三社祭ってどんな祭り? 日程・歴史も紹介
三社祭(さんじゃまつり)とは、どのようなお祭りなのでしょうか。開催地や日程・歴史など、お祭りの概要を見ていきましょう。
浅草神社で催される初夏のお祭り
三社祭とは、浅草神社の例祭のことです。例年、5月の第3土曜日を挟む金・土・日曜日の3日間にわたって開催されます。
浅草神社は、浅草寺創建にかかわった檜前浜成・竹成(ひのくまのはまなり・たけなり)兄弟と、土師中知(はじのなかとも)の3人を祭る神社です。
創建当時は「三社権現社」と呼ばれていましたが、1868(明治元)年に「三社明神社」と改められた後、1873(明治6)年に「浅草神社」となりました。
浅草神社は浅草寺本堂の向かって右側に建っており、地元の人々からは今も「三社様」と呼ばれ、親しまれています。
2024年の開催は5月の3日間
2024年の三社祭の開催日は、5月17日(金)~19日(日)の3日間です。開催日前日の夜には、神輿(みこし)への霊入れの儀式があります。
大まかなスケジュールは以下の通りです。
●16日(木):本社神輿神霊入れの儀(ほんしゃみこしみたまいれのぎ)
●17日(金):大行列・びんざさら舞奉納・各町神輿神霊入れの儀(かくちょうみこしみたまいれのぎ)
●18日(土):例大祭式典・町内神輿連合渡御(ちょうないみこしれんごうとぎょ)・巫女舞奉奏
●19日(日):宮出し・本社神輿各町渡御(ほんしゃみこしかくちょうとぎょ)・巫女舞奉奏・奉納舞踊・太鼓奉演・宮入り・本社神輿御霊返しの儀(ほんしゃみこしみたまがえしのぎ)
知っておきたい歴史・由来
三社祭の起源は、1312(正和元)年に始まった「船祭」です。もともとは浅草寺と合同で、3月に実施していました。
浅草寺の歴史は古く、推古天皇の時代までさかのぼります。628(推古天皇36)年3月、隅田川下流で漁をしていた檜前兄弟の網に、仏像がかかります。兄弟は仏像を持ち帰り、物知りの土師中知に見せました。中知は仏像が尊い聖観世音菩薩像と知り、自宅に寺(浅草寺)を建てて祀ります。
浅草寺創建からしばらくすると、中知の子孫の夢に聖観世音菩薩が現れ、本堂の隣に社を建てて檜前兄弟と中知を祀るように告げます。このように浅草寺と浅草神社には深いつながりがあり、お祭りも一緒に開催していたのです。
船祭は江戸時代まで続きますが、明治政府の神仏分離令によって1872(明治5)年から浅草神社の例祭となり、開催日も5月に変わりました。
三社祭の主役「神輿」について
三社祭といえば、大きな神輿を氏子たちが担ぐ姿が印象的です。お祭りの主役を務める神輿の種類と特徴を紹介します。
現在は3基の神輿がある
神輿とは、祭礼のときに神様が乗る輿のことです。3柱の神様が祀られる浅草神社にも、一之宮・二之宮・三之宮という3基の神輿があります。一之宮は浅草寺を建てた土師真中、二之宮と三之宮は観音像を海から救った檜前兄弟の神輿です。
かつて浅草神社には、江戸幕府3代将軍・徳川家光が寄進した3基と、その保存のために新調した3基、さらに氏子が寄贈した四之宮と呼ばれる神輿の計7基がありました。
しかし、第2次世界大戦の空襲による火災で、すべて焼失してしまいます。現在の3基は、戦後に氏子が奉納したものです。なお、三社祭では氏子町会が所有する「町内神輿」の行列も有名で、子どもが担ぐ小さな神輿も混じり、かわいらしい姿を見せてくれます。
氏子たちがかわるがわる担ぐ
三社様の神輿渡御は、三社祭最終日のメインイベントです。1基1tの重さがある神輿を、70人以上の若い氏子たちが担いで街中を練り歩きます。大勢の若者が神輿を大きく揺らしながら進む様子に、盛り上がりも最高潮に達します。
担ぎ手が神輿を上下左右に揺さぶるのは「魂振り(たまふり)」と呼ばれる行為です。魂振りによって神様の霊威が増し、豊作・豊漁・疫病退散といったご利益があると信じられています。担ぎ手たちが見せる激しい魂振りも、神輿渡御の見せ場の一つといえるでしょう。
【日程別】三社祭の見どころ・楽しみ方
三社祭では、3日にわたってさまざまな儀式が行われます。日程別に、見どころと楽しみ方をチェックしましょう。
1日目は大行列とびんざさら舞に注目
1日目の注目イベントは「大行列」と「びんざさら舞」です。大行列では、お囃子屋台や鳶頭木遣り(かしらきやり)・びんざさら舞・手古舞(てこまい)などが、行列となって浅草の街を練り歩きます。お祭りのスタートを告げる賑やかなイベントですが、雨天の場合は中止となるため注意しましょう。
行列が浅草神社に到着した後は、社殿と神楽殿で「神事びんざさら舞」の奉納があります。「びんざさら舞」とは田楽(でんがく)と呼ばれる伝統芸能の一種で、無形文化財に指定されています。
なお、「びんざさら」とは踊り手が持つ民族楽器のことです。薄い木の板を100枚前後重ねたものを紐で束ねてあり、両手で持って開閉しながら音を鳴らします。
15時半からは社殿にて「各町神輿神霊入れの儀」が行われ、1日目は終了です。
2日目は町内神輿連合渡御の熱気を楽しむ
2日目は正午から「町内神輿連合渡御」の出発を見学できます。約100基の町内神輿は、まず浅草寺本堂裏の広場に集合し、1基ずつ浅草神社本殿でお祓いを受けてから出発します。
神輿は神社を出た後各町会へと帰っていくため、すべての町内神輿を見られる機会はこのときしかありません。スタート直後は担ぎ手たちの「魂振り」にも気合が入っており、迫力ある様子を楽しめるでしょう。
16時からは神楽殿にて、巫女舞の奉奏があります。
3日目は神輿以外に奉納奏・演舞も
3日目は宮出し終了後から、三社様の神輿が各町へ渡御する「本社神輿各町渡御」が始まります。
雷門通り・馬道通りの「おまつり広場」には、町内神輿もいくつか登場します。なお、神輿の周囲は混雑が激しく、身動きが取りにくくなることが予想されます。鳥居近くや門の内側にいると、神輿が近付いたときに逃げ場がなくなり大変危険です。
また、担ぎ手の多くは裸足ですので、革靴やハイヒールを履いている人は神輿に近付かないようにしましょう。高い場所から見学するのも、神様を見下げることになるためNGです。
もちろん、むやみに神輿に触ったり、上に乗ったりしてもいけません。マナーを守り、安全に配慮して見学しましょう。午後は浅草神社や浅草寺の境内にて、巫女舞や舞踊、太鼓奉演などが催されます。
大行列から神輿渡御まで見逃さずに
三社祭の期間中、浅草の町は1年でもっとも熱気に包まれるといわれています。大行列から神輿渡御、伝統芸能の奉納など見どころも多く、どの日に行ってもお祭り気分を楽しめるでしょう。
三社祭の最新情報は、浅草神社の公式サイトに掲載されています。日程や時間などが変更される可能性もあるため、出かける前にチェックしておくとよいでしょう。
※2024年4月時点の情報です
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構成・文/HugKum編集部