうちに、バスルームにずらりとボトルが並ぶようになっていました。特に悩みだったのが、大人の髪がやせてきたり乾燥したりしがちなことと、子どもたちの頭皮のケア。その悩みを解決できるアイテムとしてたどりついたのが石けんシャンプーでした。

井浦さんたちが本当に使いたいものとして2022年9月にローンチしたブランドが『Kruhi』。「石けんシャンプー」と専用の「トリートメント」が誕生しました。石けんシャンプーの高い生分解性を保ちながら、香りを惜しまず、キシミをできる限り抑えられます。従来の石けんシャンプーのキシミをできる限り軽減し、豊かでストーリーのある香りをまとうことができます。
『Kruhi』の由来は?
井浦新さんによると、『Kruhi』という名前は、「くる日もくる日も」という未来や明日の意味合いを持った大和ことばから名づけられているそうです。
そこには太陽の陽が来ると書いて“来る陽”とか、一筋の光がさしていい良い方向へと向かっていくなど様々な意味合いも込めています
製品はすべて自然由来100%
最初のアイテムの誕生から約2年半で、そのラインナップはタオルやスキンケアなどへと拡大。生み出してきた製品はすべて自然由来100%であることを目標にしています。
今の世の中には良いプロダクトというものはすでにあふれるほどあって、いいものは作れる時代です。そのなかで、私たちは“作っていく責任”も考えています。いろんなものを作っていきたい一方で、作るということはゴミを増やすということでもあると思ってます。ただいいものを作るだけではなく、そのものを作ることによって関わってくださるすべての方たちがまずはHappyになり、使っていただける方たちがよりHappyになっていただけるようにしたい
規格外のものを新しい価値に
生産工程では、一般流通からは規格外とされてしまっているものなどを素材として生産者から購入し、新しい価値に変えています。例えばプロダクトに使っているものだとスキンケア製品に使っているトドマツは、幹の部分は建材として使われますが、残った葉や枝は全部生産者の方たちが処分します。それを『Kruhi』が購入し、そこから香りやエキスをとってプロダクトへと活用しています。
また、生産過程でも、農業に福祉の方々の才能を生かしてもらう“農福連帯”を導入。パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードとブルー・リボン・フライズのオーナー、クレイグ・マシューズによって2002年に設立された非営利団体「1% for the Planet」を通じて認定された環境団体に売上金の1%を寄付する活動にも参加しています。
まだ立ち上げて3年、とてもまだ若いブランドなんですけれども、Kruhiにしかできない取り組みや製造の過程をこれからも構築していきたいと思ってます
日本の美と健康を支えてきた米ぬかと植物の恵みを凝縮 Kruhi初のスキンケア
Kruhiのアイテムは石けんシャンプー、トリートメントとラインナップがありますが、新たに加わったのがスキンケア。2025年4月25日に発売されたのが、「Kruhi ピュリティ ハーベストレイヤーセラム」と「Kruhi ザフェイスクレンズ」です。
開発のきっかけ
井浦あいさんによると、開発のきっかけは、国産米由来という希少性で米ぬかを活用している築野食品工業の築野さんとの何気ない会話からだったと言います。
原料となる米ぬかに含まれる成分「イノシトール」には肌が良い効果をもたらすという研究結果があるにもかかわらず、その認知が世の中にまだ広がっていないという現状を知り、Kruhiで届けようと米ぬかを使った美容液の構想をスタート。美容液の効果を引き出すための“肌の土台づくり”=クレンジングも同じぐらい大切だということに気が付き、美容液と同様に米ぬか由来の原料を使った、肌をやさしく整えるクレンジングの開発にも着手。こうして、いい未来が自分に返ってくることを目指したスキンケアラインの開発を始めたそうです。

クレンジングには肌の水分蒸散を抑制してくれるコメ胚芽油由来のγ-オリザノールを配合。血行促進作用により、肌を明るく整えてくれる効果が期待できます。また、天然クレイ(ベントナイト)がメイク汚れや余分な皮脂を吸着し、汚れをしっかりと落とすことができます。ボトルはヘアケア製品と同様にアルミボトルを採用し、リサイクルできるパッケージになっています。ロゴとラベルに描かれたメッセージとイラストは、井浦夫妻の甥っ子さんが7歳のときに手掛けたものを入れています。
一方、美容液は2層に分かれていて、使うときには振って乳化させて使います。上の層には「ザフェイスクレンズ」にも配合しているコメ胚芽油、高知・四万十のユズ種子油、佐賀・加唐島のツバキ種子油などを配合。下の水層は高知・四万十のユズ果皮水、北海道・下川町のトドマツ蒸留水、奈良・大和町の萎凋香緑茶(いちょうかりょくちゃ)蒸留水と茶葉・茶花エキス、米ぬか発酵液などをベースにしています。ここに米ぬか由来のビタミンB様物質イノシトールを1%配合することで、肌のうるおいや皮脂調整、ハリ・弾力を効率よくサポートします。
これまで使ってきたクレンジングの中には、使ったあとに肌が乾燥することがありました。「汚れは落としても、自分の皮脂を必要以上に取りすぎない、そんなクレンジングがあれば使い続けたい」。今回の製品はそんな願いを叶えてくれるものになりました。新製品の2つには、食品レベルの「食べてもいい」原料を使っています。だからこそ、身体の中にも、肌にも優しく、うれしい効果を閉じ込めています(井浦あいさん)
農業法人を立ち上げ自社農園をスタート 将来的にはリトリートツアーや収穫祭の構想も
Kruhiの次のステップとしては、自分たちのこれから作っていくプロダクトにおいて今まで通り全国の地域とつながっていくことを継続しながら、自社で畑を持ってより特化した有用植物、薬草たちを育て、そこで収穫したものを製品に使っていくことへ着手していくそう。
新たに農業生産法法人アーセンキッチンを立ち上げ、鹿児島県南大隅のKruhiのパートナー工場さんがある地域に「くるひ自然植物園」という農園を準備中です。

鹿児島は霧島の上の方から下の南大隅の方まで、この縦のラインでも植生が全然変わっていくんです。
そういった地域の植物をこの私たちの植物園では育てていきながら、ときにはお茶にしたり、コスメの原材料にしたりしてきたい。敷地内には蒸留所も作っていて、収穫したらすぐにそのまま蒸留し、蒸留水とエッセンシャルオイルまでは自社で取れるように今整備をしてます(井浦新さん)
くるひ自然植物園では現在、井戸水を掘り当てて敷地内に水道管を敷設する作業を進めています。1ヘクタールの畑の下には複数の水道管を通す工事が完了し、畑の中まで車両が入れるように、道と駐車場もコンクリートで整備済みです。蒸留小屋もほぼ完成しておりますが、今後の台風等にも耐えられるよう、引き続き細かな改良を行う予定です(井浦あいさん)


私たちの活動のベースにあるのは、“とどまることのない巡り”です。人ともの、自然、ときには動物たちも含め、すべてが関わり合いながら、絶えず循環し続けていく。
その感覚こそが、私たちのプロダクトや取り組みのすべての根っこになっています。
この南大隅の自社農園でリトリ―トツアーをして、裸足で収穫や蒸留体験を一緒にしていただける収穫祭などが
できていけたらいいなと考えたりしています。
私たちの活動のベースにあるのは、“とどまることのない巡り”です。人ともの、自然、ときには動物たちも含め、すべてが関わり合いながら、絶えず循環し続けていく。その感覚こそが、私たちのプロダクトや取り組みすべての根っこになっています。この南大隅の自社農園でリトリ―トツアーをして、裸足で収穫や蒸留体験を一緒にしていただける収穫祭などができていけたらいいなと考えたりしています(井浦新さん)
Kruhiというプロダクトを通じて自然の恵みや営みをうまく巡らせ、地域にも未来にも還元されるしくみへとつなげていく。2人が新しい縁を見つけた鹿児島・南大隅の地で、また新たな縁をつむいで生み出す活動はまだまだ広がっていきます。
Kruhi公式サイトは>>こちら
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取材・文/北本祐子