浅草「三社祭」とは?2024年の日程や見どころ・楽しみ方を紹介

浅草の三社祭は、期間中に約180万人もの観光客が訪れる大イベントです。見物するなら、あらかじめ詳しい開催日程や見どころをしっかりとチェックしておきましょう。三社祭の歴史や、日程別の楽しみ方もあわせて紹介します。

三社祭ってどんな祭り? 日程・歴史も紹介

三社祭(さんじゃまつり)とは、どのようなお祭りなのでしょうか。開催地や日程・歴史など、お祭りの概要を見ていきましょう。

浅草神社で催される初夏のお祭り

三社祭とは、浅草神社の例祭のことです。例年、5月の第3土曜日を挟む金・土・日曜日の3日間にわたって開催されます。

浅草神社は、浅草寺創建にかかわった檜前浜成・竹成(ひのくまのはまなり・たけなり)兄弟と、土師中知(はじのなかとも)の3人を祭る神社です。

創建当時は「三社権現社」と呼ばれていましたが、1868(明治元)年に「三社明神社」と改められた後、1873(明治6)年に「浅草神社」となりました。

浅草神社は浅草寺本堂の向かって右側に建っており、地元の人々からは今も「三社様」と呼ばれ、親しまれています。

浅草神社(東京都台東区)。社殿は本殿・幣殿・拝殿からなる権現造り。
浅草神社(東京都台東区)。社殿は本殿・幣殿・拝殿からなる権現造り。

2024年の開催は5月の3日間

2024年の三社祭の開催日は、5月17日(金)~19日(日)の3日間です。開催日前日の夜には、神輿(みこし)への霊入れの儀式があります。

大まかなスケジュールは以下の通りです。

●16日(木):本社神輿神霊入れの儀(ほんしゃみこしみたまいれのぎ
●17日(金):大行列・びんざさら舞奉納・各町神輿神霊入れの儀(かくちょうみこしみたまいれのぎ
●18日(土):例大祭式典・町内神輿連合渡御(ちょうないみこしれんごうとぎょ)・巫女舞奉奏
●19日(日):宮出し・本社神輿各町渡御(ほんしゃみこしかくちょうとぎょ)・巫女舞奉奏・奉納舞踊・太鼓奉演・宮入り・本社神輿御霊返しの儀(ほんしゃみこしみたまがえしのぎ

三社祭の日程 | 浅草神社 三社様

交通規制される雷門通り
交通規制される雷門通り。奥に見えるのは東京スカイツリー。

知っておきたい歴史・由来

三社祭の起源は、1312(正和元)年に始まった「船祭」です。もともとは浅草寺と合同で、3月に実施していました。

浅草寺の歴史は古く、推古天皇の時代までさかのぼります。628(推古天皇36)年3月、隅田川下流で漁をしていた檜前兄弟の網に、仏像がかかります。兄弟は仏像を持ち帰り、物知りの土師中知に見せました。中知は仏像が尊い聖観世音菩薩像と知り、自宅に寺(浅草寺)を建てて祀ります。

浅草寺創建からしばらくすると、中知の子孫の夢に聖観世音菩薩が現れ、本堂の隣に社を建てて檜前兄弟と中知を祀るように告げます。このように浅草寺と浅草神社には深いつながりがあり、お祭りも一緒に開催していたのです。

船祭は江戸時代まで続きますが、明治政府の神仏分離令によって1872(明治5)年から浅草神社の例祭となり、開催日も5月に変わりました。

浅草のシンボル雷門(風雷神門)。浅草神社とゆかりのある浅草寺の総門にあたる。
浅草のシンボル雷門(風雷神門)。浅草神社とゆかりのある浅草寺の総門にあたる。

三社祭の主役「神輿」について

三社祭といえば、大きな神輿を氏子たちが担ぐ姿が印象的です。お祭りの主役を務める神輿の種類と特徴を紹介します。

現在は3基の神輿がある

神輿とは、祭礼のときに神様が乗る輿のことです。3柱の神様が祀られる浅草神社にも、一之宮・二之宮・三之宮という3基の神輿があります。一之宮は浅草寺を建てた土師真中、二之宮と三之宮は観音像を海から救った檜前兄弟の神輿です。

かつて浅草神社には、江戸幕府3代将軍・徳川家光が寄進した3基と、その保存のために新調した3基、さらに氏子が寄贈した四之宮と呼ばれる神輿の計7基がありました。

しかし、第2次世界大戦の空襲による火災で、すべて焼失してしまいます。現在の3基は、戦後に氏子が奉納したものです。なお、三社祭では氏子町会が所有する「町内神輿」の行列も有名で、子どもが担ぐ小さな神輿も混じり、かわいらしい姿を見せてくれます。

上画像のように、一之宮は神輿の天辺にある飾りが「鳳凰」。二之宮・三之宮だと飾りが橋の欄干などに使われる「擬宝珠」になる。
上画像のように、一之宮は神輿の天辺にある飾りが「鳳凰」。二之宮・三之宮だと飾りが橋の欄干などに使われる「擬宝珠」になる。

氏子たちがかわるがわる担ぐ

三社様の神輿渡御は、三社祭最終日のメインイベントです。1基1tの重さがある神輿を、70人以上の若い氏子たちが担いで街中を練り歩きます。大勢の若者が神輿を大きく揺らしながら進む様子に、盛り上がりも最高潮に達します。

担ぎ手が神輿を上下左右に揺さぶるのは「魂振り(たまふり)」と呼ばれる行為です。魂振りによって神様の霊威が増し、豊作・豊漁・疫病退散といったご利益があると信じられています。担ぎ手たちが見せる激しい魂振りも、神輿渡御の見せ場の一つといえるでしょう。

【日程別】三社祭の見どころ・楽しみ方

三社祭では、3日にわたってさまざまな儀式が行われます。日程別に、見どころと楽しみ方をチェックしましょう。

1日目は大行列とびんざさら舞に注目

1日目の注目イベントは「大行列」と「びんざさら舞」です。大行列では、お囃子屋台や鳶頭木遣り(かしらきやり)・びんざさら舞・手古舞(てこまい)などが、行列となって浅草の街を練り歩きます。お祭りのスタートを告げる賑やかなイベントですが、雨天の場合は中止となるため注意しましょう。

行列が浅草神社に到着した後は、社殿と神楽殿で「神事びんざさら舞」の奉納があります。「びんざさら舞」とは田楽(でんがく)と呼ばれる伝統芸能の一種で、無形文化財に指定されています。

なお、「びんざさら」とは踊り手が持つ民族楽器のことです。薄い木の板を100枚前後重ねたものを紐で束ねてあり、両手で持って開閉しながら音を鳴らします。

15時半からは社殿にて「各町神輿神霊入れの儀」が行われ、1日目は終了です。

2日目は町内神輿連合渡御の熱気を楽しむ

2日目は正午から「町内神輿連合渡御」の出発を見学できます。約100基の町内神輿は、まず浅草寺本堂裏の広場に集合し、1基ずつ浅草神社本殿でお祓いを受けてから出発します。

神輿は神社を出た後各町会へと帰っていくため、すべての町内神輿を見られる機会はこのときしかありません。スタート直後は担ぎ手たちの「魂振り」にも気合が入っており、迫力ある様子を楽しめるでしょう。

16時からは神楽殿にて、巫女舞の奉奏があります。

氏子たちが掛け声とともに神輿を激しく揺さぶる「魂振り」。

3日目は神輿以外に奉納奏・演舞も

3日目は宮出し終了後から、三社様の神輿が各町へ渡御する「本社神輿各町渡御」が始まります。

雷門通り・馬道通りの「おまつり広場」には、町内神輿もいくつか登場します。なお、神輿の周囲は混雑が激しく、身動きが取りにくくなることが予想されます。鳥居近くや門の内側にいると、神輿が近付いたときに逃げ場がなくなり大変危険です。

また、担ぎ手の多くは裸足ですので、革靴やハイヒールを履いている人は神輿に近付かないようにしましょう。高い場所から見学するのも、神様を見下げることになるためNGです。

もちろん、むやみに神輿に触ったり、上に乗ったりしてもいけません。マナーを守り、安全に配慮して見学しましょう。午後は浅草神社や浅草寺の境内にて、巫女舞や舞踊、太鼓奉演などが催されます。

雷門付近は混雑するので注意。
雷門付近は混雑するので注意。

大行列から神輿渡御まで見逃さずに

三社祭の期間中、浅草の町は1年でもっとも熱気に包まれるといわれています。大行列から神輿渡御、伝統芸能の奉納など見どころも多く、どの日に行ってもお祭り気分を楽しめるでしょう。

三社祭の最新情報は、浅草神社の公式サイトに掲載されています。日程や時間などが変更される可能性もあるため、出かける前にチェックしておくとよいでしょう。

三社祭 | 浅草神社 三社様

※2024年4月時点の情報です

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構成・文/HugKum編集部

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