目次
世界で活躍できる人材を育てる教育理念
ーーまずは、開智日本橋学園が大切にされている教育理念についてお聞かせいただけますでしょうか。
井田先生 本校の大きな教育理念として、「世界に出て社会貢献できる人材を育てたい」というものがあります。これは開智グループ全体で共有している理念ですが、特に日本橋では、生徒たちが世界のどこの国に行っても自分で道を切り拓いていけるようになってほしい、という思いが根底にあります。
そのために、本校では国際バカロレア(IB)のプログラムを導入しています。これは、生徒たちに主体的にチャレンジしてもらうこと、そして教員全員が一定レベル以上の教育の質を担保することを組織として徹底するためです。IBの認定校であることで、5年に一度、外部の目によるチェックを受ける機会があり、常に教育の質を高く保ち続けることができます。
IBは単なる英語教育や海外大学進学のためのプログラムではなく、本質的には「人間教育」です。カリキュラムには社会貢献活動(SA)や、自分の技能を突き詰める個人探究などが含まれており、生徒が自ら学ぶためのスキルやマインドセットを育むことを目的としています。
学習内容自体は日本の学習指導要領に則っているため、生徒たちは将来、国内外を問わずに進路を選択できる状態を目指しています。
「主体性」の土台となる「自分らしく成長できる環境」

ーー多くの学校が「主体性」を掲げていますが、貴校ではそれを育むためにどのような工夫をされているのでしょうか。
井田先生 本校では、主体性の土台として「自分らしく成長できる環境」を何よりも大切にしています。他人に遠慮して自分の意見が言えなかったり、挑戦しようとすると「まず勉強しなさい」と頭ごなしに言われたりする環境では、本当の意味での主体性は育たないと考えています。
その環境づくりの一つが「哲学対話」という授業です。ルールは「人の話をちゃんと聞く」「人の意見を否定しない」という2つだけ。答えのない問いについて皆で対話する中で、多様性を学び、隣にいる友人も自分とは違う人間なのだという感覚を養います。
こうした心理的な安全性が確保された土台の上で、生徒たちは初めて安心して様々なことにチャレンジできます。教員の役割は、生徒の挑戦を後押しし、振り返りから学ぶサイクルを一緒に作っていくことです。生徒に寄り添い、活動をサポートしていく。これが本校のスタイルです。
実際に、数年前に本校の公式インスタグラムが立ち上がったのも、当時中学1年生だった女子生徒が「やりたい」と提案してきたのがきっかけでした。SNSのリスクなどを踏まえ、目標設定や運用ルールを盛り込んだ企画書をやり取りし、最終的に校長の承認を得て実現しました。このように、大人と交渉しながら物事を進めていく経験が、生徒たちにとって当たり前になっています。
失敗を恐れず「探究する学び」を実践する授業
ーーカリキュラムについても、貴校ならではの特徴があれば教えてください。
井田先生 IBのプログラムでは、授業の最初に教員が問いを投げかけ、生徒の興味関心を引き出すことから始めます。学んだ知識が実際にどう使われるのかを経験させることが重視されており、いわゆる「探究的な学び」を徹底しています。
例えば、理科の授業の半分は実験や観察ですが、私たちはあえて失敗させます。一般的な学校の実験は、レシピ通りに進めれば失敗しない「3分クッキング」のようなものだと校長が言ったことがありますが、本校では違います。心臓の解剖実験一つとっても、グループごとに「4つの部屋を確認したいから縦に切る」「筋肉の厚みを見たいから輪切りにする」など、目的を設定し、実験方法を考えさせます。
中には、大人が見れば「それでは分からないだろう」と思うような方法を試すグループもありますが、それもやらせてみます。そして「分かった?」と問いかけ、「分からなかった」という結果から「じゃあ次はどうする?」と一緒に考える。このプロセスが重要です。
英語教育も同様で、知識を詰め込むのではなく「使う」機会を多く設けています。美術や技術家庭といった科目もネイティブの教員が担当し、授業中のやり取りは英語で行います。遅くとも中学3年生までには、一般クラスの生徒も英語で授業を受けられるようになります。
「日本も世界の一つ」という感覚を育む国際教育

ーー国際教育も大きな柱かと思いますが、貴校では「国際的な学び」をどのように定義されていますか?
井田先生 昨今よく言われる「国際的な学び」ですが、単に英語の授業が多いことや、ネイティブ教員がいることだけを指すのではありません。本校が考える国際的な学びとは、「日本も世界の国々の中の一つである」という感覚を持ち、国内外を問わず自分らしく活躍できる力を身につけることです。
海外に出ると「あなたの国はどうなの?」「あなた自身はどう思う?」と問われるとよく言われますが、相手を理解し、自分のことを伝える力は、日本国内にいても同じように必要です。本校ではその両方を当たり前にできるように指導します。
校内には帰国生のクラスがあり、様々なバックグラウンドを持つ生徒がいます。保護者の方にも外国籍の方が増えており、多様な文化が日常にあります。立地を活かして、国内の留学生や大使館の方々を学校に招いて交流イベントを開催することもあります。特別なことではなく、フラットな環境で多様な価値観に触れる。それが本校の国際教育です。
入学時に主体性がなくても大丈夫。挑戦の連鎖が人を育てる
ーー主体性を伸ばす環境が素晴らしいと感じる一方で、入学してくる生徒さん全員が最初から主体性を持っているわけではないと思います。入学後に主体性が伸びていった生徒さんのエピソードや、先生方のアプローチについてお聞かせいただけますか。
井田先生 おっしゃる通り、入試の時点で主体性の有無を測っているわけではありません。プレゼンが得意、発表が大好きという子でなくても全く問題なく、入学してから伸ばしていきますので安心してください。
ただ一つ、もし本校に向いていないご家庭を挙げるとすれば、「親御さんが転ばぬ先の杖をすべて用意しないと気が済まない」という場合です。本校では計画、実行、振り返りのサイクルを通じて経験から学ぶことを重視しますので、そこは合わないかもしれません。

入学後の生徒たちは、先輩や周りの仲間が挑戦する姿を見て、少しずつ触発されていきます。例えば、新入生が参加するチームビルディングキャンプは、1学年上の先輩たちが実行委員として運営のほとんどを担います。その姿に憧れて、翌年は自分たちが実行委員に立候補する。毎年、学年150〜160人のうち40人ほどが手を挙げるのですが、そのほとんどが「今までやったことがないけれど、先輩がかっこよかったから挑戦してみたい」という生徒たちです。
失敗してもいい、そこから学べばいい、という文化が根付いているからこそ、生徒たちはやったことのないことにも一歩踏み出せるのだと思います。
生徒の「やりたい」を起点にした大学進学サポート
ーー探究活動に力を入れていると、総合型選抜に強いイメージがありますが、大学進学における一般入試との割合はどのくらいでしょうか。
井田先生 基本的には一般入試での進学がメインで、8割程度を占めています。もちろん、IBの個人探究などを通じて自分のやりたいことが明確になり、その大学で学びたいという強いストーリーが描けた生徒は、総合型選抜で進学していきます。
一方で、高校生の段階で全員がやりたいことを見つけられるわけではありません。そうした生徒たちには、大学でさらに興味関心を広げながら将来の道を探せるよう、一般入試に向けたサポートを手厚く行っています。
高2の秋からは、本校の教員による「放課後特別講座」という校内予備校を開講し、高3では毎日3時間、大学別・科目別の講座を選択できます。予備校に通わなくても学校内で受験対策が完結できる体制を整えています。高1までにIBプログラムで身につけた「自分なりの学び方」を土台に、自律的に受験勉強に進んでいけるよう指導しています。
都市型キャンパスだからこその多様な放課後の過ごし方
ーー1クラス30人弱という少人数教育も魅力的ですが、一方でグラウンドがないといった物理的な制約もあるかと思います。スポーツが好きな生徒さんはどのように活動されているのでしょうか。
井田先生 校庭がないことは事実ですが、中央区にある唯一の私立学校ということもあり、区の施設である浜町公園のグラウンドなどを優先的に利用させていただいています。サッカー部や野球部なども外部のグラウンドで練習し、公式戦にも出場しています。
ただ、開智グループの方針として部活動は週4回までと定めており、競技で本気でやりたい生徒はクラブチームに所属している場合もあります。
その分、放課後の時間を使って探究活動や実行委員、ボランティア活動に打ち込む生徒も多く、活動は非常に活発です。先輩たちが立ち上げた様々な社会貢献活動が後輩に引き継がれており、まるで部活動の勧誘のように新入生を誘う光景も見られます。自分たちのやりたいことに本気で取り組む。それが本校の放課後の姿です。
ーー最後に、開智日本橋はどんな生徒さんにおすすめの学校だと思われますか。
井田先生「何か新しいことに挑戦したいけれど、何をすればいいかまだ見つからない」。そんな生徒さんにこそ来てほしいと思います。本校には先輩たちが挑戦してきた様々な活動があり、ヒントがたくさん転がっています。そして、それをもとに自分で新たなチャレンジを安心して始められる環境があります。
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これを読めば、中学受験の親のすべきサポートがまるわかりの完全ガイドです!
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文・構成/HugKum編集部
