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中学受験は「桜蔭に行きたい!」の気持ちから始まった
――磯貝さんは中高一貫の女子校最難関と言われる、桜蔭中学校・高等学校の出身ですね。本当にすばらしい!中学受験の勉強は大変でしたか?
磯貝さん うちは母の出身が桜蔭だったこともあり、桜蔭の友だちと楽しそうにしているので、しぜんといいイメージを持っていました。そして学園祭に行ったら、校舎や講堂はきれいだし、サイエンスストリートといって、理系部活の化学部や生物部や物理部、天文気象部などがずらりと並ぶところを見てワクワクして。すごく活気があって素敵だと思い、「私も桜蔭に行きたい!」という思いがとても強くなったんです。「中学受験をする」がスタートじゃなくて、「桜蔭に行きたい!」が勉強をするきっかけでした。
それには、塾に行くんだろうな、小学校以外の場所で勉強するのは楽しそうだし、塾って行ってみたい!と思っていたのですが、母にダメと言われました。
――なぜダメなんですか?
磯貝さん 睡眠が削られるから、と。成長期にはとにかく睡眠が大事だ、ということで我が家では早く寝ることが徹底されていました。小学生までは21時、高校生までは22時に消灯でした。

――早いですね!
磯貝さん 早く寝て朝早く起きる、という生活だと、体内時計が整って気力が削られないと言われていました。実際、朝の始業時間から元気だったので、学校生活を楽しく過ごす意味でもプラスになっていたと思います。
今私はビジネス映像メディアの『PIVOT』でMCを務めていて、さまざまな分野の専門家の先生にお話を伺うんですが、そこでも「小さいお子さんは寝ることが大事」だと聞きました。「寝る時間を削ると一瞬その単元に関しては成果が出るかもしれないけれど、一時的なもの。記憶は睡眠中に整理され定着するので、いくら覚えても睡眠を奪ったら成績は低下してしまうし長期的には知能を下げてしまう」とのこと。特に、脳が育っていく幼少期に睡眠が不足するとその後一生影響が残り得るということなので、母が睡眠を大事にしてくれてよかったと思っています。
「予習シリーズ」で受験のために自主勉強。わからなかったら母に聞く

――では、受験勉強はどうしていたのですか?
磯貝さん 5年生の後半までは、四谷大塚の「予習シリーズ」を自宅でやっていました。予習シリーズは自分ひとりで読んで解いたりできるので、自分なりにやってみて、わからないところは母を呼んでいました。親なりに解釈して「こういうことなんじゃない?」などと教えてもらう、そのくらいのレベルでした。
その後、特待生に選ばれて塾に通うことになりました。それだと自分に必要なところだけ行けるので、睡眠は確保できていました。
塾に通い始めたら親は「何を学んだか」関心を持って話しかけて
――お母さまが塾代わりに教えられるなんて、すごいです。
磯貝さん 大人はわからなかったらいろいろ調べることができますしね。あ、でも母は塾に行かないことをすすめるつもりもなくて、塾で勉強したい、という気持ちは大事にしてくれていました。睡眠を削ってまで行かなくていい、というだけで。一般的にはプロである塾の先生に教えてもらうのが早いですしね、親が教えられないといけないってわけではないですよ。
ただ、「塾で教えてくれるから」とそれですまさないほうがいいと思う。もし、お子さんが塾で問題を解いてきたとします。解けたときはうれしいですよね。そういうときは「すごいね!」って言ってあげるとやる気も出ます。
親御さんも忙しくて、限度があるかもしれないけれど、新しいことを習ったときなんかは、「どんなこと習ったの?」とか聞いてあげたり、それができたときは喜んだりしてあげるといいですよね。解き方を子どもに教えてもらうのもいいと思います。そうすると子どもは一生懸命に解き方を考えて話をするから定着します。親は、子どもが「わかった」ことを報告したら、喜んであげる。これが本人のモチベーションになります。
第二志望校も自分が「すごく行きたい!」ところを選んだ
――志望校はどうしましたか?第一志望は桜蔭として、ほかはどういう基準で選んだのですか?
磯貝さん 入学後に小テストが多そうな中高は自分には合わないかな、と思ってはずしました。私は自分から勉強をするのはいいんだけれど、やらされる、みたいなのは、あまり……。その子その子によって、合う合わないがあると思います。たとえば桜蔭は「勉強しなさい」みたいなことはぜんぜん言わない学校です。

――よく、「開成や灘、桜蔭など、最難関校は『勉強しろ』とあまり言わないし、自主性を持って勉強をすることを大事にするから、宿題も限定的」と言いますね。
磯貝さん それがゆるくてイヤだな、不安だなと思うなら、しっかり宿題がある学校がいいですよね。中学受験だと、志望校は親御さんがまず調べて選択することが多いですが、「この子は校則が厳しそうなところは合わないかも」「おっとりしているけれど基準を決められたらこなしていけそう」など、普段のその子の生活のしかたや勉強のしかたを見ていて、合いそうなところを選んでいくといいのではないでしょうか。同じような偏差値でも、学校によってそのあたりはだいぶ違うと思います。
ただ本人も、学校見学に行ったときに学校の雰囲気を感じ取って「いいな」「なんか違うな」と思ったりもするので、それも聞き取ってあげてほしいです。「私の子だから私がいいと思う学校が合うはず」とは限らないと思います。
自分の場合は、他の女子校なども見学に行ったのですが、渋谷教育学園渋谷(通称渋渋)の文化祭を見学したときに、校舎がきれいで、ドラマで見ていたような共学青春コミュニティみたい!と感激しました。制服もかわいいし、さらには生徒がミュージカルの 「夢から醒めた夢」 をやっていて、「私もここで舞台やりたい!!」ということで、桜蔭とはまったく雰囲気が違う学校ですけれど、「併願校は渋渋にしよう!」と決めました。
第二志望の学校も、自分が魅力的に思える学校を選ぶのがいいと思います。私は桜蔭に絶対に行きたかったけれど、第一志望を落ちたら絶望、じゃなくて、次に選ぶ学校も魅力的に思えていた。そういう受験がいいかな、と思いますね。
「勉強したくない」と言ったら穏やかに「やめていいよ」と

――磯貝さんは中学受験にはしっかり取り組んでいたと思いますが、一時期勉強したくなくなった時期もあったんですよね。そのときお母様は……。
磯貝さん やめていいよ、って言ったんです。「勉強っていやいややるものではないから」と。じゃあ、と思って「勉強やめた!」ってストライキをした期間がありました。でも、塾はそこでできた友だちに会うのが楽しいじゃないですか。それで塾の授業を受けにだけ行く、というのを2週間くらい続けました。でも、結局「やっぱり勉強したい!」となって、ちゃんと家でも勉強するようになったんです。母は黙ってみていました。
――お母様、すごいですね。「そんなこと言わないで勉強しなさい!」と言ってしまうのが親の常ですが、黙ってやる気になるのを待ったのですね。
磯貝さん 「禁止や強制で勉強に向かわせてもよくない」という方針があったし、結果を真摯に受け止めてね、っていうのもあったかもしれないです。子どもの側の適性もあるかもしれませんけどね。親は何も決めずに様子を見ていてくれました。だって、子どもって、何がどう作用するかわからないじゃないですか。ちょっとしたきっかけで勉強が好きになる、やる気になるってあると思います。なるべくよけいなプレッシャーをかけずに、目標に達することができればいいなと、思ってくれたのかな。

磯貝さん とにかく、我が家では「好き」を大事にしてくれて、それを阻む障害物を取り除いてくれたと思っています。そして勉強と遊びの境目がなく、「楽しい」「おもしろい」と思える環境を作ってくれたのが、中学受験にモチベーション高く向かっていけた大事な理由かな、と思います。
――勉強は「しなければならないもの」でなくて「楽しくておもしろいもの」。そう思い続けて勉強にワクワクしながら取り組み続けている磯貝さん。まさに理想です!磯貝さんの著書を読むと、そのワクワク感が伝わってきます。後編では、どうやったら勉強が楽しくなるのか、具体的に伺ってみました!
後編はこちら
お話を聞いたのは
1993年生まれ。桜蔭中学校・高等学校を経て、2012年東京大学理科一類に現役合格。在学中の2013年4月から1年間、日本TV『NEWS ZERO』の天気コーナーを担当した。2016年3月東京大学工学部社会基盤学科卒、同年4月中京テレビに入社。2022年3月31日付で、中京テレビを退社、フリーアナウンサーに。2023年4月から東京大学公共政策大学院に進学、2027年3月修了予定。2025年6月1日より、ビジネス映像メディア「PIVOT」MCに。高1のときに気象予報士試験に合格。著書に『東大・最年少気象予報士合格を支えた 没頭勉強術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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著者の磯貝初奈は、高1で気象予報士(当時女子最年少)合格、桜蔭中高→東大現役合格、アナウンサーを経て東大大学院に合格。「血のにじむような努力とは無縁」の著者がここまで勉強を続けてこられたのは、ただひとつ——「勉強が最強に楽しかったから」です。
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この記事を書いたのは
インタビューを中心に教育、子育て、医療、介護、食などのテーマで WEB・雑誌・書籍などの記事を執筆。お話を伺う方にたくさんの学びをいただいています。社会福祉士、法定成年後見人、中学校・高等学校教諭一種免許状、生涯学習2級インストラクター(栄養と料理)
