【自由研究】「ストームグラス」で温度による結晶の変化を観察! 船乗りたちの天気予報の道具を作ろう

天気の変化をビンの中で観察できる「ストームグラス」をご存じでしょうか。19世紀のヨーロッパで使われた天気予報の道具です。夏休みの自由研究としてもおすすめの、ちょっとふしぎな「ストームグラス」。自分だけのストームグラスを作って観察してみましょう。

船乗りたちが使っていた「ストームグラス」

ストームグラスは19世紀にヨーロッパの船乗りたちが天気予測に使っていた道具で、ガラス瓶の中に入った薬品が気温や気圧の変化に反応して、結晶の形や濁り方が変化するというものです。

現在、科学的な天気予報としての利用はできませんが、温度変化によって形を変える結晶を目で見て楽しめるのが魅力です。

ここでは、ストームグラスの作り方を、気象予報士の酒井千佳がご紹介します。

材料

  • ・精製水(ドラッグストアで購入可能) 50g
  • ・無水エタノール(ドラッグストアで購入可能) 45g
  • ・しょうのう(樟脳) 15g
  • ・密閉できる小さなガラス瓶
  • ・はかり
  • ・混ぜるための棒や割り箸など

※ 無水エタノールやしょうのうを扱う際には、部屋の換気を十分におこない、直接皮膚に触れないよう保護者の方が主体となって作業するようにしてください。

しょうのうとは…?

しょうのう(樟脳)は、クスノキの葉や枝からとれる自然の成分で、防虫剤として昔から使われてきたものです。
近年ではあまり使われておらず、化学薬品の防虫剤が主に販売されているため、購入するときは成分をしっかり確認してください。
ドラッグストアやホームセンターなどで販売されていることもありますが取り扱いのある店舗は少ないので、ネットでの購入がおすすめです。

※しょうのうには毒性があるため、口に入れたり直接触れないようにご注意いただき、保護者が主体となって取り扱いをお願いします。

作り方

1.材料を計る

まずは、しょうのうを準備して15g計ります。

粉末タイプの場合はそのままで、固形の場合は砕いて計ります。
今回は固形タイプを使用しましたが、もろくて壊れやすいので、袋の上から割るとうまくいきます。

次に、精製水50g、無水エタノール45gを正確に計ります。
計ったものは、それぞれ容器に入れておきましょう。

2.ビンにエタノールとしょうのうを入れて混ぜる

ビンに無水エタノールを入れ、次にしょうのうを加えます。

割り箸などでゆっくり混ぜて、しょうのうを溶かします。

しょうのうが溶けないときは?

このように、しょうのうが残ってしまって溶けない場合は、湯煎で温めると溶けやすくなります。

3.精製水を加える

しっかり溶かしたあと、精製水を加えます。
精製水を入れた瞬間にもくもくと結晶が現れます。

結晶の量が少ないときは、精製水を数滴追加で加えてみてください。

4.フタをしめて完成! 日の当たらない場所に置いて

下の方に白い結晶ができました。中身がこぼれないようにフタをしっかりしめて完成です。

完成したら、日の当たらない場所に置いておきましょう。数時間〜1日ほどで結晶が落ち着き、変化が見られるようになります。

注意点

1.換気のよい場所で作業しましょう。
2.無水エタノールは引火性があるため、火の元から離れて作業しましょう。
3.出来上がったストームグラスは直射日光のあたる窓際には置かないようにしてください。

観察して記録してみよう

ストームグラスは、日によって中の結晶の形や濁り方が変化します。毎日観察し、部屋の温度とあわせて記録していくことで、変化の傾向が見えてくるかもしれません。

結晶が多い日、少ない日、透明な日など、細かく書き残すことで観察力も育まれます。温度との関係を考えながら記録してみましょう。

白い結晶が下に溜まったり、ふわふわと浮いてきたり、変化が見られました。

結晶の様子が変わらないときは、温度を変化させてみよう

夏は気温の変化が大きくないので、結晶の様子がなかなか変わらない場合もあります。そんなときには、湯煎で温めたり、冷蔵庫に入れて冷やしたりすると、結晶の変化を楽しめます。

※湯煎であたためるときは、ヤケドや瓶の膨張を防ぐため、熱湯の使用を避けてください。

冷蔵庫に入れると結晶の量が増えてきて、沈殿していた結晶が上まで浮いてくるように。
さらに冷蔵庫に置いておくと、上の方まで白くなりました。

天気と結晶の関係。昔はこのように言われていた!

結晶は、気温や湿度、気圧、大気の磁場などさまざまな要因が複雑に絡み合ってできるため、結晶の様子と天気の関係を示すのは難しいのですが、かつては以下のように言われていました。

晴れるとき…ビンの中の結晶はそこに沈んで液体が澄んでいる。

雨に変わる前…沈殿物の量がしだいに増えてくる。

雨…細かい結晶が液体の中に浮く。

晴れて暑くなるとき…低い位置で結晶ができる。

冬…高いところまで白い沈殿物が積もる。

日々の変化を観察してみましょう

昔の人の知恵と不思議の詰まった「ストームグラス」。
毎日の温度と結晶の変化をくらべながら、自然の不思議を親子で一緒に楽しんでみてくださいね。

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この記事を書いたのは…?

酒井千佳 フリーキャスター、気象予報士、保育士

京都大学 工学部建築学科卒業。
北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。
NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務める。
現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育に携わっている。

参考:不思議なストームグラス|J-Stage
How to Make a Storm Glass to Predict the Weather|ThoughtCo.

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