【発達障害の子の入学準備 ①】本人の「苦手さ」から考えて対策を!家庭でできる実践ハックを先輩ママに教わった

発達障害のある子の入学準備。何から手をつけたらいいのか迷ってしまいますよね。でも、本人の「苦手さ」から考えて先回りすることで、入学後の生活がぐっと楽になるかもしれません。ASDとADHDのある小学4年生の息子を育てるツキヨタケさんは、視覚支援や環境調整を取り入れながら、親子双方の負担を減らす工夫を積み重ねてきました。自身も発達障害の小学生の息子さんを育てるべっこうあめアマミさんが先輩ママのツキヨタケさんに取材しました。

1歳過ぎから気になった多動傾向。3歳前に発達障害の診断がつきました

―まずはお子さんの学年と、通っている学級(支援級/通常級)について教えてください。

息子は小学4年生で、支援級に在籍しています。ASDとADHDがあります。

―お子さんの発達特性(苦手なこと、得意なことなど)に気づいたできごとや、「障害があるのでは?」と感じたきっかけや時期などについて、簡単に教えてください。

0歳のころは平均と同じように育っていたんです。でも1歳過ぎたころから、ちょっと落ち着きが無かったり、指示が通りにくかったりして、私の中では「ちょっと他の子と違うな」と思いつつ、「まぁ男の子だからな」と思ったりしていました。でも幼稚園のプレに行ったときに、圧倒的に他の子と違いすぎていて、先生から発達相談を勧められました。それで2歳半で発達相談に行き、検査を受けて、「発達障害の可能性がある」と指摘されたので、その後すぐに児童精神科を受診して、3歳になるちょっと手前くらいで診断がおりました。当時はIQ50くらいで、ギリギリ軽度だけど、中度に近いくらいの知的障害の診断もついたんですけど、その後療育を始めたこともあってかIQが上がって、今はIQ85くらいにまでなりました。知的障害の判定はつかない、境界域ですね。

―すごく上がりましたね!軽度のお子さんだと診断がつくのが遅くなると思ったのですが、それも早かったんですね。

こんなに上がるのは珍しいと言われます。軽度でも診断までが早かったのは、多分落ち着きがなかったからだと思います。ADHDが強くて、とにかく多動だったんです。

―お子さんの小学校入学前に感じていた不安や、当時一番気になっていたことは何でしたか?

幼稚園では加配の先生が常についてくれて、やるべきことを一緒にやってくれていましたが、小学校では一切それがなくなることが気になっていました。一応支援級に入っているので、補助の先生や支援員さんはいますが、先生の目はかなり減るので…。上履きに履き替えて教室に行けるかや、休み時間、そして登下校など、先生の目がなくなるときにトラブルが起きないかが心配でしたね。あとは移動教室。定型発達の子なら何を持っていくべきか自分で判断できますが、うちの子は自分で判断する力が弱いので、そこに先生が配慮してくれるのかもわからなかったですし、本人が自分でヘルプを出せるのかも不安でした。

まず、朝の準備がスムーズにできるための工夫をしました

―これから小学校に入学するお子さんがいる親御さんに対して、「この一つだけでも準備しておくと楽になるよ」という、一推しのアイデアはありますか?

朝の準備がスムーズにできるかが小学校では大切になってくると思うので、子どもが持ち物をチェックできる「忘れ物チェックボード」がおすすめです。とにかく忘れ物をしないこと、持ち物の管理ができるようになるだけでもお子さんの精神的負担が減ると思います。

玄関に置いてある「忘れ物チェックボード」は今も役立っています。家を出る前に必ず一緒にチェックしていますよ。

家を出る前に確認できるように玄関にかけている「忘れ物チェックボード」

―入学準備で用意したツールで、今も継続して役立っているものはどんなものですか?

あとは、ランドセルにつけられる「メモが入れられるポケット」。大事なことはメモして入れておいて、ランドセルを開けたときに目に入るようにしています。

大事なことをランドセルを開ければ見られるように、ランドセルの蓋カバーの裏には「メモが入れられるポケット」を装着

そして、放課後の過ごし方を書き込めるホワイトボードも使っています。帰ってきてからの時間ごとに、最初は私がシールみたいなものを貼って決めていたんですけど、今は子どもが自分で書くようになりました。少し先の話になりますけど、中学生になったら自分でスケジュールを決める力が必要になってくると言われたので、今は自分でスケジュールをたてるようにしていますね。

放課後の過ごし方を書き込むホワイトボード。4年生の今は自分で決めて書き込んでいる

―お子さんが自発的にできるようになったのは成長を感じますね。

そうですね、幼児期からずっとお世話になっている療育の先生が、息子の様子を見ながら少しずつ、親が手を離していく時期を教えてくれるのでありがたいなと思っています。親だけだと見極めが難しいですが、成長を見越して少しずつ親の手がいらなくなっていくのも大事なので。

子どもへの課題は最小限から。詰め込み過ぎは禁物です

―ツキヨタケさんは、SNSなどでもさまざまな「見える化」するアイデアを紹介していますよね。お子さんに、視覚支援を取り入れようと思ったきっかけは何ですか?

息子はもともと音声の指示が入らなくて、聞いてもすぐに忘れてしまうので、とにかく書いて「見える化」しようと思って始めました。通っていた療育で視覚支援を使っていたので、それを見て家でも取り入れた、というのもありますね。視覚的にわかるようにしたら、響いてるなという実感があります。

―視覚支援にまだあまり慣れていない人でも取り組みやすいコツなどがあれば、教えてください。

朝のしたくのルーティンを立体にして食卓に

まず、視覚支援以外の情報をできるだけ減らしたスッキリとした環境と、視覚支援を本人の目に入りやすい場所に設置することが大切です。子どもって項目をいっぱい詰め込んじゃうと、読みたくなくなってしまうんですよ。だから例えば朝のルーティーンだったら「歯みがき」「ごはん」「着替え」の3つだけに絞って、まずはその3つができたら褒める。その3つがしっかりできるように強化していって、できたら1つ増やす。そういう風にしていかないと子どもが嫌がります。子どもが嫌がってやらないと、大人も嫌になるので、悪い循環になってしまうんですね。だからまずは、本当に子どもができることから入ることが大事です。

―私の息子もそうなんですが、ASDがある子って、なかなか見てほしいところを見てくれなかったりして、視覚支援を用意しても視線がそこにいかないことってないですか?

そうなんですよね、だからうちも壁にあると見なかったりするので、朝のルーティーンも立体にして、机の上に置いたんです。よくレストランで置いてあるメニューのような三つ折りの立体にしておくと、うちの子は見ましたね。あとは、テレビの上に貼ったりもしました。「全部終わったらリモコンを渡します」というごほうび方式にしたりしています。

家では朝の着替えをする動線をシンプルに。小学校ではスムーズに靴の着脱ができるように

幼稚園とちがう環境の一つが下駄箱。片足立ちで靴の着脱ができるように練習しました

―入学前、特に心配だったお子さんの生活面の課題はどんなものでしたか?

うちの子は、幼稚園でだいたい生活面の自立はしていたんですが、上履きに履き替える下駄箱の場所がうるさくてしんどいことが、結構普通のお子さんでもあるみたいなので、そこが心配でした。幼稚園ではしゃがんで靴を脱ぎ履きできますが、小学校は下駄箱で片足立ちで靴の脱ぎ履きができるようにならないといけないので、入学前に練習しました。あとは、幼稚園と違って制服がなくなるので、自分で服を選べるようになるかも課題でした。

―その課題を春までに少しでも進めるために、どんな取り組みをしましたか?

―お子さんが自分で聞くんですか?

はい、自分で「今日の気温は?」って聞いて、判断しています。音声AIは便利で、リマインド機能もあるんですよ。息子は時計を見ないので、代わりに「〇時になったら宿題やれって言って」とお願いして、活用しています。今、息子は4年生なので、年齢的にも親が言うとやりたくなくなったりしてしまうんですが、音声AIが言うと、ちゃんとやるんですよ。それで朝の支度も、最近では「そろそろ学校に行く時間だよ」とか「水筒の準備はしましたか」とか、全部、音声AIに言わせるように設定しています。

―他にも生活の流れを安定させるために、視覚支援や環境調整で「効果が高かったもの」があれば具体的に教えてください。

家の中の、子どもが朝の支度をする動線をシンプルに整えました。リビングのドアをあけてすぐの、目につきやすいリビング中央にタンスを置いて着替えられるようにして、動線上の目のつきやすい場所に視覚支援を設置していきました。そしてその動線上にランドセル置場がある、という感じです。

まずはやってみてダメなら別のことを試す。試行錯誤しながらできることを増やして

―最後に、発達障害がある子の入学や進級に不安を抱えている読者へ、メッセージをお願いします。

私もいっぱい失敗して、試行錯誤しながら今の状態まで来ました。だから失敗してもいいから、とにかく視覚支援でもなんでも、まずはいろいろやってみてほしいなと思います。やる前から「うちの子は見ないだろう」と思ってやらない人も多いので、まずはやってみて、「あ、これだとダメなんだったらこうしよう」というように、親もいろいろ試していってほしいなと思います。
お子さんのできることを増やしたいという気持ちは、とても大きな力です。試行錯誤して、子どものできることが増えたときは、親子にとって大きな自信と経験になります。自分のペースでできることから少しずつでも大丈夫ですから、どうか自分自身も大切にしながら、今しかない子育てを楽しんでほしいと思います。

取材・構成/べっこうあめアマミ  資料写真提供/ツキヨタケさん

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教えてくれたのは

ツキヨタケさん

ASDとADHDの特性を持ち、支援級に通う小学校4年生の長男と幼稚園児の次男の2児の母。自閉症協会会員。SNSやnoteで、我が子への発達支援の工夫やおすすめのサポート商品を紹介している。

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