世界を席巻中の『ドライブ・マイ・カー』はどこがすごいのか?日米アカデミー賞でも注目度大!

全世界で高い評価を受け、映画の賞レースを爆走中の西島秀俊主演映画『ドライブ・マイ・カー』。米アカデミー賞のノミネーションを受けて拡大公開もされ、現在大ヒット中です。今晩放映される日本アカデミー賞授賞式前に、改めてこれまでのムーブメントをおさらいします。

『ドライブ・マイ・カー』が米アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、国際⻑編映画賞の全4部門にノミネート!

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

もはや日本映画界というか日本エンタメ業界における“事件”と言ってもいいのではないでしょうか?『ドライブ・マイ・カー』が、第94回米アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、国際⻑編映画賞の全4部門にノミネートされたほか、世界の映画賞の賞レースを席巻中です。

米アカデミー賞の受賞結果が出るのは、日本時間の3月28日(月)ですが、第45回日本アカデミー賞の授賞式が、ちょうど3月11日(金)の21時より日本テレビ系にて放送予定です。その前に、一連の『ドライブ・マイ・カー』旋風を振り返ってみましょう。

『ドライブ・マイ・カー』はどんなストーリー?

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

村上春樹の同名短編小説を映画化した本作の主人公は、西島秀俊演じる舞台俳優で演出家の家福悠介。脚本家である妻の音(霧島れいか)と幸せに暮らしていた家福ですが、妻はある秘密を残したまま突然、他界してしまいます。喪失感にさいなまれながらも、家福は広島で開かれる演劇祭での演出を手掛けることに。現地で、彼は寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)を雇いますが、彼女と交流するなかで、様々なことに気づいていきます。

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

家福の揺れ動く胸の内を丁寧に表現した西島さんや、抑えた演技が冴えるヒロイン・みさき役の三浦さんはもちろん、家福が演出する俳優・高槻役の岡田将生や、家福の亡き妻・音を霧島れいかなど、実力派俳優陣によるアンサンブル演技は大いに見ごたえがあります。

世界各国で賞レースを激走中!勢いが止まらない

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

一体、『ドライブ・マイ・カー』はこれまでにいくつものトロフィーを手にしたことでしょうか? 第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、ゴールデングローブ賞非英語映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞作品賞・脚本賞・監督賞次点、ボストン映画批評家協会賞にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、米批評家協会賞では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、すでに多数の賞を受賞しています。

イギリスでは、第42回ロンドン映画批評家協会賞で日本映画として初めて脚本賞を受賞、外国語映画賞では周防正行監督の『Shall we ダンス?』(96)以来のダブル受賞を果たしました。そして、現地時間3月3日にノミネーションが発表された英国アカデミー賞(BAFTA賞)では、監督賞、脚色賞、非英語映画賞と3部門にノミネートされていて、現地時間3月13日(日)に授賞式が開催される予定です。

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

国内でも、第34回日刊スポーツ映画大賞で作品賞と主演男優賞、第76回毎日映画コンクールで日本映画大賞(作品賞)と監督賞、第95回キネマ旬報ベスト・テンではキネマ旬報ベスト・テン第1位(日本映画作品賞)、読者選出日本映画監督賞、助演女優賞、日本映画脚本賞、日本映画監督賞と全5冠を獲得。本作は昨年の8月に公開されましたが、2月には拡大公開され、現在も各地でロングラン上映が続いています。

そして、今晩放送される第45回日本アカデミー賞では、優秀作品賞、優秀監督賞(濱口竜介)、優秀脚本賞(濱口竜介・大江崇允)、優秀主演男優賞(西島秀俊)、優秀撮影賞(四宮秀俊)、優秀照明賞(高井大樹)、優秀録音賞、(録音:伊豆田廉明/整音:野村みき)、優秀編集賞(山崎梓)、新人俳優賞(三浦透子)を受賞。そのなかで、さらに最優秀賞が選ばれる予定なので、注目したいところです。

『ドライブ・マイ・カー』の公式サイトでは、映画賞受賞一覧が随時更新されています。

国内外のメディアでも高評価!映画館で観るべき1本

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

国内外のメディアが選ぶ、2021年ベスト作品としてもかなり上位にランクインされました。「RollingStone」では今年のベスト20で1位に。西島さんは「New York Times」、「VanityFair」、「SlantMagazine」にてベストパフォーマーのひとりに選出され、「TheFilmStage」では1位を獲得。共演の三浦さんも同じ「TheFilmStage」でベストパフォーマー12位に選ばれたほか、イギリス版「VOGUE」では注目の25人のひとりに選出されるなど、本作キャストも世界中から熱い視線を浴びています。


そのすごさは枚挙にいとまがない感じですが、かくいう私自身も2021年公開の作品では本作をベスト1に挙げさせてもらいました。役者陣のすばらしい演技はもちろん、戯曲をフィーチャーしつつ、深い人間ドラマを打ち出した脚本に、マジックアワーを狙った映像美も秀逸な本作。これぞ、映画館で観る価値大アリ!の1作ですので、ぜひ映画館でご覧いただきたいです。

『ドライブ・マイ・カー』は全国超ロングラン上映中!
原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」(短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)監督・脚本:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか/岡田将生…ほか PG-12
公式HP:dmc.bitters.co.jp

文/山崎伸子

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

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