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もともと楽しいことをするのが好き! 子どもだけでなく自分が楽しめるよう遊びを考案
マンガ家・イラストレーターのむぴーさんは、小学校4年生の男の子、2年生の女の子、年少さんの男の子の3人の子どもを育てるママ。楽しいことが大好きで、おうちや近所でできる遊びのアイデアをこれまでにたくさん生み出してきました。それらをまとめたのが2022年発売の『いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト』。そして、今年の6月に発売された第2弾、『今すぐ家族でやりたい休日を楽しむ99のリスト』です。今回は、そんなむぴーさんにお話を伺いました。
――本にあるような家族で楽しめる遊びは、どんなきっかけで実践するようになりましたか?
むぴーさん もともと楽しいことをするのは好きですが、私は面倒くさがりで飽きっぽく、どこかにわざわざ出かけるような楽しいことだとちょっとやる気が起きなくて……。
ひとひねりを加えた手軽な遊びの方が自分自身が楽しめるなと考え始め、子どもと家でやったことや子どもが大きくなったらやりたいことをブログで公開していました。
子どもを育てていると、自分が子どものときに親にしてもらって楽しかった記憶を思い出すようにもなって。一時的に忘れてしまったとしても、私のように大人になってから思い出すことがあるのかもしれないな、せっかくだから子どもが小さいうちに、楽しいことをしたいなと思ったのもきっかけです。
親が子どもにやってほしいことをさりげなく遊びの形に変える
――遊びはどんなふうに思いつくのですか? 「休日を楽しむ99のリスト」の中にある「声を出さない3時間」は、だまっているだけなのに、遊びになるという発想がすごいです。
むぴーさん 遊びに関しては、これをやったら楽しそうということがふわって浮かんで、それを書き留めています。
「声を出さない3時間」は、うちの子どもたちが本当にうるさいので(笑)、「みんなだまって! ここからは誰もしゃべらないよ!」みたいな感じから始まった遊びです。
――子育てをしているとそういう場面がありますね。それを遊びと捉えれば、子どもも楽しくなるんですね。
むぴーさん 子どもたちはノリノリでやってくれました。楽しかったみたいで、もう1回やりたいって言われて、後日再度やったほどです。こんな風に、親が子どもにやってほしいことをさりげなく遊びの形に変えることもあります。
声を出さない3時間
「声を出さない3時間」はお金も道具も必要なし。3時間でなくても30分など、時間は自由でOK。なんでも遊びととらえると、遊びのアイデアは散らばっています。

むぴーさん、子どもたちがお気に入りの遊びはほかにも
出生体重と同じ重さのお米をもってみる
こちらはむぴーさんのお気に入りの遊び。
むぴーさん 米の感じが新生児に似ていて、私もすごく懐かしくて。上の子が出生時に4000gぐらいあったので、「こんな重いのをお母さんは抱っこしてたの?」って、何年か越しに褒めてもらえました。

長期休みアドベントカレンダー
これは、むぴーさんのお子さんたちが楽しみにしている遊びだそう。
むぴーさん 長期休みに入ると、みんなにやりたいことを全部出してもらうんです。体調を崩して実行できない年もありますがそれも思い出に。

子どもを計画から巻き込むと思い出深い遊びに。子育ての悩みも遊びで解決!
――家族で一緒にやる遊びの場合、パパやママはどんなふうに子どもたちと遊ぶのがいいでしょうか。
むぴーさん 子どもの年齢にもよりますが、可能な年齢なら計画から一緒にやると、子どもにとって思い出深くなっているようです。
1000円の使い道選手権
例えば「1000円の使いみち選手権」。2チームに分かれ、1000円でどれだけ家族で楽しいことができるかを競います。それぞれ1週間前からチームごとに計画をして、買い物をして準備をするんです。1週間、親といろんなとこで計画会議をして、買い出しをしたのがすごく楽しかったみたいです。
――子どもを巻き込んで提案するといいんですね。
むぴーさん そうですね。「どうしたら楽しいと思う?」と聞いて。このときは男子チームと女子チームで分かれて、男子チームは300円ぐらいでswitchオンラインに入って無料でできるゲームをやったり、300円ぐらいのゲームを2つダウンロードしたりして、みんなでゲーム大会を開催しました。女子チームは、娘がお菓子パーティーしたいというので、お菓子をいっぱい買い込んで、お菓子パーティー+ビンゴゲームでした。

――親も子どもの提案を否定しないで、いいねとか楽しいねって乗っかってあげるのも大事ですね。家族仲がいいからこそ遊びも楽しめると思いますが、子どもたちと接する際に心がけていることはありますか?
むぴーさん 心がけたいけどなかなか難しいなと思ってるのは、子どもたちの話をちゃんと聞くことですね。あまりにもできていなかったので、本にもある「お話ドライブ」という遊びを取り入れました。
――どこかに行くのでなく、お話するのが目的のドライブですね。ポイントは1対1で出かけることですか?
むぴーさん うちは子どもが3人いて、全員が同時にしゃべるので、それぞれとは薄い会話しかできないんですね。
1冊目の本にも「親をひとりじめできる日」という、お父さんかお母さんの好きな方と、予算内で2時間好きなことを一緒にやるっていうのを紹介しましたが、それも、1人1人に細やかな気配りができていない自覚があるので、特別な活動として子どもと向き合う時間を持とうと思ったのがきっかけでした。
――自分の中でもやっとしたことを遊びに変換して、実践されてるんですね。お子さんは楽しいでしょうね。
むぴーさん そうですね。次はいつやるの? と言われるほど、これも人気の遊びです。
――パパも積極的に関わってこそ実行できると思いますが、パパは協力的なんですね。
むぴーさん 私がやりたいことに反対はしないですね。やりたいなら協力はするよって。やっぱり平日はお父さんよりお母さんのほうが一緒にいる時間が長い家庭が多いと思うので、”お父さんと楽しんだぞ! ”という思い出を作るのもいいと思います。
遊びの選択肢が増えると主体的に楽しめるように!
――こういった遊びを取り入れたことで、子どもたちや家庭に変化はありましたか?
むぴーさん 子どもたちの楽しいことの選択肢が増えた気がします。「暇だー!」となっても遊びを知っていたり、本を見たりすることで、この中から選んできょうだいでやってみようということにもつながっています。
今作は子どもが読めるように全部にふりがなをつけたので、「次はこれがしたい」と、主体的に楽しいことをやろうとしてくれて、私はすごく楽になりました。
――主体的に動いてもらえるとすごくいいですね。お子さんが3人いて、年齢や性別が違うとその日にどれで遊びたいかもめることはありますか? もしあればどう対応していますか?
むぴーさん 「今日はこの子が選んだ遊びで、来週はあなたのやりたいのにしよう」と、日を変えてます。私が面倒くさがりなので1日に何個もやるのは疲れちゃうんです。
遊びの内容は、うちの場合は真ん中の女の子がこれをやりたい! との主張があって、お兄ちゃんと弟はそれについていくよ、という感じなので、そんなにもめることはないです。ただ、最近お兄ちゃんはたまに出てくる感じなので、その意見は優先するようにします。
――お兄ちゃんはいつも一緒に遊ぶわけではないんですね。
むぴーさん もう4年生なので、出かけるよって言っても「僕は家で待ちたい」とも言うようになりました。
このような遊びも、ノリノリのときとあんまりノリ気じゃないときがあります。楽しむのが目的なので、無理やりやらせるのは楽しくならないですし。下の子たちで遊んでいたら、お兄ちゃんも気になって「僕もやっぱりやる」って、混ざってくることはあります。
――大きくなってくるとみんなで遊ぶのは難しくなりますね。そういう意味でも、小さいときに家族で一緒に何かをするのは貴重な時間です。
むぴーさん そうですね。そういう風にできる期間って案外短いのかもと感じています。
ルールを守ればゲームもYouTubeもOK! 困ったときは「家族会議」で解決
――むぴーさんの家ではゲームやYouTubeでも遊ぶことがありますか? ルールは設けてたりしますか。
むぴーさん これまでに変遷がありますが、現在は1人につきゲームかYouTubeは1時間、ドリルを1ページやる、もしくはテストで100点をとったら30分延長できる権利を得るルールでやっています。
ルールを設けずに好きなだけやっていた時期もありましたが、上の子が夜寝る前に怒りっぽくなったり、いさかいがあったりしたので、この本にもある「家族会議」で話し合いをしました。「お父さんとお母さんはこういうルールがいいと思ってるんだけど、どう?」と伝えて、「ここはこうしてほしい。これは嫌だ」と話を聞いたうえで、今はこの形に落ち着いてます。
――親が一方的に決めるのでなく、「家族会議」で話し合って、お子さんの意見も聞き入れているんですね。
むぴーさん そうです。親の意見はあくまでも提案の形で、子どもたちの了解を得てから実施に移しています。トライアンドエラーを続けながら今はこうなってるけれど、そのうち変わる可能性はありますね。
――お子さんも自分も話し合いに混ざって決めたことなら守りやすいのかもしれませんね。
むぴーさん それはあると思います。親も「自分で言ったんやろ」と言えますし(笑)。自分が納得して決めたルールなので、ちゃんと守ってくれますね。
家族会議/親子面接
親子の話し合いもイベントの一環に。

テレビゲームを家族でやることも! 本人が好きなことも大事にしたい
――遊びの選択肢が豊富なので、ゲームやYouTubeに偏らず、バランスよく遊びますか?
むぴーさん いえ、平日はテレビとゲームだけです(笑)。こういう本を出しているから意識高く見えているんですけど、全然。子どもたちがいい子に静かにしてくれていて、やることをやったあとならテレビでもゲームでもやっていいと思っています。だから、リストにあるような遊びは土日にやることが多いんです。
――それはちょっと心が軽くなります。
むぴーさん 私が子どものときは、家のゲームのルールが厳しくて、1回10分間でそれを3セットしかできず、ゲームは全然進まないしうまくもならなくて。
そういうのもあって、大人になって結婚してからswitchを買ったら、めっちゃ面白いなと。だから家族でもゲームをやるし、みんなでマイクラで家を作ったりしています。私はゲームは全然悪くないし、すごく楽しい活動だと思ってます。
――それが悪いわけじゃなくて、ルールを守って、時にはみんなで一緒にやれば、楽しいですもんね。
むぴーさん マイクラは勉強にもなりますし、そこから興味がすごい広がっていくのも見ていてわかるし。本人が好きっていうものは大事にしたほうがいいかなと思っています。
――ここにもむぴーさんの楽しいことが好きという姿勢が伺えます。最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
今作はふりがなをつけただけでなく、子どもだけでもできる活動を入れたので、子ども主体でいろいろなことに挑戦できる本になったと思います。私が思いもよらなかった読者さんのアイデアもいっぱい載っているので、この夏休みにぜひ親子で活用してほしいです。
豊富な遊びのアイデアがあれば暑くて長い夏休みが、充実した毎日に!
「今はちょっと静かにしてほしいな」、「子どもと最近コミュニケーションが取れていないな」など、子育て中の困りごとを上手に遊びに変換する考え方がとても印象的だったむぴーさん。しかもそれが子どもたちが大好きな遊びになっているのだからすごい! そして子どもたちを巻き込んで、一緒に考える遊びが多いので、子どもたちは”なんでも自分事に変えるマインド”を備えることができ、それは実生活でも役立ちそうだと感じました。
長いだけでなく、酷暑によりなかなか外出が難しい夏休み。『今すぐ家族でやりたい休日を楽しむ99のリスト』があれば、楽しくて充実した時間を過ごすことができそうです。

夏休み、年末年始、GW、3連休……
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むぴー氏 オール描き下ろしの最新作!
取材・文/長南真理恵