【ゲーム依存度テストつき】ゲームが上手い子は勉強もできる?御三家中高卒でゲーマーの医師・阿部智史さんが教えるゲームしながら受験で勝つためのメソッド

うちの子、ゲームばっかりしている、と悩み、「ゲーム禁止」を宣言し、子どもとトラブルになる家庭は多いもの。でもそれって、本当にゲームだけのせい? 前編では自らがゲーム依存だったという総合診療医 阿部智史さんの過去の経験と、依存から抜け出したご経験を伺いました。後編では、そのような経験を礎に、ゲーマーたちの診療や相談、支援も行う阿部さんに、保護者が留意すべきことやゲーム選びのコツを伺います。「大人のゲーマー医師」のアドバイス、なるほどと頷くことばかりです!

前編はこちらから

ゲーム依存で御三家中高からフリーターに…。その後、医学部へ逆転合格した現役医師が断言「ゲームの経験が受験勉強に役立った」そう考える背景とは
男子御三家中高に入学したものの、高校でゲームにハマりすぎて…… ――阿部さんは男子御三家中高一貫校と言われる武蔵高等学校中学校の出身...

親が一方的に禁止したりルールを作ったりするのは逆効果

――阿部さんは自らの著書で繰り返し、「子どもからゲームを取り上げて、トラブルや不安が解決することはない!」「ゲームは、正しく付き合えば子どもの人生を大きく前進させるツールである」と言っています。

阿部さん お子さんがゲームに没頭しているのを見て、勉強などの妨げになると心配し、ゲームを禁止したりすることがあります。でも、親御さんが一方的に決めたルールに従わせてゲームを禁止したり時間を制限したりするのは、かえって逆効果になることがあります。

――昔から「ゲーム時間は1時間」といいますね。

阿部さん 私が小学校の頃よくそう言われていましたが、当時は科学的な根拠はありませんでした。私の家では、それを知った親がもっと少ないほうがいいと考え、「1日30分」と厳しくルール化しました。

でも、他人に設定された目標はつまずきやすいです。自分でルールを設定して守っていくほうがいい。親子で話し合ってルールを決めるといいですね。

――時間でいえば、どれくらいが適切なのでしょうか。

阿部さん その後、2014年にオックスフォード大学が、「ゲームは1日1時間までなら、子どもの心理社会的な適応に好影響を与える」という研究結果を発表しました。また、スクリーンタイムが3時間以上になるのはよくないというデータがあります。我が家には4歳の長男がいるのですが、テレビやスマートフォンの動画を観る時間も全部含めて3時間以内」と、親子で決めています。

「3時間過ぎたよ」といっても、ちょうどやりたいものや観たいものがあるときは、うまくいかないこともあります。きりのいいところでやめるなど、やめやすさにも関与するといいでしょうね。

『ゲームしながら受験で勝つ! 医師が教える子どもが自ら学び出すセルフコントロール力』(新潮社)より

――休みの日などは5時間やりたい、という子もいたりします。

阿部さん 5時間なぜやりたいのか、を考えましょう。仮に毎日5時間ゲームをしたいというのなら、ほかに楽しいことがまったく見つかっていないのかもしれません。ゲームをすることのメリットとデメリットを整理して、お子さんと一緒に話し合いましょう。そしてルールを紙に書いて貼っておく。可視化することで、ルールを破りそうになったときに自制が効きます。

セルフコントロールがまったくできない状態だと依存になりやすくなると思います。ムダに時間を使ってしまう自分を戒めて、自分で考えてコントロールするということは、人生のどの領域にも必要です。むしろ幼少期など小さな頃からベースをつくるといいし、そのために「ゲームや動画視聴をする時間をセルフコントロールする力」を、ゲームでつけていくのもよいと思っています。

ゲームをすると脳にドーパミンが分泌され、「もっとやりたくなる」

――そもそも、ゲームを長時間やりたくなるのはなぜなのでしょう。

阿部さん 脳は快楽を感じると神経伝達物質であるドーパミンが分泌されます。ゲームは「即時フィードバック」、つまり「すぐにご褒美がもらえる」仕組みなので、ドーパミンが出やすいのです。そしてもう一つは、「予測可能な達成感」、すなわち「あともう少しでご褒美がもらえる!」という絶妙な目標設定です。もうちょっとやるとボスを倒せる、もうちょっとやろうとアクセルを踏みます。そうなるとブレーキがききません。

『ゲームしながら受験で勝つ!─医師が教える子どもが自ら学び出すセルフコントロール力─』(新潮社)著者の阿部智史さん

阿部さん これは、大人がSNSの「いいね!」やポイントカードのスタンプに喜びを感じているうちに、いつのまにかハマってしまうのと本質的には同じ仕組みです。ただ、ゲームは自分で戦略を考えながらアクションするなど能動的です。受動的に見るだけのSNS視聴は、ゲームプレイに比べてIQが低くなるというデータもありますので、ゲームのよさにも着目してほしいですね。

*Sauce, B., Liebherr, M., Judd, N., & Klingberg, T. (2022). The impact of digital media on children’s intelligence while controlling for genetic differences in cognition and socioeconomic background. Scientific Reports, 12(1), 11341.
https://www.nature.com/articles/s41598-022-11341-2

ゲーム依存かどうかのゲームテストとは

――なるほど、ゲームとよい付き合いができることが大切、深くハマると危険な気がします。一般にゲーム依存とはどういう状態を言うのでしょうか。

阿部さん 久里浜医療センターという、依存症を診療する病院が提供するゲームのスクリーニングテストがあります。参考までにやってみてください。

【ゲームズテスト】

過去12ヵ月について、以下の質問のそれぞれに、「はい」「いいえ」のうち当てはまる方に〇をつけてください。最後の質問については、もっとも当てはまる回答を一つ選んでください、なお、ここでいうゲームとは、スマートフォン、ゲーム機、パソコンなどで行うゲームのことです。

『ゲームしながら受験で勝つ! 医師が教える子どもが自ら学び出すセルフコントロール力』(新潮社)より

出典: Higuchi S et al. Development and validation of a nine-item short screening test for ICD-11 gaming disorder (GAMES test) and estimation of the prevalence in the general young population. Journal of Behavioral Addictions 2021; 10(2): 263-280.

久里浜医療センターホームページ https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/games-test.html
※こちらでチェックも可能です

判定結果

1〜8までは「はい」にチェックがつくとそれぞれ1点、9についてはBが1点、Cが2点で合計点を計算してみてください。合計が5点以上の場合、「ゲーム行動症」が疑われます。

※WHO(世界保健機関)が2022年に発効した国際疾病分類(ICD-11)に正式に収載した疾病。ゲームのコントロールができない、日常生活よりゲームを優先する、ゲームが原因で学業・職業・家庭生活に明確な問題が生じているにもかかわらずゲームを続けるまたはエスカレートさせる、といった状態が長期間続く場合に診断される。一般的に「ゲーム依存」とも呼ばれる。

判定結果が心配な場合は先生や専門家に相談を

阿部さん 保護者がお子さんのことをテストすると、どうしても厳しめの採点になってしまうもの。本当に「はい」なのかどうかはよく考えましょう。ゲームをすることで生活に支障を来しているかどうかが、判断基準です。

また、ゲームと適切に付き合っていけること、つまりセルフコントロールができるかを考えるためのテストなので、このテストで「はい」がいくつかつくから禁止、という方向にならないようにしてください。ちょっと不安だと思ったら、日頃お子さんをよくみている先生や、スクールカウンセラー、地域の教育相談センターなどに相談するなど、第三者の意見を聞いてみることをおすすめします。

さらに専門的に聞きたい場合は、私が立ちあげ、現在もメンバーになっている一般社団法人Dr.GAMESでオンラインの相談も受け付けています(無料)。ゲーム好きの医師が主体のメンバーで、ゲームをするお子さんたちの立場も理解しながら専門的なアドバイスをします。

Dr.GAMESへの相談は>>こちらから

ゲームのルールは子どもと相談して決め、紙に書いて貼っておく

――今後、子どもがゲームとよい付き合いができるよう、保護者が気をつけることはありますか?

阿部さん まず、「ゲームは悪」と決めつけないこと、そして一方的に禁止などはしないこと。お子さんたちがゲームをする楽しさや、達成感、またゲームから得られる戦略を考え実行する力、集中力や忍耐力、挑戦する熱意などよい点も十分理解してください。

その上で、ゲームをするときのルールを一緒につくっていき、つくったルールは紙などに書いて貼り、可視化しましょう。

オンラインゲームは避け、終わりのあるゲームを選ぶ

――ゲームには、ひとりでやるもの、大勢でやる対戦があり、またオフラインとオンラインのものがありますね。どれを選ぶといいでしょうか。

阿部さん 小さい頃は親の見えるところでゲームをするのがよいでしょう。親が見える状況、親との関係が良好な状況でツールを使う練習を始めることが重要です。

ひとりでできるタイプのものを自室でやるとなると、親と一緒に決めたルールも成り立たなくなります。リビングなど家族のいるところですることを前提にするといいですね。そしてゲームを楽しそうにやっているときは、親も興味を持って、一緒に眺めたり、対戦ゲームなら一緒に対戦したりするなど、子どもが「好き」なゲームの世界を理解して楽しめることが理想です。

オフラインとオンラインであれば、オフラインのものがよいです。オンラインでは、そのコミュニティとの付き合い方にリテラシーが必要ですが、わが子に一生懸命にリテラシーを身につけさせても、相手がそうでない場合もあります

オンラインの対戦の最中には、誹謗中傷、乱暴な言葉使いなどが飛び交うことがあります。コミュニティの中で辛辣なことを言ったり、仲間はずれや無視など、疎外感を持ったりするようなことも起こりがちです。またこのコミュニティと付き合うことに時間が費やされることもあります。

――武器を買うなど、課金のあるゲームも親の立場では……。

阿部さん 強い相手と対戦するのに、お金を出していい武器を手に入れないと応戦しにくいゲームがありますよね。「勝ちたいから」と子どもが武器の購入をせがむ場合がありますが、こういうタイプのゲーム自体、話し合って選ぶのをやめることをすすめます。どれだけ課金をしても、上には上がいます。お金を持っている大人には勝てません。

おすすめしたいのは、オフラインで「全クリ」と呼ばれる、ラスボスを倒したら終わるゲームです。終わりがあるので、達成感もあり、またそのゲームから離れやすいです。スーパーマリオのシリーズなどはこれにあたりますね。

――でも、終わってしまったらやることがないし、次々に新しいゲームをほしがっても困ります。

阿部さん マリオシリーズは、コインなどのアイテムをコンプリートするとそれなりの時間がかかる上、「高難易度のおまけステージ」があって、私が遊んでも難しくて時間がかかることがあるので、お子さんは長く楽しめると思います。

逆に高難易度コースも楽にクリアしてしまうようであれば、その子は特別な能力(思考力、問題解決能力)を持っています。親としてその能力を認めてあげて、その能力がさらに伸びるようにサポートできるとよいと思います。

ゲームのよさを保護者もよく理解した上で、お子さんがよい付き合いができるよう、一緒に考えてあげてください。

――子どものゲームで親子が険悪な関係になることがよくありますが、阿部さんのお話を聞くと、まずはそれを避けることが最重要だとわかります。親がわかってくれないと思ったら隠れてプレイし、リテラシーを踏み外すことも多いでしょう。子どもがゲームとよい付き合いをするために、まずは子どもの気持ちを理解し、子どもに寄り添う姿勢を大切にしたいですね。

前編はこちらから

ゲーム依存で御三家中高からフリーターに…。その後、医学部へ逆転合格した現役医師が断言「ゲームの経験が受験勉強に役立った」そう考える背景とは
男子御三家中高に入学したものの、高校でゲームにハマりすぎて…… ――阿部さんは男子御三家中高一貫校と言われる武蔵高等学校中学校の出身...

お話を聞いたのは

阿部 智史さん 医師、ゲーマー

1987年生まれ。家庭医療専門医・指導医。医療法人救友会理事長、東海大学医学部付属病院総合内科学客員講師。中学受験の難関とされる御三家・私立武蔵中高から東海大学医学部へ。高校時代から高校卒業後の3年間でゲーム依存になりどん底を味わった経験から、2021年に仲間とDr.GAMESを設立。日々の診療の傍らゲームの問題で悩む親子やゲーマーのサポートをしている。現在も熱心なゲーマーであり、複数のオンラインゲームで全国ランキング1位の経験を持つ。東京2020オリンピック選手村ドクター。2024年には東海大学医学部付属病院スポーツ外来にeスポーツ外来を新設した。1児の父。著書に『ゲームしながら受験で勝つ! 医師が教える子どもが自ら学び出すセルフコントロール力』(新潮社)

 

Dr.GAMESではゲームの問題で悩む方々のオンライン相談を実施しています。

https://dr-games.jp/gamer

阿部 智史 新潮社

《なぜ「ゲームが上手い子」は「勉強もできる」ことが多いのか? 現役医師が証明する、逆転の合格術!》
ゲームの時間を削っても、成績は上がらない──これ、本当です。受験とゲームの意外な共通点やゲームにまつわる悩み相談など、ゲームと戦略的に付き合うメソッドが満載。ゲームを「敵」から最強の「武器」にすれば、論理的思考力、問題解決能力、自走する力がいつの間にか身につく! 御三家中高出身の医師による、画期的な子育て本。

この記事を書いたのは

三輪泉 ライター

インタビューを中心に教育、子育て、医療、介護、食などのテーマで WEB・雑誌・書籍などの記事を執筆。お話を伺う方にたくさんの学びをいただいています。社会福祉士、法定成年後見人、中学校・高等学校教諭一種免許状、生涯学習2級インストラクター(栄養と料理)

編集部おすすめ

関連記事