最強の主夫が、極悪地上げ屋から保育園を救おうとする!
元極道でコワモテながらも、キャリアウーマンの妻と娘のために毎日卒なく家事をこなす最強の主夫・黒田龍がスクリーンに登場! 6月3日に公開された『極主夫道 ザ・シネマ』の主演はドラマから続投の玉木宏ですが、おおのこうすけの原作コミックから抜け出してきたようなハマリ具合が最高です。
ご存知、スーパー主夫である龍は、家事だけではなく、様々なご近所トラブルも解決してきました。そんな龍が、映画では保育園を狙う極悪地上げ屋と対峙するという最大の試練を迎えます。また、まさかの龍の隠し子騒動も勃発し、てんやわんやの状態に(笑)。
龍の妻・美久役には川口春奈、娘・向日葵役の白鳥玉季はもちろん、ディープなキャラクターを演じる志尊淳、竹中直人、稲森いずみ、滝藤賢一らレギュラー陣も“全部のせ”状態で続投。さらに吉田鋼太郎、松本まりか、安達祐実という豪華俳優陣が参戦し、とことん濃い味を極めた愉快なお祭りコメディになっております。
龍の決め台詞「主夫、舐めたらあかんで」にスカッ!
極道の世界と対極にある平凡な家庭生活とのギャップが笑いにつながる「極主夫道」ですが、映画でもしょっぱなから笑いのジャブが次から次へと入ります。
美久と向日葵が帰宅すると、龍がいきなり地べたに寝そべっていて、何かを警戒しています。何事かと驚く2人に、龍は緊迫感あふれる表情で「黒い鉄砲玉、しかもかなり武闘派や!」と、こっちへ入ってこないように注意します。
あれ?龍は極道から足を洗ったはずなのに!?と頭をひねりますよね。もちろん、龍が「鉄砲玉」と呼ぶのはヤクザではなく、よく家庭に出没するあの“黒いヤツ”だったのですが……。
この流れでつかみはOKとなり、続いてハリセンを手にした美久が黒いヤツを退治しようとするやりとりに大爆笑!一気に「極主夫道」ワールドへ入り込めます。
龍は、よく「主夫、舐めたらあかんで」と啖呵(たんか)を切りますが、劇中でもこの名台詞が登場します。でも、ほとんどの場合、“極道台詞”は平和な日常で起こったプチトラブルに対しての怒りなので、子どもにも安心して見せられます(笑)。
基本的に家事を頑張る主夫が活躍する映画なので、ママたちも観ていて気分爽快になれそう。また、昭和テイストのこてこてのコメディは、あらゆる世代が楽しめますが、ある意味、“家族”についての多様性が問われる令和時代にふさわしいドラマなのかもしれません。
専業主夫の龍とバリキャリの美久とのユニークな夫婦関係や、龍と血の繋がりのない向日葵へのあふれる愛情も含め、見ていてほっこりさせられる家族関係がとてもすてきです。
あわや『ゴッドファーザー』もどきの極悪地上げ屋との抗争に!?
ドラマよりスケールアップした映画では、手に汗握るスリリングなカーチェイスや、極道ものならではのバトルシーンも盛り込まれています。でも、もちろん「極主夫道」ならではの内容となっていて、笑いのスパイスがふんだんに散りばめてあります。
今回のラスボスは、『ゴッドファーザー』を過剰に意識しすぎている悪徳地上げ屋の近藤社長ですが、演じる吉田鋼太郎はドスを効かせつつも、おちゃめさがダダ漏れしています(笑)。
近藤は会社に乗り込んできた龍に、『ゴッドファーザー』よろしく「さようなら」のイタリア語「アリベデルチ」と追い返そうとしますが、龍が「アルデンテ」と返すやりとりも何度かリピートされ、じわじわと笑いのツボをついてきます。
そして、龍が自分たちにカチコミ(=殴り込みのこと。主にヤクザが複数人で敵対する組事務所を襲撃することを意味する)をかけるのではないかという噂を聞きつけた近藤。龍が“不死身の龍”と異名を持つ最凶の極道だった過去を知る近藤は、迎える徹底抗戦に色めき立ちますが……!?
「極主夫道」がファミリーに支持されているのは、ハートの熱い龍が主人公のホームコメディであることに加え、龍の名台詞にもある「暴力では大切なもんは守れへん」という揺るぎのないメッセージ性も大きい気がします。
とはいえ今回は、龍が大暴れする名シーンもあります。ただ、ネタバレなので言えませんが、そこの“落とし前”もちゃんと“笑い”でつけている点には、つくづく感心させられました。
ということで「これぞ令和の時代に、家族で観てほしいイチオシのコメディです!」と気合十分に応援させていただきます。
文/山崎伸子
原作:おおのこうすけ「極主夫道」(新潮社バンチコミックス刊)
監督:瑠東東一郎 出演:玉木宏、川口春奈、志尊淳、松本まりか、吉田鋼太郎…ほか
公式HP:gokushufudo-movie.jp
©️2022「極主夫道 ザ・シネマ」製作委員会