人を信じることの難しさと尊さが心に染みる!
ドラマの評判が右肩上がりで、再放送もリクエストされ、好評を博している山下智久主演のNHKドラマ「正直不動産」(総合毎週火曜22時~)。前8回では、ウソがつけない不動産屋の営業マン・永瀬財地(山下智久)が、不動産の詐欺行為を行う“地面師”と向き合うことに。
永瀬はもともと、口八丁手八丁のウソつき営業マンでしたが、今は後輩の月下咲良(福原遥)と共に、人に対してとことん誠実かつバカ正直に向き合っています。その姿勢は本当にすばらしいし、見ていて応援したくなりますが、今回永瀬が扱う物件が300坪5億円という一等地の売買なので、失敗は許されません。
今回、描かれたのは、人を信じることの難しさと尊さです。また、人を育てていくうえで、一番大切なことを、改めて教えられた気がします。
永瀬を落とそうと猛アプローチに出る榎本
(以下、ネタバレを含みます)
今回は永瀬が5億円の土地の売買という社運を懸けた大仕事に挑みますが、サイドストーリーとして、光友銀行行員の榎本美波(泉里香)が、永瀬に猛烈アプローチをかけていくというラブストーリーめいたエピソードも挟まれます。
榎本はまず、後輩の月下が永瀬に好意を持っているかどうかを確認したうえで、彼女を味方につけ、永瀬の人となりを徹底リサーチしようとします。一見、策略家に見える榎本ですが、思い立ったら一直線の生真面目キャラですし、相手が永瀬&月下という超鈍感コンビなので、当然ながら空回りすることは火を見るより明らかです(笑)。
永瀬の自宅を突き止めようと、ストーカーのように後をつけた榎本の暴走ぶりには思わず失笑。原作含め、安易にラブコメ路線に走らない点が「正直不動産」の魅力ですが、これまでも永瀬と榎本のちぐはぐな掛け合いが、箸休め的な笑いを誘ってきました。
今回の榎本は、永瀬がタワマンではなくオンボロのアパート住まいと知っても彼を嫌いになることはなかったし、それどころか榎本は永瀬から「このことは2人だけの秘密で」と言われ、まさかの胸キュンモードに。てっきり榎本は、条件重視で結婚相手を選ぶ打算的な性格だと思いきや、そうでもないようで、榎本の今後の出方が見ものです。
上司と部下の信頼関係に胸が熱くなる!
今回、登坂社長の大学の先輩で、彼の過去をよく知るマダム(大地真央)の口から、かつて登坂社長が地面師に騙されたという衝撃の過去が明かされました。でも、そういう砂を噛むような思いを経験しているからこそ、社長は人を見る目が肥えていったのではないかと。
社長だから、常に利益を優先させて動くのは当たり前ですが、今回の登坂社長は、もしかして騙されるかもしれなかった部下の永瀬を信じようとしました。なぜなら永瀬は、自分が見込んだ大切な部下だから。このジャッジがかなり胸熱でした。
結局、元同僚の不動産ブローカー桐山貴久(市原隼人)のさりげない助言と、元ウソつきである自分の勘によって、地面師に騙されずに済んだ永瀬。見ていて思わず胸をなでおろしましたが、その際に永瀬と登坂社長との深い信頼関係が浮き彫りになりました。
「人を信じるということは、相手にすべてを懸けること。裏切られたとしても、それは自分の責任でしかない」と腹をくくっていた登坂社長にしびれました!上司とはこうあるべきかと。
いわば“人心掌握術”というものですが、そんな登坂社長の懐の深さを、余すことなく体現した名優・草刈正雄にも拍手!「部下は上司の鏡」とよく言われますが、それを受けて永瀬も「登坂不動産を必ず世界一の不動産屋にしてみせます」と闘志を燃やしていきます。
そこにはひと皮向けた永瀬がいました。良い上司というのは部下の伸びしろをきちんとわかっていて、敢えて冒険をさせるのかなと。持つべきものは信頼できる上司や部下であり、2人の関係性は本当にクールです。
来たる第9回は、登坂社長と、社長の宿敵である悪徳業者ミネルヴァ不動産の鵤聖人(高橋克典)の数十年に渡る因縁が明かされ、永瀬もその騒動に巻き込まれていきます。また、ミネルヴァ不動産の営業社員・花澤涼子(倉科カナ)と月下が対峙していくことに。いよいよクライマックスへ向けて、大勝負の火蓋が切られます!
文/山崎伸子
「正直不動産」毎週火曜日、夜10時からNHK総合にて放送 再放送は毎週火曜日 午後3時10分~3時55分にNHK総合にて放送
見逃し配信はNHKプラスで!(放送後、最新話が公開されます)
連載バックナンバーはこちら
営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしないーー
そんな不動産業界に前代未聞の爆弾が、いま炸裂する!!千三つと言われる海千山千の不動産業界でかつての成績が一気に低下する中、永瀬は、嘘が上手くつけない正直営業で苦戦するが…!?
不動産屋の裏側を全部ぶっちゃけちゃうニュー・ヒーロー、誕生。
本書は、大人気漫画『正直不動産』で取り上げてきたテーマのうちの24テーマを、宅建業者のTwitter集団・「全宅ツイ」の各専門クラスターが数人ずつトーク形式で語る本です。