目次
そもそも雲って何からできているの?
雲は小さな水や氷の粒が集まったものです。その大きさはとても小さく、半径0.001~0.01ミリほど。雨の粒に比べると雲の粒はかなり小さいです。雨粒の大きさは半径0.1ミリ~8ミリくらい、しとしと降る雨だと1~2ミリくらいの大きさのものが多いので雲粒の100倍以上ということになりますね。
雲はどうやってできるの?
雲のできる上空は地上に比べて気圧が低い状態です。空気のかたまりが上空に持ち上がると、気圧が下がり空気が膨張するため気温が下がります。すると空気中の水蒸気が冷やされて、とても細かい水や氷の粒になり、雲ができます。
今回の実験ではペットボトルの中に雲を作ります!どこでも手に入る材料で手軽に作ることが出来るので、ぜひチャレンジしてください。
雲を作る実験の材料
材料は3つだけ。どれも簡単に手に入れることが出来ます。
①500mlのペットボトル
空の500mlペットボトル。炭酸飲料の入っていた弾力のあるものを使ってください。
②炭酸キーパー
ペットボトルのキャップ部分に取り付けて、中に空気を入れて圧縮することが出来るものです。100円ショップやホームセンター、スーパーに売っています。こちらはダイソーで購入したもの。
③アルコールスプレー
あとはスプレータイプのアルコール消毒液があればOKです。
■雲を作る実験の手順
まずはペットボトルの中にアルコールスプレーを吹き掛けます。中に水滴がしっかりとつくぐらいたくさん吹き掛けてください。
ペットボトルに炭酸キーパーをつけて、ポンプを押して中に空気を入れていきます。ポンプがこれ以上押せなくなるまで、しっかりと空気を入れてください。ペットボトルの中の空気が圧縮されて気圧が高い状態になります。
ペットボトルを少し両手で持って中の空気を暖めます。
炭酸キーパーのキャップをいっきに外すと「ポン!」という音とともにペットボトル内に白いもやもやの雲ができます!
しばらくすると雲は消えてしまいますが、同じペットボトルで何度も作ることができます。雲が出来にくくなった時は、アルコールスプレーをもう一度吹き掛けてみてくださいね。
雲は白いので、白い壁の前ではなく黒いものの前で実験すると、よく見えますよ。
なぜペットボトルに雲ができるの?
たくさん空気を入れていたペットボトルのキャップを外したことによって、いっきに空気が外へ出ていくので、ペットボトルの中の空気が膨張して気圧が低くなります。気圧が下がると温度が下がり、ます。気圧が高く暖かい地上から、気圧が低く冷たい上空へ上がった時と同じような状況になり、雲ができたというわけです。
今回の実験では水よりも気体になる温度が低いアルコールを使い、白いもやもやを見えやすくしました。ペットボトルのなかにできたのは水の粒の雲ではなく「アルコールの雲」ですが、原理は雲が出来るのと同じです。
自由研究ポイント1「空気の温度変化」
ペットボトルの中に温度計を入れてみましょう。はじめにペットボトルの中の気温を計ります。その後、炭酸キーパーで空気を入れていくと、空気が圧縮されて温度が少し上がるはずです。キャップを外すと中の気温は下がるか、測ってみましょう。
空気は圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がるという性質があるので、これを利用して雲ができるのです。
この空気の性質を利用した「ヒートポンプ」という技術は、エアコンや乾燥機などにも使われているんですよ。
自由研究ポイント2「実際の雲はどのような時にできるの?」
空気が上空に持ち上がった時に気圧が下がり空気が膨張することで気温も下がり、雲ができます。ではどのようなときに「空気が上空に持ち上がる」のでしょうか。毎日の空を観察し、天気図を見たり天気予報を聞いて考えてみましょう。
低気圧や前線が近づいた時や、山の上など、雲ができやすいところがあります。低気圧は「上昇気流」といって空気が地上から上空へ動いています。また山があると空気は山を登るように上空に移動します。どのような時に雲ができやすいのか調べてみてください。
気象予報士の資格を持つ筆者は、子供向けのお天気講座を開催することがあるのですが、雲を作る実験は幼児から小学生、保護者まで盛り上がります。おとながいれば小さなお子さんでも楽しむことができます。夏休みの研究はもちろん、おうちでの遊びにぜひ取り入れてみてください!
文・構成/酒井千佳
京都大学 工学部建築学科卒業。
北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。
NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務める。
現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育に携わっている。
あなたにはこの記事もおすすめ
夏休みの自由研究
↓↓テーマ探しなら…ここをクリック↓↓