【子ども向けデバイス】安全性は信頼できる? キッズケータイ&ウォッチ最前線「myFirst」「トーンモバイル」を取材

子どもがスマートフォンやSNSに興味を持ち、「自分も持ちたい!」とおねだりすることもあるかもしれません。けれど、保護者としては、インターネットやSNSを通じた犯罪やいじめなどのニュースを目にすることもあり、心配な面が大きいですよね。
そこで今回は、キッズ向けデバイスを手がける2社の担当者に、最新の安全機能はどうなっているのか、保護者の立場から気になるギモンをうかがいました。

世界初のキッズ向けスマートウォッチ&フォン・SNS「myFirst」

myFirstは、子ども向けのスマートウォッチ&フォンや、世界初の子ども向けSNSアプリ「myFirst Circle」などを世界的に展開するシンガポール発の企業。

創業のきっかけは、創業者ジージェイ ヨンさんの2歳の娘さんがカメラに興味を示した際に、市場には子どものために設計されたカメラがないと驚いたこと。製品すべてを通じて子どもが安心安全に利用できるようにと開発されました。

その日本法人であるmyFirst Japan株式会社は、先日、見守りスマートウォッチ&フォン「myFirst Fone S3c」を新発売しました。リアルタイムGPS機能やビデオ・音声での双方向通話機能、SNS機能などを搭載しています。

また振動で“モールス信号”のような特別なメッセージを送れる最新機種「myFirst Fone S4」も発売します。

スマートウォッチ&フォンシリーズ

子どものSNSアプリに親も紐づけ。安全を見守る仕組み

代表取締役社長 サム・リーさんに、安全面に関する機能についてうかがいました。

ーーキッズ向けのスマートウォッチの見守り機能の特徴を教えてください。

「保護者の方からは『子どもが今どこにいるのか知りたい』『GPSで追跡できないときに、子どもの場所を知る方法は?』などの不安の声をいただきます。

当社の見守りスマートウォッチはデュアルバンドGPSという従来のGPSと比較し30%、精度が向上した位置追跡が可能な機能を搭載しています。

またビデオ通話をしながら、どこにいるのかGPSも確認できる機能や、『Care call機能』という保護者が3回電話し、それでもつながらなかった場合、4回目はスピーカーフォンが起動し『何してるの?』などと子どもに声をかけられる機能もあります」

――SNSアプリも搭載しているようですが、「子どもがトラブルになるのが怖い」と感じる保護者は多いと思います。大丈夫でしょうか?

「当社は子どものセキュリティーとプライバシーを守ることを第一に考えています。SNSアプリ「myFirst Circle」は、保護者の方が自分のスマートフォンでも使え、子どものアカウントと紐づけできる仕組みにしています。知らない人は簡単には入れませんし、勝手に子どもにコンタクトできません。もし子どもが誰かと友達になったとしても親が拒否する権利があります

子どもがSNSの扱いにおいて間違えをおかしてもいい、安全な環境を提供しています。いわば補助輪付きのSNSとも呼べるでしょう。

例えば、息子がお父さんのおかしな写真を投稿した場合、最初は『誰でも閲覧できる』設定になっていたのを、お父さんが家族だけの設定に変更可能です。お父さんが息子の投稿を修正したことを息子に見せることによって、一般的なSNSの扱い方を習得できます。

また自分の名前や電話番号などを隠すなどのプライバシー設定を細かくコントロールできるようにし、安全性をさらに高めています」

――アプリの安全面について重視していることは何ですか?

「当社は、基本的に小学生まではインターネットはまだ早いと考えており、製品にはTikTokや YouTubeなどのSNSやインターネットにアクセスできない、子どもを守る仕組みにしています。

そしてなにより、一番重要なのは家族の絆を作ることだと考えています。アプリを通して、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんなどとの関係がもっと近くになる、互いに関心を持てる仕組みのエコシステムを作っています」

――今後、どのような機能が実装される可能性がありますか?

「個人的には、AI(人工知能)の搭載を考えています。今はインターネットで何でも情報が手に入るため、子どもは考えることをせず、真偽の区別ができなくなるのでは、と非常に心配しています。

そこで、インターネットにアクセスはしないけれど、子どもに必要ないろんな情報が詰まったミニコンピューターみたいなものをスマートウォッチに搭載できればと思っています」

子どもの安全についての考え方や保護者の不安などが機能面に反映されているのが伝わってきました。一度、使ってみたくなりますね。

東京都推奨の安全スマホ「トーンモバイル」

日本国内でも、子ども向けの安全なデバイス利用のための開発が進んでいます。その一つ、東京都推奨の見守り機能を利用できるトーンモバイルのサービスを見てみましょう。

トーンモバイルは、いわゆる「格安SIM」と呼ばれる、SIMをiPhoneや Android端末に差し込んで使う通信サービスです。月額基本料金1,100円(税込)で手軽にスマホを持てるのが特徴です。

特に子どもの見守りや制限機能が搭載されているオプション「TONEファミリー」は、東京都を含む九都県市が、子どもを有害情報などから守るスマートフォン機能として推奨するほど。

「TONEファミリー」のイメージ

トーンモバイルの広報担当者に、どんな機能があり、どんなこだわりがあるのかうかがいました。

――「TONEファミリー」にはどんな安全機能がありますか?

「TONEファミリーは、ネット上のリスクも日常生活の不安もダブルで見守るトーンモバイル独自の安心サービスです。

GPS位置情報で通学・塾帰りの動きをリアルタイム確認し、指定エリアの出入りも通知します。また端末の利用時間制限・アプリごとの利用時間制限などの基本の見守り機能もワンタップで設定できます」

「TONEファミリー」のイメージ

AIが不適切な写真の撮影を自動でブロック!

――子どものSNS利用におけるリスクへの対策はどんなものがありますか?

「SNS上で知らない人と交流してしまう、SNS・ネットいじめなどのトラブルが生じる、有害なサイトや不適切なコンテンツにアクセスしてしまうなどの、ネットを活用するにあたり生じる保護者の方の不安をカバーする機能を搭載しています。

例えば、自画撮り被害防止の『TONEカメラ』を搭載しており、児童の性被害のうち最も多くを占めている自画撮り被害を未然に防ぐため、AIが裸などの不適切な写真の撮影を自動でブロックします(AIによる判定のため、100%防ぐことを保証する機能ではありません)。

また家族だけとつながれる専用チャットアプリも用意しており、安心して使うことができます」

――開発において重視していることやこだわっていることを教えてください。

「当社は『テクノロジーで社会問題を解決する』という信念の下、開発しています。スマホをお子さんの可能性を広げる大切なパートナーととらえた上で、スマホを持つことでもたらされる見守りなどの『安心』や『便利』と、スマホを持つことにより巻き込まれるかもしれない『不安』への対策、どちらに対しても、ビッグデータやAI、ブロックチェーンなどの最新技術を『子どもの見守り』に活用しています」

――2025年中リリース予定のSNS利用時の安全機能とはどんなものですか?

「グループ企業のフリービットが開発したスマホ上で動作するエッジ型生成AIシステムを『TONEファミリー』と連携させることで、子どものSNS利用の危険度を判断する機能です。

スマートフォンに届いたSNSの内容を端末内のAIが解析し、危険度を評価します。従来のキーワードベースのフィルタリングとは異なり、AIが文脈を理解してリスクを検出するのが特徴です。この際、外部サーバーに情報を送信せず、端末内で処理が完結するため、高いプライバシー保護が実現されています」

*   *   *

日本ならではのリスクや保護者の不安をカバーする機能が満載ですね。これなら子どもにスマホを持たせても安心かもしれません。

子どものスマートデバイス利用は安心と安全性を重視して

子ども向けのスマートウォッチやスマホ、SNSの最新事情をお届けしました。保護者にとって、かゆいところに手が届く機能の開発が進んでいることがわかります。

大事なのは、親子で実際に使ってみて、安心できるかどうか。迷っているのなら、試してみるのもいいかもしれません。

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構成・文/石原亜香利

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