「小学生でピル⁉」とびっくりしてしまう方もいるかもしれませんが、実は飲んでもOK! 産婦人科医の宋美玄先生に実際に飲む時に気をつけたほうがいいことや、どんな時に飲むのかなど、詳しくお答えいただきました。
お話をうかがったのは
宋美玄(ソン・ミヒョン)先生
産婦人科医 医学博士、丸の内の森レディーズクリニック院長
1976年兵庫県神戸市生まれ、大阪大学医学部医学科卒。10年に出版した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集め、以後妊娠出産に関わる多くの著書を出版。“カリスマ産婦人科医”としてメディア出演、医療監修等、女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスや女性の性など積極的な啓蒙活動を行っている。2児の母。
初潮が来たらピルを飲んでも大丈夫!
宋先生:WHOでは、初潮が来たらピルを飲んでも問題ないとしています。日本でピルはあまり一般的ではないため、飲んだことのないお母さんはびっくりすると思います。しかし、私は自分の子どもにもすすめるくらい上手に利用することをおすすめしていますよ。
ピルを希望する場合、まずは一度、婦人科を受診します。ローティーンの子には、いわゆる大人が飲むような低用量ピルではなく、黄体ホルモンだけのホルモン剤を処方されることが多いです。
ピルを飲んだことのない方のためにも、ピルの特徴についてお話しますね。
ピルは、生理の予定日をずらすことができる
宋先生:ピルには女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンに似た働きをする成分が入っています。ピルがこれらのホルモンを届けることで排卵をお休みさせ、生理もおやすみすることになります。
初潮が来る年齢は小学5~6年生くらいが多いのですが、そのくらいの年齢になると修学旅行や中学受験など、生理の予定日をずらしたいイベントがありますよね。そんな時、ピルを活用することは可能です。
そもそも、ピルは生理を前にずらすことも後ろにずらすこともできるものです。なので、例えば11月に修学旅行があるとしたら、10月の生理が来た頃に一度受診してください。そして、その日からピルを飲み始めると11月の生理は来ません。
もし、ピルを検討する場合は、ずらしたい月のひとつ前の月の生理が始まったら受診するようにしてください。
ピルには生理痛のような副作用があることも
宋先生:先ほど、ピルを飲むことで生理を前にも後ろにもずらすことができるとお話しましたが、後ろにずらすことはあまりおすすめできません。
なぜかと言うと、ピルには副作用があり、吐き気や頭痛、生理の時のように出血することがあるからです。
11月の修学旅行中の生理を後ろにずらすためにピルを飲む場合、修学旅行中にピルを飲み続ける必要があります。生理はこなかったとしても、人によっては生理時に起こる不調を感じることも……。そのため、どうせずらすなら、前にずらすことをおすすめします。
うれしい効果も期待できる
宋先生:ピルには副作用があるというお話をしましたが、逆に嬉しい効果も期待できます。
ピルを飲むことで子宮内膜が薄くなるので、生理の時の出血量が減り、プロスタグランジンの量も減るので生理痛もゆるやかになります。あとは、PMS(月経前症候群)の症状を改善させたり、にきびを改善させたりする効果もあるんです。
病院に行かないと処方してもらえない
宋先生:ピルは薬局での取り扱いがなく、病院に行かないと処方することができません。
低用量ピルや中用量ピルなど、さまざまな種類があるため、その人に合ったものを選ばなくてはいけないからなんです。中にはピルをのむことができない体質の人もいるので、注意が必要です。
値段は保険がきかないピルの場合、1カ月分で約3000円ほど。月経移動は原則自費診療になります。
生理と上手に付き合える
宋先生のお話を聞いて、小学生でもピルを飲んで良いことが理解できました。修学旅行や受験、発表会など、生理を回避したいイベントの時は、子どもと話し合って取り入れてみるのも良さそう! 飲むことで嬉しい効果も期待できるならなおさらですね。
ピルのことに関しては、生理についてマンガでわかりやすく解説している宋先生の著書「生理だいじょうぶブック」(小学館)にも書いてあるので、ぜひチェックしてみてください。
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構成・文/本間綾