「カバティ」の起源が意外に古かった?
「カバディ」をご存じですか。漫画『灼熱カバディ』のヒットもあって、アニメや2.5次元の舞台で知ったという方も少なくないのでは? 人気YouTuber「東海オンエア」や「Fischer’s」のチャンネルでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
カバディはインド二大叙事詩のひとつ「マハーバーラタ」にも起源を持つとされる、数千年もの歴史を持つインドの国技です。2023年に中国・杭州、2026年に愛知・名古屋で開催予定の「アジア競技大会」の正式種目でもあります。
日本ではマイナー競技ですが、インドには海外スポンサーが付くほど大規模な男子プロリーグがあり、シーズンによっては女子のリーグ戦が展開されたこともあったとか。ちなみにトップ選手の報酬は1シーズン(約2カ月半)2,000万円超! 外国から参戦する選手も一定数おり、日本から海を渡ったカバディプレイヤーもこれまで5名を数えます。大国インドの国技だけあり、グローバルな夢にあふれたスポーツなんですね!
ところで小学3年生の我が子は大の『灼熱カバディ』ファン。そんなワケで、日本カバディ協会が主催する「カバディ体験会」へ行ってまいりました。
今回はカバディ女子日本代表コーチでご自身もアジア大会等で活躍、ワールドカップ銅メダリストでもいらっしゃる渡辺次郎さんにお話を伺いながら「カバディ」の奥深~い世界をレポートします!
親子でやってみた!日本女子代表コーチにも直撃インタビュー
体験会の会場となった体育館に到着してまず驚いたのが「JAPAN」のユニフォームを着ている方たちが「こんにちは!今日は楽しんでいってくださいね」と迎えてくださること! 子どものテンションも「日本代表選手に教われるの?」と爆上がりでした。
渡辺コーチ:いろんなお子さんに「カバディを楽しんでほしい!」と思ってお迎えしています。積極的な子も慎重な子も、体の大きい子も小さい子も、それぞれの良さを活かしてプレーすることができるのが、カバディの魅力でもありますから。
子どもも初心者もウェルカム
我が子は背の順でいつも一番前ということもあり心配していたのですが、小さい子は小さいなりに、高身長の方たちの守りをかいくぐって得点したりして、メチャメチャ得意そうでした。自信に満ちた表情に、親としてもうれしくなりました。
ルールも、小学校低学年の子どもにも分かりやすいですね。ドッジボールのようなコートで両チーム7名ずつが攻撃と守備を代わりばんこに行い「攻撃手は1人で相手コートに入り、守備側の敵にタッチして自陣に戻ってこられればタッチした数だけ得点、捕まってしまえば守備側に1点」と“鬼ごっこ”に似ています。「攻撃でタッチが成功すれば敵をコート外に出すことができ、同じ数の味方をコート内に復活させることができる」というルールも、ドッジボールの外野と内野のようで、理解しやすかったようです。
※さらに、ルール詳細については記事の最後で「日本カバディ協会 公式ルール説明動画」をご紹介しています。
渡辺コーチ:ルールはシンプルなのでお子さんでもすぐ楽しめますが、「走る」「つかむ」「ぶつかる」「くぐる」などのさまざまな動きを通して、運動能力を刺激することもできるんですよ。
コミュ力も養われる
全身運動なのも驚きました。翌日、子どもは平気でしたが、私はアチコチ筋肉痛で(笑)。太ももやらお尻やら、普段使っていないインナーマッスルを短時間でガッツリ絞られました。
ほかには守備の時、攻撃手を囲い込むように味方同士で手をつなぐ、カバディ独特のフォーメーション(チェーン)がありますよね。
実は『灼熱カバディ』で、試合中にコート内で言葉をかけ合うことは敵にも聞こえてしまうからできないけれど「チェーンでつないだ手を通じて意思疎通をする」シーンがあって「またまた大げさな!」と思っていたのですが、やってみて分かったのはアレ、ウソではないんですね。
日本代表選手と組ませてもらった時には「敵が来るからよけて!」「いま捕まえにいくよ!」というタイミングや方向が腕の動きだけで伝わってきて、まるで自分が名プレイヤーになったような気になりました(笑)。
親子でチェーンを組んだ時も、ひと言も交わしていないのに不思議な一体感があって「こんなコミュニケーションもあるんだ!」とワクワクしました。
渡辺コーチ:チームプレーの中で「コミュニケーション能力」を高めることができるのも、カバディの魅力のひとつといえますね。
マントラが引き出す「頭脳の瞬発力」
攻撃できるのは「カバディ、カバディ」と呟いていられる間だけ、という“謎ルール”も、子どもにはウケたようで(笑)。
渡辺コーチ:「カバディ」という言葉自体に意味はないのですが、無心に発声することで平常心へと導き、体と心を一体にするマントラ(真言)なんですよ。
同じくインド発祥のヨガでも「呼吸」が大事といわれますが、心・技・体を整えるのに「呼吸」というのは、キーワードなのかもしれませんね。
でも一定の間隔と強さで呟き続けながら身体を自在に動かすというのは、やってみると分かりますが、大人にも非常に難易度が高い!
さらにカバディでは、狭いコートの中で攻撃手が一気に何人もの守備陣にタッチして帰陣してしまえば大量の得点が動くので、攻守ともに一瞬の判断が大きく勝敗を分けることに。常に冷静に状況を把握しつつ、動く時は迷わず動く、いわば「頭脳の瞬発力」まで求められます。これをマントラを唱えつつ無心で、平常心でというのは……いやはや「カバディ恐るべし」です。
カバディをプレーする際に気を付けることは?
カバディを体験するにあたって、道具が何も要らないのも、親としてはラクちんでした(笑)。
渡辺コーチ:カバディは道具を使わない身体接触のみのスポーツですから。ただ時に激しいボディコンタクトを伴うので、ケガをする可能性は否めません。協会が開催する体験会では保険にも入っていますが、同時に指導者がしっかり見ないといけないところだと思っています。
体験会で日本代表のデモンストレーションも見せていただきましたが、カバディが別名“走る格闘技”と呼ばれているのも納得の大迫力で、子どもも目をキラキラさせていました。
とはいえケガを防ぐために、肘や膝のサポーターはあったほうがいいかもしれません。我が家が参加した体験会ではたまたま子どもの人数が少なかったこともあるのか、国際大会で活躍するトップ選手が肘用のサポーターを膝用として貸してくださいました。子どもは帰宅してからもずっと自慢していました(笑)。
渡辺コーチ:最近は人と物理的に触れ合う機会が少なくなっているので、子どもたちにとっても貴重な体験になると思います。日本カバディ協会でも「体験会」や、イベントでのデモンストレーションなどを各地で行っているので、ぜひ遊びにきてください!
カバディをやってみたい!と思ったら?
日本カバディ協会では、日本国内でのカバディ普及を目指して全国で「体験会」等を開催しています。
東京をはじめとする首都圏、2026年に「アジア競技大会」を控える愛知県を中心とした東海エリア、また2022年がインドとの外交関係樹立70周年など「日本・南西アジア交流年」でもあることから、各地で開催される多文化共生イベント等でも、カバディを楽しむことができるとか。
日本カバディ協会の公式サイト&twitterをチェック!
日本カバディ協会の公式サイトでは協会主催の「体験会」のご案内を掲載しているほか、twitterでは全国各地のイベント情報もツイートされるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
現役選手イチオシ!『灼熱カバティ』にも注目
現役選手からも続々「これを読んでカバディを始めました!」という声が寄せられるほど、激アツなスポーツ漫画『灼熱カバディ』。
4月にコミックス21巻が発売されたロングセラー作品で、漫画アプリ『マンガワン』やウェブコミック配信サイト『裏サンデー』で絶賛連載中。アニメ・舞台化もされ、人気投票でもベスト10の常連なのだとか。
中学サッカー界のトップエリートだった主人公が、高校でひょんなことから「カバディ部」に入ることに。そこに待ち構えていたのはヒョロヒョロといかにもひ弱そうな部長と、常にタブレットを抱えている頭脳派の副部長、野球から転向してきた筋トレ男子と、ケンカなら負け知らずのセンパイ、そして背が低くスポーツはほぼ未経験の新入生だった…。
そんな「能京(のうきん)高校カバディ部」がそれぞれの個性を互いにぶつけ合い、活かし合いつつ一歩一歩成長してゆく、正統派の熱血スポーツ漫画です。
“個性を活かしてコミュ力を育む”カバディの奥深さを『灼熱カバディ』でも実感できること請け合い! カバディに興味を覚えたら『灼熱カバディ』をネットで“試し読み”してみてもいいのでは? 逆に「体験会」後に漫画を読めば、戦術の妙をより一層味わうことができて、それもまたオススメです。
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カバディを親子で楽しんで
カバディを親子でスポーツとして楽しむもよし、あるいは国内の競技人口の少なさを逆手にとってアジア大会やワールドカップへの出場、果てはプロリーグへの参戦を目指すもよし。
まずは親子で「体験会」へ足を運んでみませんか。カバディを愛してやまないカバディプレイヤーたちが、未来のプレイヤーを笑顔で迎えてくれるはずです。
▼コロナ禍前2019年7月28日に開催された「カバディ子ども大会」
身長も体格もさまざまな子どもたちが活躍する様子が伝わってきます!
▼日本カバディ協会 公式ルール説明動画/“HOW TO KABADDI
▼日本カバディ協会『カバディTV』ではカバディ情報を配信中!
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構成・文/ちかぞう