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「万博の華」の海外パビリオン! どのパビリオンに行ったらいい?

大阪・関西万博の目玉のひとつで、「万博の華」といわれる海外パビリオン。楽しみにしている方も多いと思います。ただ、海外パビリオンこそ、個人の好みで行きたい場所が分かれるので、どこに行くか決めるのが難しいですよね。今回の取材でも、1日では回りきれず行き先を絞り込むのに苦労しました。
パビリオン選びのポイントをいくつかご紹介します。
パビリオン・タイプAに注目!
パビリオンにはA・B・C・Xの4種類のタイプがあります。従来のパビリオンは、あらかじめ用意された建物に装飾を施すスタイルが一般的でしたが、今回の万博では、各国が建物の設計から携わるタイプAが登場。特に注目したいパビリオンなので、ひとつは候補に入れることをオススメします。
タイプAのパビリオンは予約が必要なところもあるので、事前チェックを忘れないでくださいね。
レストランやカフェがあるところもオススメ
北欧館、イタリア、ドイツ、クウェート、ハンガリー、スイスなどのパビリオンには食事ができるところもあり、グルメな方はレストランがあるパビリオンを優先して選ぶのがよいでしょう。スイスのハイジカフェなども注目度が高いですし、タイなどは1万種類の健康食に基づいたメニューがあるそう! 次回、機会があれば行きたいと思っています。
ほぼ世界一周ができる! 万博マニアライターのオススメコース
オーストラリア→シンガポール→サウジアラビア
+タイプA・予約制のヨーロッパやアメリカなどお好みの国
この3カ国のパビリオンは、どれも近く回りやすいです。中東、東南アジア、オセアニアと異なる地域が一挙に体験でき、さらに、どれも自由入館、もしくは先着順のため当日入れる可能性があります。レストランやカフェも併設されているので、グルメ巡りも可能。より、海外旅行気分を味わえます。
これに加えて、予約のできるタイプAのアメリカや、ドイツなどヨーロッパの国を追加すれば、ほぼ世界一周ができますよ。
テーマを絞れば、夏休みの自由研究にもなる
その他、今まで行ったことのある国に行く、逆にない国に行く、ヨーロッパだけに行く、大陸を1ヶ所ずつまわって5大陸を制覇してみる、子どもが社会科で習った興味のある国に行くなど、テーマを考えるだけでも楽しいですね。行く前の下調べだけでも、多くの学びがあるかと思います。夏休みの自由研究もできそうです。
室内で大自然を感じることができるオーストラリア館

まずは、筆者の子どもたちが楽しみにしていたオーストラリア館からご紹介します。外観は、オーストラリアを代表するユーカリの花をイメージ。色や形がさまざまなユーカリの木は、ダイナミックで豊かな多様性を持つオーストラリアの人びとを象徴しているそうです。

オーストラリアのテーマは「Chasing the Sun ― 太陽の大地へ」。パビリオンでは、太陽を追ってオーストラリアを横断する没入型のアドベンチャーを楽しめます。
没入感がすごい!「ユーカリの森」

一歩パビリオンに足を踏み入れると、オーストラリアのユーカリの森が広がります。動物の声が聞こえたりと、没入感がすばらしい。それほど大きくはない建物の中なのですが、広大な森を歩いているかのように感じます。木々の間には映像の動物が隠れているので、子どもたちと見つけるのも楽しいです。
大迫力! 大自然の映像の「海の世界」

映像のインスタレーションの迫力にも圧倒です。広大な夜空を見上げ、海の世界を探索、そして先住民の人びとの何万年にもわたる「カントリー(大地)」とのつながりを感じることができました。古代の知恵が、未来社会を築いていく上で大切であることを実感するストーリーです。
クロコダイルのお肉も食べられる?! 野外ではカフェも併設

パビリオンの外には、「CAFE KOKO」があり、カフェスタイルなので、気軽に立ち寄ることができます。「オーストラリア産ラム肉スペアリブ」、「オージーミートパイ」、そしてワニ肉の「クロコダイルロール」まで! 「クロコダイルロール」は、食べたことのある人に聞いたところ、鶏のササミのような味だそう。「フライドポテト」がある点が、小さい子ども連れにはうれしい。
どれくらいでまわれる?
公式の所要時間は15分です。立ち止まらずに歩けば5分ほどで終わってしまうのですが、没入感が素晴らしく、いつまでもいたくなるパビリオンです。カフェと合わせると1時間以上は楽しめますので、余裕を持って来館すると、よりオーストラリアの旅行気分を味わうことができます。
>>>オーストラリア館についてはこちらから
赤い球体が目印! 夢を現実に! シンガポール館

次は、オーストラリア館の隣にあるシンガポール館に。真っ赤な球体の「ドリーム・スフィア」が目をひくパビリオンです。
シンガポールの愛称の「リトル・レッド・ドット(赤い点)」にちなんだ赤い球体の「ドリーム・スフィア」は、約17,000枚のリサイクル・アルミニウム・ディスクでできています。重なり合うデザインは、日本の伝統模様である青海波(せいがいは)からインスピレーションを得ているそうです。
シンガポールが語りかけてくる、夢を持つことの大切さ

筆者はシンガポールに在住経験があり、今回とても楽しみにしていたパビリオンの一つでした。
東京23区内と同じ面積の小さな島国で、高層ビルが立ち並ぶ超近代国家でありながら、少し街を外れると緑が生い茂るジャングルになる、とても魅力的な国です。自然とうまく調和している街づくりを実現していると感じていました。
パビリオンの展示は「ゆめ・つなぐ・みらい」がテーマ。3つの章で構成され、来場者はシンガポールが実現したその「夢の物語」をたどる構成となっています。
見応えのある美しい紙アート
第1章では、アーティストのメリッサ・タン氏とアシュリー・ヨー氏による紙の彫刻が現代アートと融合し、シンガポールの成り立ちが紹介されています。
小さな島国であるシンガポールが、どうやって、木々が生い茂るジャングルの中に繁栄する国を築き、可能性に満ちた新しい都市を作り上げてきたのかを学ぶことができます。都市計画という一般的には少し難しいテーマも、美しいアートと一緒に表現されることでわかりやすくなり、親子で楽しめる展示でした。
自分の描いた夢がふんわりと飛び、届く「ドリーム・リポジトリ」

第2章では、画面に自分の好きな絵や言葉を描き、球体の光を送り出すことのできる「ドリーム・ディスク」を体験できます。
自分の願いを込めた光に満ちた球体が舞い上がっていく様子を見ていると、本当に願いが叶うかもしれないと希望をもてる美しさ。

第3章の2階に進むと「ドリーム・リポジトリ(夢の集まる場所)」と呼ばれる空間が。1階で描いたメッセージがこちらに届くような仕掛けになっています。天井に美しい映像が広がり、不思議な空間を楽しむことができます。
夢を実現したシンガポールだからこそ伝えられるメッセージ
今回の展示で、「夢を現実にする」というメッセージがとても心に響きました。小さな島国があれほどの近代国家になったのは、夢を見続け、行動し、実現させた人たちがいるからこそ。そんなシンガポールからのメッセージにとても励まされました。でも、無理にがんばろうというのではなく、美しいアートを通して、そっと後押ししてくれる優しさも感じました。
これからの未来を担う子どもたちには、明るい未来になる夢を抱くことができ、大人達は忘れかけた夢を思い出すことができるかもしれません。家族で夢について対話できるきっかけになると思いますので、ぜひ、親子で訪れてみてくださいね。
「Shiok(シオック)カフェ」でシンガポールのローカルフードを味わう!

1階の「Shiok(シオック)カフェ」では、チキンライスやエビ麺、ロティ・プラタなどシンガポールを代表するローカルフードを楽しむことができます。「Shiok」は日本語の「うまい!」にあたりますが、本当においしいものを食べたときだけに使う言葉だそうです。

チキンライスとロティ・プラタを試食しました。
チキンライスは、香り高いライスに、柔らかく茹でたチキンときゅうりのスライスが添えられます。チリソースやピリッとしたショウガとニンニクのペーストなど、風味豊かなソースを合わせて食べると、シンプルながら芳醇な味わいが口の中で広がります。辛さはソースで調整できるのでお子さんにも食べやすいですよ。
ロティ・プラタはパンのようなパイのような食感で、サクサクでいくらでも食べられるおいしさでした。
シンガポールのお土産はドリームブティックで

シンガポール館にはショップの「ドリームブティック」も併設。シンガポールの公式マスコットのマーライオンのメルリのグッズから、ラッフルズホテルなどシンガポール・ブランドの商品まで、普段はシンガポールでしか買えないお土産が揃います。シンガポール土産の定番・ロール型のスナックBee Cheng Hiang (ビーチェンヒャン) も買えますよ。
かわいいマーライオンのメルリと会える!
砂漠の街を再現したサウジアラビア

エキゾチックなイメージでいつか行きたいと憧れのサウジアラビア。一方で、漠然としたイメージはあるものの、よく知らないという方も多いのではないでしょうか? どんなパビリオンなのか、筆者も特にワクワクしながら向かいました。
外観からのイメージ通りの世界が広がるサウジアラビア館

サウジアラビア館は、イメージ通りの砂漠の街。一歩踏み入れると中東の世界が広がり、異国の世界の雰囲気に気分が上がります。
前庭のデザインは、サウジアラビアの美しい自然景観からインスピレーションを得ているそうです。豊かで鮮やかな色彩が特徴で、柑橘農園の魅力、壮大な山々、段々畑の風景など、多彩なサウジの風景を表現しています。
次回の2030年の万博主催国だけあって、気合が入った巨大なパビリオンは見ものです。
砂漠の地に適した環境に優しい建造物

パビリオン会場全体の設計には、持続可能性を組み込んでおり、土砂などの再生可能な素材や、軽量断熱材、簡単に解体・再利用できる構造など、革新的な手法を採用することで、環境への負荷を軽減しています。雨水の貯水、エネルギーオフセット戦略、標準化された鉄骨構造、浅い基礎などにより、コストと炭素資源を節約しながら、運営エネルギー消費量の72%削減を目指しているとのことです。
ライブパフォーマンス披露

サウジアラビアの歴史や発展を学べるギャラリー

来場者が時を超えて、古代から現在、そして未来へと続くサウジアラビアの都市デザインと発展の歴史を体験できる空間になっています。サウジアラビアの近代的な側面を学ぶことができます。
「audi Cafe」で異国気分を満喫!

サウジアラビアパビリオン内のレストランでは、スパイスの効いた風味豊かな小皿料理を楽しむことができます。サウジアラビアの雰囲気を満喫したい方はぜひ、立ち寄ってください。

時間を変えて一日楽しめるサウジアラビア館

また、6 月には「サウジアラビアと日本の国交樹立 70 周年」や9月23日の「サウジアラビア建国記念日」など、イベントも予定されているのでサイトのスケジュールをチェックしてみてくださいね。
徒歩でできる世界一周旅行!

海外パビリオン特集はいかがでしたか? 今回、ご紹介したパビリオンは全て、展示だけではなく、レストランやカフェ、ショップまで併設しているのでとても便利。飛行機に乗らなくても、歩いて回るだけで海外旅行気分が味わえ、究極のコスパ旅が体験できます。
予約制と自由入館のパビリオンをうまく組み合わせて
海外パビリオンは予約制のパビリオンもありますが、予約制でも先着順で入場や当日登録できたり、基本的に自由入館のものが多いです。予約制のパビリオンと自由入館のパビリオンを組み合わせて、上手に計画してみてください。
家族で、どのパビリオンに行きたいかを考えるのも楽しい時間になると思います。行ったことのある国であれば、懐かしく思うでしょうし、行ったことがない国であれば、今後の旅のイメージにもなります。ぜひ、大阪万博に来て、海外パビリオンを楽しんでくださいね!
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写真・取材/Rina Ota