3歳児子育て中のお悩み、モンテッソーリ流に解決します!
4月から幼稚園に通い始めたり、保育園で進級して新しいクラスになったり、環境に変化が起こりやすい3歳児。どのようなお悩みを持っているママが多いのでしょうか? 早速見ていきましょう。
Q. 登園の時、大泣きしてママから離れません!
A. いつもより触れ合う時間を長めにすることを意識
幼稚園に入ったばかりの頃、保育園で進級してクラス替えがあった時、新しい環境になかなか慣れることができずに、朝泣いてしまうことはありますよね。泣かないで行けるようになったと思っても、週末をはさんでまた振り出しに戻る、なんてこともあるかと思います。私たち大人でも、新しい職場やコミュニティに慣れるのは時間がかかる人もいます。早く慣れなくてはいけないのではなく、その人のペース、その人らしさが大切!焦らずに見守っていきたいとは思うものの、毎朝、付き合うのは大変です。
声かけ例(送り)
- 子ども:「ママと一緒にいたい!」(大泣き)
- ママ:「そうだよね。ママも〇〇ちゃんと一緒にいられたらうれしいと思っているよ。必ずお迎えに来るから、それを楽しみにしてお仕事頑張って来るね!」
- ↑このように声かけをしても子どもが泣きやまない場合、先生にバトンタッチしてその場を去って大丈夫です。
声かけ例(迎え)
- 子ども:「ママー!」
- ママ:(ハグをする)「〇〇ちゃん、待っててくれてありがとう。頑張ったね」
子どもが泣いている時にその場を去るのは、後ろ髪を引かれる思いがあると思います。また、毎朝同じように泣かれると「また?」と感じてイライラしてしまうこともありますよね。大人は「〇時までは仕事して、〇時に迎えに行って」と見通しを立てることができますが、年齢によってはまだ子どもは大好きなママと離れてから迎えに来るまでの見通しを立てることができません。ママとのお別れがまるで永遠のように感じてしまい、毎朝泣いてしまうことがあるのです。
お迎えに行った時、「〇〇ちゃん、えらい!今日、幼稚園がんばったからお菓子買ってあげる!」などと、必要以上に褒める必要はありません。「頑張ったね」と認め、「待っててくれてありがとう」と感謝をするようにしましょう。そして「ママ、お仕事している時に〇〇ちゃんは何しているかな?って考えたんだ」などと話したり、いつもよりスキンシップを多くしたり、言葉や身体で触れ合う機会を多く作りましょう。
Q. 朝、着替えるのを嫌がって時間がかかります
A. 着替えがしやすい環境作りを心がけましょう
4歳ころになると、少しずつ数字がわかるようになってくるので、時計を使って促すことも有効だと思います。しかし、その概念がない間は、どんなスピード感で身支度すればいいのかがピンとこないのかもしれません。とはいえ、家を出る時間も決まっていますし、毎朝のんびり付き合っていられないですよね。身支度をスムーズに行ってもらうために必要なのは「環境」です。着替えは洋服を選ぶところから始まっています。日ごろから子どもが自分で洋服を選ぶことができる環境づくりをしてみましょう。
着替えがスムーズにできる環境
①着替えをするタイミングを固定する
朝食後、起きてすぐなど、着替えるタイミングを朝のルーティーンに組み込みましょう。
②洋服の収納を工夫する
トップス、ボトムス、靴下、下着など、子どもの朝の着替えに必要な洋服はそれぞれ3枚ずつくらいを厳選して収納ボックスに入れておきます。そこから子どもが好きなように選べるようにします。
③着替える場所に小さいいすを置く
3歳の子どもは立ってズボンに足を通す行為がまだやりづらく、ふらついてしまいます。足の長さが20㎝くらいの低いいすを着替えスペースに置いてあげるとスムーズに着替えができるように!
着替える行為の前から子ども自身がかかわることで、着替えが他人事から自分事に切り替わり、身辺自立にもつながります。子どもが選んで着た洋服を「それはやめて」「こっちにして」ということをくり返すと、無能感を感じてしまいます。どう組み合わせてもいいような洋服を置いておいたり、ちょっとおかしいかな?という組み合わせでも良しとしたり、なるべく否定や訂正をしないようにしましょう。
もし、選ぶことも着替えることもしたくない!とぐずる場合は、一度その場から離れて冷静になるまで待つのが一番です。
Q. マイペースで朝の身支度に時間がかかります
A. 急がせる必要はありません。自分で気づくことが大事!
人には生まれ持ったペースや波長があります。もともとゆっくり、のんびりしている子をテキパキ動けるようにするのはとても難しいことですし、そのように考える必要はありません。あくまでも自分のペースで自分で考えて行動し、経験を積んでいくことが大切。その経験の中で「もっと早くやらなきゃ!」と気づいていくこともあると思います。
自分のペースで行動していてもいいですが、時間に遅れるなどの理由で、「今やってほしい」ということもありますよね。
子どもに行動を促したい時のポイント
①子どもの視界に入って話をする
子どもが何かに気を取られている時は、声かけがBGMのように感じて聞き流されてしまうことがあります。まずは視界に入って「〇〇くん、お話していい?」と声をかけましょう。
②子どもが自分で考えて行動に移す
「今、何をする時間だっけ?」と、子ども自身が考えることが大切です。いきなり「今は〇〇するでしょ?」と言うのではなく、まずは聞いてみましょう。
③選択肢を出してやる行動を細分化
「着替えなさい」ではなく、「上から脱ぐ?下から脱ぐ?」と、選択肢を示すことで、すぐにアクションを起こすことができます。
このように行動を促すことで、マイペースな中でもやるべき行動ができるようになります。登園途中に「幼稚園に着いたら何をするんだっけ?」と会話しながら、やることリストを整理してあげるのもいいですね。
「早く準備をしたら、その分遊べるんだ!」などと、自分が行動する中から早くやることの重要性を感じることも大切です。また、それを理解してもゆっくり準備したい子もいます。やるべきことをやることは必要ですが、早くやる必要はありません。
集団生活も始まり自我が確立してくる3歳
ママやパパから離れて、少しずつ自分で何かを楽しんだり、行動したりすることができるようになる3歳。とはいえ、環境の変化に対応できない、時間という概念がない、見通しが立てられないなど、まだまだ未熟なところもたくさんあります。今、どんなことに興味があって、何を楽しいと感じているのか。逆に、何をするのが苦手で、どんなことで落ち込むのか。子どものさまざまな姿を観察し、寄り添っていきたいですね。
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記事監修
モンテッソーリ教師あきえ
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。
あきえ先生主宰オンラインスクール「Montessori Parents」
取材/本間綾