目次
万博の醍醐味が凝縮! コモンズ(共同館)ってどんなところ?

万博の華と言われる海外パビリオン。独自のパビリオンが注目される大型のタイプAも迫力がありオススメですが、万博の醍醐味を感じられるのは、80カ国が共同で出展する「コモンズ(共同館)」です。
タイプAに比べると規模こそ小さいですが、一挙にさまざまな国のパビリオンを訪れることができます。各国の楽器や民族衣装の体験、市場での買い物などができます。スリランカでは紅茶、エチオピアではコーヒー、スロバキアにはワインバーもあり、コモンズだけでも一日中楽しむことができます。
何もない展示が話題に?! ゆる〜いコモンズ。コツを掴めば楽しい!

ただし、開発途上国の支援ということもあり、各国の力量に差があり、展示が未熟だったりすることも…。よくわからず素通りしてしまうと、あっという間に出口、ということにもなります。
何もない展示でSNSでバズり、フォロワー数が自国の人口よりも多いナウル共和国という国もありました。
でも! カタコトの英語でもいいので、話しかけてみたり、積極的に攻めていったりすれば、コモンズほど楽しいパビリオンはありません。楽しみ方のツボを掴めば、コモンズの魅力にハマること間違いなしです。
世界の抱える問題に向き合う展示も
一方で、環境問題や紛争など、世界の抱える問題に触れることができ、とても考えさせられる展示もあります。紛争に苦しむウクライナ、パレスチナ、賛否両論のイスラエル館などにはぜひ立ち寄って、お子さんと一緒に考えてみるのはどうでしょうか。
今回は、コモンズA、B、C、D館を回ってきたので、見所を一挙にご紹介します!
市場でのお買い物体験や、古代アラビア文字のキーホルダーが作れるイエメン館

イエメンは内戦が続き、日本からの渡航は禁止となっています。行くことの難しい国の人々や文化に触れることができるのも、万博の醍醐味です。
「コモンズA」にあるイエメン館では、市場(シーク)が出店。現地の露天商を招いたということで、交渉制の本場の市場でのお買い物が体験できます。
古代アラビア文字のキーホルダーが作れる!

シークの隣では、古代アラビア文字に変換してキーホルダーを作ってくれるブースもありますので、興味のある方はのぞいてくださいね。
幻の白い蜂蜜を試食できるキルギス館

テレビにも出演した雪豹の「ココロ」ちゃんが「コモンズA」にあるキルギス館でお出迎え。キルギス語と日本語のココロは発音が似ているそうで、「ココロ」と名付けられたそうです。
遊牧民の生活が体験できるキルギス館

中央アジアのキルギスの文化を感じる内装の館内。靴を脱いで寛ぐことができ、遊牧民の生活が体験できます。
幻の白い蜂蜜を試食できる!

目玉は、キルギスの白い蜂蜜です! 幻の商品とも言われ、お値段は6800円!
残念ながら、ネット販売のみで、その場では買うことができませんが、試食をさせてもらうことはできました。ミルクのような独特の白さを持ち、清らかでクリーミーな風味で、至極の一品でした。後日、ネットで購入してしまったほどです。
気になる方は、キルギス館に立ち寄ってみてくださいね。
ブルンジ共和国のカヌレパフェが大人気!

大人気につき行列覚悟なのですが、「コモンズA」に来たら外せないのがブルンジ共和国のカヌレパフェです。百花蜜がけのソフトクリームの上にカヌレが乗っていて、見た目にはボリューミーなのですが、おからと米粉がメインのヘルシースイーツです。
コーヒーの飲み比べも楽しい!
ブルンジ共和国ではコーヒーの味も絶品ですので、一緒にオーダーしてみてくださいね。アフリカのその他の国でもコーヒーが飲めるので、飲み比べも楽しいですよ。
癒しの効果もあるかも?! パキスタンの岩塩の部屋

続きまして、床や柱など全て岩塩でできた、「コモンズD」にあるパキスタン館のブースを紹介! パキスタンのパンジャブ州にある世界最大級の鉱山の岩塩約12トンが用いられているとのこと。「一粒の塩の中に広がる宇宙(Universe in a Grain of Salt)」をテーマにパキスタンのピンクロックソルトを通じて、その独自の魅力を体験できます。
ヒーリングの体験
パキスタンでは、塩分を含んだ空気を吸うことで、病気の治療などに効果があると言われています。館内では50分に1回その空気を噴射しており、岩塩の椅子に座って、蒸気に含まれるミネラルを吸引しながら、心と体を整える体験をすることができます。
インタラクティブ・タッチスクリーン
岩塩の癒し効果だけではありません。デジタルスクリーンを通じて、塩の特性や歴史的意義について学ぶことができ、知的で魅力的な体験もできます。
栄光の歴史をもつモンゴル館

「コモンズD」にあるモンゴル館では、モンゴル貴族の衣装や甲冑など迫力の展示を楽しむことができます。美しい装飾品なども並び、見応えがあります。
モンゴルの貴重な文字に関する資料

モンゴル系諸語の文字の展示もありました。伝統的なモンゴル文字は縦書きで、左から右読みということを、筆者は初めて知りました。もともとは文字を持たないモンゴル語でしたが、チンギスハーンがウイグル語をもとにモンゴル語を制定。その後、ソ連の影響下でモンゴル文字が廃止され、ギリシャ文字を基礎としたキリル文字を使用するようになったそう。
さまざまな民族の影響を受けて成立してきたモンゴル文字を見て、かつての大国の栄光と悠久の歴史を実感。たいへん学びの多い展示でした。
スロベニア館ではサイクリング体験ができる

「コモンズ D」にあるスロベニア館では、スロベニアの美しい風景を見ながらサイクリングができるVR体験のコーナーがあります。館内の壁に映し出された映像が、とても美しいです。
アルプスからアドリア海、世界遺産の石灰岩のカルストなど、スロベニアはとても多様な景観を持つ国ということを知り、いつか行ってみたいと思いました。
パレスチナの遅れた展示品も無事到着

「コモンズ D」にはパレスチナといった紛争地域の国も出展しています。紛争については一切触れることなく、モスクをイメージした会場は、パレスチナの文化や工芸品の展示となっています。
輸送の関係で遅れていた工芸品も無事に到着。自然や文化、素晴らしい工芸品がある国だということを実感できました。
イスラエル館では「嘆きの壁」にメッセージを送れます

「コモンズ C」にあるイスラエル館のパビリオンのテーマは「Forever(永遠に)」。メインの展示は、約2000年前の古代の建築物の一部とされる重さ1.5トンほどの石です。
最新の医療技術やテクノロジーなどが紹介され、古代遺産と先駆的な技術革新が融合したユニークな展示となっています。
「嘆きの壁」にメッセージを送れるコンテンツも
会場内にあるタッチパッドに願いごとを登録すると、後日、印刷されたメモとなって、実際に「嘆きの壁」の石の間に挟み込まれる参加型コンテンツも。インタラクティブにエルサレムと結ばれていました。
パビリオン内に浮かぶ平和を訴えるメッセージにはさまざまな思いを感じる方も多いかもしれませんが、世界情勢について、子どもと一緒に考える良い機会になるでしょう。
戦時下のウクライナ館は「NOT FOR SALE」をテーマに

同じく「コモンズ C」にはウクライナ館もあります。
ウクライナの国旗の青と黄色で統一されたデザインで「NOT FOR SALE」と書かれた文字が目をひきます。ウクライナのレアアース等の鉱物資源、「自由」「尊厳」などの価値観を「売らない」という強いメッセージが込められています。
スマートフォンをコードにかざすとでそれぞれの展示のメッセージを読み取ることができます。地下鉄の中のシェルターで子どもたちが授業を受けている様子などが見ることができ、子を持つ親としては本当に胸が締め付けられる思いがします。紛争地で暮らすウクライナの人々のメッセージに、ぜひ耳を傾けてみてください。
万博の意義を深く考えさせられる展示でした。
初めて耳にする国もたくさん!

ちなみに、個人的に初めて耳にした国の名前は、カーボベルデ共和国、ナウル共和国、レソト王国、ガボン共和国、アンティグア・バーブーダ、サントメ・プリンシペ民主共和国、コモロ連合、セントルシア、トリニダード・トバゴ共和国、ブルンジ共和国、マラウイ共和国などがありました。
前知識なくサプライズも楽しいですが、事前にその国のことを調べておくと、より楽しめると思います。自由研究も兼ねてお子さんとチェックして、帰ってからまとめるなどもオススメです。
万博がなければ、出会うことのなかった国の人々との交流もとても刺激的でした。ぜひ、コモンズに立ち寄ってみてくださいね。
「日本館」「大阪ヘルスケアパビリオン」の体験レポートはこちら!
立体の「iPS心臓」や「ガンダム」などの話題の民間パビリオンはこちら!
シンガポール、オーストラリア、サウジアラビアなどの気になる海外パビリオンはこちら!
写真・取材/Rina Ota