発達凸凹児のママが実践した「おうち効率」とは?「家事効率UP」で子どもと向き合う時間ができた!

家事の効率化のきっかけは、長男の発達凸凹

すっきりとした丁寧な暮らしぶりがInstagramで注目され、フォロワーが12万人を超すmayuさんは、看護師として週5日働きながら、6歳と4歳の男の子を育てるママ。先月発売されたご著書「わが家に心地よい おうち効率」(KADOKAWA)は即重版がかかるほどの人気。ママたちの注目を集めています。mayuさんが家事の効率化を目指したきっかけは、ご長男に軽度発達障害があることだったそうです。そこで、お子さんの育ちと家事がどう関係するのかを伺いました。

2歳になるころに長男の発達凸凹に気づく

長男の育ちにちょっと違和感を感じはじめたのは、長男が2歳になるくらいのころでした。小さい赤ちゃんの頃はわかりませんでしたが、1歳を過ぎ、ほかのお友達と一緒に遊ぶことが増えてくると、こだわりが強い、パニックを起こすことがある、言葉が遅いなど、気になることが増えてきました。看護師として小児の発達についての基礎知識があったこともあるかもしれません。3歳児健診を待たずに、2歳の時に診断を受けました。

もちろん「発達障害」については、以前から知識はありましたが、まさか自分の子どもが‥‥という思いもありました。だけど、早く診断を受けた方が、早く療育につながるということも知っていたので、早めに対応できた方だと思います。

この子が普通だったら‥‥

それまで、たいした悩みもなく生きてきた私にとって、思い描いていた家族像がガラガラと崩れた時期でした。母親になりたくてなったのに、うまくいかない子育て。「この子が普通だったら、こんな思いはしなくてすんだのに」などと、これまで感じたこともないような醜い感情さえも生まれ、自分が自分でないような感覚でした。そして、自分を責め、母親である以上、自分を犠牲にするのは当然だと思い、「全てをこの子にささげよう」と、とことん子育てのみに時間を費やした時期もありました。家事は最低限だし、当然ですが、自分のことは後回し。楽しかった子育てが一転。全く楽しめない苦しい時期でした。

私が一番大事にしたいことがわかる

それでも、苦しんだ時期に子どもと精一杯関われたのは、間違いではなかったと思います。ゆっくりですが長男は成長し、しだいに目の前が明るくなりました。そういう時期を経て、当然といえば当然ですが、私が一番大事にしたいのは、「子どもと関わる時間を最大限確保すること」「家事は二の次で最低限でいい」という考えになりました。普通よりもちょっとだけ丁寧な子育てが必要な子。だからこそ、一番大切にしたいのは、子どもと向き合う時間だと気づいたのです。

子どもに丁寧に向き合えない!

次男を続けて出産し、4年近くの育児休業を経て復帰した私ですが、当初は1時間の時短勤務だったので、しだいに長男の疲労が溜まって、生活に支障が出てきました。朝は7時半すぎには登園させ、18時頃に帰宅する生活。フルタイム勤務なら当然のことですが、我が家にとっては、仕事と子育てのバランスがうまくとれず、結果的に子どもに影響が出てきてしまいました。

長男は感覚の過敏さもあるため、集団生活が長いと疲労がたまってしまい、何もできなくなります。私自身も疲れているなかで、夜ご飯のしたくやお風呂の準備をしなくてはならず、つい「早くして!」という指示が出てしまっていました。この子は、丁寧に接してあげないといけないとわかっているのに、その時間を確保できないことに焦りました。

「子どもと関わる時間を最大限確保する」には、仕事を辞めるべきか。思い悩んで、職場に相談したら、上司から「自分の人生も楽しんでいいんじゃない」と言われました。自己犠牲の精神でいっぱいだった私にとって、目から鱗のアドバイス。仕事をやめて一緒に過ごす時間が長くなるからといって、それで本当に解決するの? それがこの子のためになるの?と思い直し、職場の理解を得て、2時間の時短勤務にさせていただきました。

職場復帰前からはじめた家事の効率化

育休明けで仕事に復帰する目前に、復帰後の忙しい生活を見越して、家事を効率化しなければと思い、不要なものを捨て始めました。そして、わかりやすい収納、掃除のしやすさ、仕組み作り、機能的で長く愛用できるもの選びに目覚めました。

そして、少しずつ整っていく家の中で、家事の「おうち効率」が上がってきたことを自覚しました。自分で作り出した仕組み、ルーティン、お気に入りで便利なものたち、それらをうまく使いこなし、家事を減らすことによって生まれた時間を、子どもとの時間に使えるようになると、とても達成感があると知りました。

家族のため、自分自身のために「暮らしを楽しむ」

2時間の時短勤務となり、夕方は16時過ぎに帰宅できるようになりました。そこで、帰宅して30分は、外遊びなど、子どもたちと一緒に体を動かしてあそびます。30分しっかり向き合うと満足するのか、家に戻ってから兄弟で静かに遊んでくれるので、夜ごはんのしたくがはかどります。また、一緒に机について勉強をするなど、それまで丁寧にできなかった子どもと関わる時間、しつけの時間を持てるようになりました。

この時間が、子どもたちに落ち着きをもたらしたのはもちろん、それまで「丁寧な関わりができていない」と、後ろめたさを感じていた私の気持ちが、「やるだけのことはやっている」と、前向きになれました。おかげで「暮らしを整える」「暮らしを楽しむ」ということを、家族のため、“自分自身のため”にも試行錯誤しながら続けています。

家事の「おうち効率」を上げるために

「おうち効率」は、理想の暮らしを思い描いて、わが家にとって何が一番大切なのかを見極めること。

わが家の場合は「特別な子どもだからこそ、成長を促すこと」。そのために、1番大切にしたいのは、「子どもとしっかり向き合う時間」だとわかりました。もちろん「自分の人生のために、仕事も大切にしたい」「ストレスなく、心に余裕をもちたいから、すっきり暮らしたい」ということも大切にしています。

そのためにできることとして、料理や洗濯、掃除、買い物など、毎日やらなければいけない家事を、いかに手際よくやるかも「おうち効率」をあげる秘訣。一般的な方法にとらわれず、わが家が心地よいと思える方法や便利グッズを見つけるとうまくいきます。

わが家の「おうち効率」をあげる工夫

ここからは、わが家がやっている「おうち効率」をあげる工夫の一部を紹介します。

洗濯は夜に部屋干しする

朝は洗濯をする時間がないので、洗濯機は夕方、子どもとお風呂に入ったあとに、着替えたものを入れて回してしまいます。そして、夜ごはんのあとに、ダイニングに干します。育休中までは普通に朝、洗濯して、2階のベランダに干していましたが、仕事復帰後は日中の留守中に急な雨に降られることもあるし、冬場は帰宅前に日が落ちてしまうので、平日は部屋干しにすることにしました。

幸い、ダイニングが日当たりがよいので、夜に干せば、翌日の夕方までには乾いています。冬は加湿効果もあり一石二鳥です。洗濯機がある脱衣所からも近いし、部屋で遊ぶ子どもたちの様子を見ながら干すことができるので、「ママ」と呼ばれても、すぐに対応できます。

きっちりとした片付けはしない

朝はトイレ、洗面所付近のついで掃除だけ。リビングはお掃除ロボに頼ります。インスタには片付けたあとの部屋の写真をアップしているので、「いつもきれいに片付いていますね」と言っていただけますが、そんなわけはありません。

うちは男の子2人なので、あまり神経質にさせたくないという思いもあり、片付けはざっくりとカゴに入れるだけでよしとしています。片付けるのはごはんの前と出かける前だけ。それ以外は散らかしてもOKとしています。

洗濯物はリビングにあるカゴにポッと入れるだけ。すぐ近くにあるから、夫も子どもたちも靴下を脱ぎっぱなしにすることがありません。もし、その辺にあっても、私がカゴにポイッとすればいいので気になりません。

平日のメニューは定番化、週末に特別感を楽しむ

毎日の献立を考えるのもひと手間ですよね。献立に迷う時間ももったいないので、うちではメニューをだいたい同じにして定番化しています。「つくりおき」は週末が潰れてしまうし、かといって、全てを1から作ると時間がかかるので、下ごしらえを多めにして、翌日のレシピでもそれを使うようにしています。つまり、1品は前日の下ごしらえの材料を生かしたアレンジレシピにするようにしていて、もう一品を何にするか考えながら帰宅します。

わが家の定番は「丼もの」「麺類」「(チャーハンなどの)ごはんもの」「焼くだけのもの」「煮込むもの」です。時短で作れる簡単なものが中心。とにかく、平日は料理には手間をかけず、子どもを早く寝かしつけることを優先しています。その分、週末にはパンを焼いたり、子どものリクエストで特別メニューを作ったり、ゆっくりと料理を楽しむようにしています。

限られた時間だからこそ大切なことを優先

子育てに悩むことも、母親として、ひとりの人間としての自分に悩むことも、今の暮らしを見直したい、毎日笑顔で子どもに向き合いたい、自分自身も何かを楽しみたいという気持ちも、きっと誰にでもあると思います。

しかし、私たちには与えられている時間は限られています。何もかも全てを完璧にやることは難しい。ならば、何を優先するのかを決めることが大切。そして、優先度が低いものは、あえて「しない」ことも大切だと思います。

少しだけ大変かもしれない子育てをしているわが家ですが、子育てや家事の方法だって、他と比較する必要はありません。それぞれの家庭や自分に合う方法、幸せのありかたはきっとあると思います。私らしく、わが家らしく、目の前の日々を大切に暮らしていけたらと思います。

 

お話を伺ったのは

mayuさん

32歳。6歳、4歳の男の子のママ。看護師として週5日勤務。高校の同級生で、遠距離の学生時代を乗り越え結婚した夫と、築5年の戸建てで4人暮らし。Instaのフォロワーは12万人越え。

Instagram@mayuru_home

わが家に心地よい おうち効率 (KADOKAWA)

構成/江頭恵子 写真/佐藤 朗(わが家に心地よい おうち効率 より)

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