4月から小学校高学年では英語が教科化されました。小学校高学年の英語の授業で「読むこと」「書くこと」の指導も始まり、子ども達が出合う単語もぐんと増えてきます。そんなときに欠かせないのが英語の辞書です。英語の意味を調べる英和辞典といっしょにそろえてほしいのが和英辞典。その役割と活用法について『プログレッシブ小学英語辞典シリーズ』の編集委員で、小学校の英語教育に詳しい相田眞喜子先生にお聞きしました。
目次
まずは大人が和英辞典を引いて、子どもにお手本を見せましょう
和英辞典とは、日本語の表現をどう英語で表すかを調べるときに使うもの。「これを英語で言いたい!」というときに単語や例文をチェックして、英文をつくります。
英語に不慣れな子には難しそうな和英辞典ですが「子どものクリエイティビティをくすぐる」と相田先生は話します。
親自身がやって見せることで子どもは興味を持ちます
「子どもといっしょにいるときに、英語で言いたいことがあるけれど、うまく言えないという場面が出てきたら和英辞典の出番です。でも、いきなり子どもに引かせるのではなく、親がまずは引いてみます。たとえば、アイスクリームを食べているときに『抹茶アイスクリームって英語でなんて言うのかしら』と、お母さんが辞書を引きます。それで“green tea ice cream”と見つけたら『抹茶アイスってgreen tea ice creamって言うのね。便利だわ、こういうときに辞書を使うのね』って、お手本を見せてあげてほしいのです」
子どもは親の真似をするもの。親が子どもにやらせるよりも、親自身がやって見せることで子どもは興味を持ちます。
「子どもが英語で言いたいことが見つかったけれど言えない、という状況になったら、『辞書を引いてみたら』と辞書を手渡しましょう。そうしたら、まずは引き方を教えてあげる。たとえば“わたがし”を引きたいとしたら、まず“わ”のところを見て、次に“た”を見つけるということですね。子どもがいやにならない程度に手を貸してあげるのがよいでしょう」
英語力が伸びるのは、“音”が好きな子。辞書を引いたあとは必ず音声を聞かせて
「“わたがし”を引くと“cotton candy”と出てきますが、子どもは読めません。音声を聞いて初めて、英語は使えるようになりますから、必ず音声を聞かせましょう。辞書を引いて、言葉を見つけ、音まで聞かせて完成と親御さんは知っておきましょう。英語を学習するときは、いつでも音声を聞くという習慣をつけておくことが大切です。小さい頃から音声を聞いて育った子は英語が好きになり、『リズムにのって英語を言うのが好き』『音読は楽しい』と思うようになり、先々、英語力が伸びます」
高学年になったら、和英辞典を使って英作文の練習も
音声に十分に慣れ親しんだら、辞書を使って書いてみるのもよいでしょう。
「辞書には子どもの言いたいことに類似した表現が例文として出ていますので、その単語を入れかえることで、自分の言いたいことに近づけることができます。日記を書いてみるのもよいでしょう」
ただし文法的な誤りがあると、書いたものはずっと残ってしまうので気をつけてほしい、と相田先生。
「小学生のうちは冠詞が落ちたり、単数・複数をまちがえたりということがよく起こります。一度、書いてしまうと、それで覚えてしまうこともあるので、書くことは焦らないほうがいいでしょう。日記を書くときは過去形が必要ですから、過去形になると動詞の形が変わることがわかってきたら、和英辞典を大いに活用して作文ができるでしょう」
子どもの知りたい言葉が載っているのが最強の辞書
子どもの“知りたい”にこたえる辞書は、子どもにとって自由に表現の世界を飛び回れる翼のようなもの。その辞書が本物の翼となるためには、次の5つのポイントがあります。
①子どもが使う単語が載っている
②漢字にルビがふってある
③イラストが意味理解を助けるもの
④眺めているだけで楽しい誌面
⑤音声が聴けるオプションがついている
この5つのポイントを満たした辞書が、相田先生も編集・著作に関わった小学館の『プログレッシブ小学和英辞典』。
「“ダンゴムシ(=a pill bug)”が載っているのが、この辞書です。『ダンゴムシ』はいわゆる重要単語ではありませんが、子どもの知りたいものが載っているということが重要。例文も子どものアンケートを元にしているので、“やっと給食の時間だ(=Finally it’s lunchtime!)”“宿題を忘れました(=I forgot my homework.)”など、子どもの言いたいことが詰まっています。単語や例文の英語の音声がすべて聞けるところもおすすめのポイントです」
和英辞典を活用しながら、家庭でも英語を日常的に使ってください
「家で親御さんが英語を使っている姿や英語を勉強している姿を見せるとよいでしょう。英語を知ると世界がこんなに広がって楽しい、英語を使うとこんな風に外国の方と話ができるんだよ、と子どもに伝えられるといいですね。それと同時に『英語が話せるから偉い』という先入観を子どもに植えつけてほしくないですね。大人の世界では英語ができないと苦労する、英語ができることが有利かもしれません。でも英語は世界中の人たちと仲良くするための道具であって、道具を持っているからと言って、その人が偉いわけではありません。そういった価値観も子どもに伝えていきたいです」
英語の発音が全部聞ける、小学生のための英語辞典『プログレッシブ』。和英辞典の例文は、小学生のアンケートを元に作成!
『プログレッシブ小学英和・和英辞典』『プログレッシブ小学和英辞典』『プログレッシブ小学英和辞典』は、小学生のための本格的な英語辞典。2020年4月から使われる検定教科書に対応し、英和辞典は英検®5級、4級、3級の語彙をカバー。子どもたちの知りたい“frozen(=凍った)”“wicked witch(=悪い魔女)”なども収録しています。
和英辞典の例文は、小学生のアンケートを元に作成しているため、“やっと給食の時間だ!(=Finally it’s lunchtime!)”“宿題を忘れました(=I forgot my homework.)”など、読んでいるだけで楽しい表現が満載。子どもの言いたい表現がすぐに見つかります。
https://www.shogakukan.co.jp/pr/progre/
辞書の英語の音が丸ごと全部入ってる!
何といっても、英和辞典も和英辞典もすべての単語や例文がネイティブスピーカーの音声で聞けるのがいいところ。音声が単語毎に区切られているので、聞きたいところをパッと見つけられます。調べたらすぐに聞く習慣をつけることができます。
本書掲載のアドレスにアクセスすると、辞書の英語の音がまるごと全部、PC、スマホ、タブレットで聞けます!
取材・構成/池田純子