干した布団はふかふかとして気持ちがよいものです。しかし、布団はただ干せばよいというわけではありません。干すタイミングや干し方によって、効果は大きく変わってしまいます。正しい布団の干し方と注意したい点について解説します。
なぜ布団を干すの?
天気のよい日は、庭やベランダなどで布団を干している家庭をよく見かけることでしょう。太陽の光に当てた布団は、ふんわりとして肌触りがよいものです。
まずは、布団を干すとどんな効果があるのかを見ていきましょう。
消臭やダニ対策のため
人は睡眠中に約コップ1杯分の汗をかくといわれており、その汗は布団が吸収しています。湿気がこもった布団は、ダニや雑菌が繁殖しやすいため、内側にしみ込んでいる水分を蒸発させなくてはなりません。
定期的に布団を干すことで、湿気を取り除ければ、ダニや雑菌の繁殖を抑えることができます。
また、布団には体臭などの臭いが付いていますが、これも雑菌の繁殖によるものです。太陽の光を当てて水分が飛ばされれば、嫌な臭いを元から取り除けるでしょう。
布団がふっくらする
布団は使用しているうちに、ふんわり感を失っていきます。寝ている間にかいた汗を布団が吸い続けているためです。そのまま使用していると、弾力が失われた固い布団になり、快眠を妨げてしまう可能性があります。
布団を干すことで内部の湿気を取り除ければ、中綿に空気が入るため、再び弾力性を取り戻すことができます。
また太陽光を当てた布団は、中綿に温もりが残っているので、肌触りもよく感じられるでしょう。定期的に布団を干すことで、新品に近いふっくらとした感触が味わえます。
布団を干すタイミング
布団を干すタイミングはいつでもよいわけではありません。基本的には湿度の低い晴れた日が理想です。湿度が高い日は、布団が湿気を吸い込んでしまうこともあるので注意しましょう。
布団を干すのに適した天候と時間帯について解説します。
適した天候
布団干しに適した天候は、朝から晴れていて湿度が低い日がベストです。湿度が高い日は、布団内部の湿気が取れないため効果的ではありません。
ただし、晴れの日がしばらくない場合は、曇り空でも湿度が低ければ問題ありません。風が吹いている日であれば、湿気を飛ばすことができるので、乾燥させやすいでしょう。
また晴れていても、雨上がりの湿度が高い日に干すのはおすすめできません。壁になっているタイプのベランダに掛ける場合は、壁の表面に湿気がたまっているので特に注意しましょう。
適した時間帯
布団を干すのに適した時間帯は10~15時です。一般的に14時を過ぎると湿度が上がってくるため、湿気を吸い込まないよう、15時には取り込むようにしましょう。
また、季節によって干す時間の目安は異なります。日差しが強い夏は片面1時間程度で、気温が低い冬は片面2時間程度がよいでしょう。
羽毛布団や羊毛布団は、長時間太陽に当てていると傷んでしまう可能性があるので注意が必要です。取り込む時間帯も考えながら、布団を干すようにしましょう。
素材別の干し時間と頻度
布団は使用している素材によって、肌触りや寝心地が大きく異なります。主な素材は以下の4種類です。
・綿
・羽毛
・合繊
・羊毛
それぞれの素材には特性があるので、適した時間と頻度で干すことが大切です。布団自体の寿命を縮めてしまわないように、素材別の正しい干し方を解説します。
綿布団の場合
「綿布団」の特徴は、保温性と保湿性に優れ、適度な弾力がある点です。
湿気がたまりやすく、蒸発しにくい性質でもあるので、週に2~3回は干すようにしましょう。もちろん毎日干しても構いません。
ただし、強い日差しに長時間当てると中綿が傷んでしまいます。夏場は片面1時間ずつ、冬場は片面2時間ずつ干すようにしましょう。
敷布団の場合は、肌や床に触れる面に湿気がたまりやすいので、長めに干すのがポイントです。
羽毛布団の場合
「羽毛布団」は、吸湿性と放湿性が高い布団です。
側生地が綿やポリエステルで作られていることから、長時間日光に当てると劣化する恐れがあるので気を付けましょう。劣化した部分から羽毛が飛び出して、肌触りが悪くなったり、中身が痩せてしまったりします。生地の劣化が気になる場合は、カバーを付けたまま干してもOKです。
干す頻度は、1カ月に2~3回、1回につき片面1時間を目安にしましょう。高温下では、中の羽毛が傷んでしまうこともあるので注意が必要です。
外に干せない場合は、風通しのよい場所を選ぶようにしましょう。
合繊布団の場合
「合繊布団」とは、中綿に化学繊維である「ポリエステル綿」を使った布団のことです。
保温性が高く、ポリエステルの繊維がほとんど湿気を吸い込まないため、比較的扱いやすい特徴があります。サイズによっては、自宅の洗濯機で丸洗いすることも可能です。ただし、繊維と繊維の間に汗や皮脂などが透湿するため、しっかり乾燥させる必要があります。
週に1回、夏場は片面1時間ずつ、冬場は片面1~1.5時間ずつ干すようにしましょう。
羊毛布団の場合
「羊毛」はウールとも呼ばれ、保温性の高い素材です。羽毛と同様に吸湿性と放湿性に優れ、蒸れにくいので季節を問わず使用できます。
羊毛にはバネ状の「けん縮」と呼ばれるものがあります。一度ヘタると、繊維が絡んで回復しにくくなるため、干してもかさ高は元に戻りません。
また、羊毛は虫食いができやすいので、1カ月に1~2回、片面1~1.5時間ずつ干して、防虫対策を行うことも重要です。内部にたまった湿気は、週に1回程度、日陰で干して取り除きましょう。
布団を干すときの注意点
布団を干すときには、いくつかの注意点があります。間違った干し方をしていると、生地が劣化してしまい、長く使えなくなってしまうかもしれません。
干したあとの仕上がりにも大きな差が出るので、注意点を押さえてふかふかの布団に仕上げましょう。
カバーやシーツは付けたままにする
布団を干す際には、カバーやシーツを取り外した方が太陽光がよく当たり、殺菌効果があると思われがちです。
しかし、紫外線が直接当たると、側生地が劣化したり日焼けしたりする可能性があるので、カバーやシーツは付けたまま干しましょう。
黒色のカバーやシーツは熱を吸収しやすいので、短時間で布団内部の温度が上がり、布団干しのさまざまな効果が得られます。
布団をたたかない
布団の中のホコリや花粉を出そうと、布団を強くたたいている人は多いのではないでしょうか?
しかし、布団をたたくと中綿の繊維がつぶれてしまいます。布団の弾力性が失われるだけでなく、布団の寿命も縮めてしまいかねません。
また、たたくことで中綿内のダニの死骸が粉々になり、さらに増加してしまいます。細かい粒子となって空気中に舞い、自分が呼吸とともに吸い込んでしまう恐れもあります。干したあとの布団は、たたくのではなく手で軽く表面を払うのが正解です。
取り込んだあとは掃除機をかける
取り込む際は、干した布団の表面に付いたホコリを手で払い、掃除機をかけましょう。手で払うだけでは、布団内部にあるダニの死骸や花粉、外気中のゴミまでは取り切れません。
掃除機は短い辺を上から下へ向け、隅々まで丁寧に吸い取ります。目安は1列につき10秒です。表面が終わったら、裏面もしっかり掃除機をかけましょう。
布団に通常の掃除機を使うと、表面の布を吸い込んでスムーズに吸い取れないケースがあります。より手軽にスピーディーに作業をしたい人は、布団用ヘッドや布団クリーナーを使うのがおすすめです。
布団を干して快眠を手に入れよう
布団には睡眠中の汗や花粉、ダニなどの汚れがたくさんたまっています。そのまま使い続けていると、寝心地が悪くなるだけでなく、カビが生えたりアレルギーの原因になったりするなど、衛生的とはいえません。
定期的に布団を干して、太陽光による殺菌・消臭を行いましょう。
干すタイミングは、湿度が低いなるべく晴れた日の10~15時がおすすめです。両面を干して取り込んだあとは、時間をかけて掃除機で丁寧に汚れを吸い取れば、ふんわりとした布団へとよみがえります。清潔な布団で、快適な睡眠を手に入れましょう。
構成/HugKum編集部