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そもそも”読解力”とはどういう力のこと?
__最近、読解力という言葉が注目されているように感じるのですが、2020年の教育改革の影響でしょうか?
石田先生:「読解力」は以前からずっと問われている力です。2020年の教育改革で注目されたのは「思考力」ですね。「思考力」に付随して読解力も再注目されているのかもしれませんね。思考力と読解力は完全にイコールではありませんが、かぶる部分があるので、そういう印象が強いのだと思います。
「読解力」は文字通り、書いてあること読んで理解すること。それを理解した上で考えるのが「思考力」ですからね。「なぜ君はこのように考えるのか?」という問題は「思考力」ですが、「筆者は文中で何が言いたいのか」を問われる問題は「読解力」なのです。似ているようで違います。
__では、読解力がある子・ない子の違いとは?
石田先生:読解力がない子は、文章の活字を目で追ってるだけの子が多いです。学校でやる音読も、実は読解力をつける作業ではないんです。読解力がある子は、文章の中に入って意味を理解していきます。初めてみる文章(例えば模擬テストなどに出てくる問題文)を読んでも理解できる子は読解力があると言えます。
また、文章だけでなく、人が話をしている内容を理解する力のも実は「読解力」なんです。違う言い方をすると“聴解力”とも表現できるかもしれません。
読書好き=読解力があるとは限らない
__読書が好きで本をたくさん読む子でも、国語のテストで点が取れないという話をよく耳にします。
石田先生:読書が好きな子は、ある程度読解力があるとも言えますが、国語の問題を解くということは、訓練が必要です。
国語のテストでは、「物語文」と「説明文」の2つに分かれています。
物語・小説文は、必ず背景・出来事・心情変化、この3つのことが時系列で構成されています。そこが問われる部分なのです。もう一つの説明文は、序論(文章の大まかな内容)・本論(具体的な話)・結論(まとめ)パターンの構成です。なので、書き方がそもそも違います。
子どもが読む本は、物語が多いので、時系列とか気持ちの変化などは、文章をたくさん読んでいると情景が浮かんで、登場人物の気持ちがわかって問題が解けることが多いです。しかし、説明文になると途端に解けなくなることが多いのです。でも、それは説明文系の文章を読み慣れていないだけ。解き方を教えると解けるようになります。
__学校では解き方を教えてくれないのでしょうか?
石田先生:読解のテクニックは、学校でも塾でも教えてくれないところが多いんです。解説はしてくれている塾はありますが、解き方と解説は違います。どうやって文章を目で追い、どこをゆっくり読んで、わかりにくい所は二度読む…というようなことは教えてくれないですよね。
半分くらいの小学生は、教科書の内容を理解していないと言われています。音読ができる=文章を理解していると勘違いしているからです。
子どもの読解力を高める方法は、対話しながらの読み聞かせ
__では、家庭で読解力を伸ばすための方法はありますか?
石田先生:読解力を上げるためには、親御さんは子ども達に「読み聞かせ」をしてあげることが重要です。そして、大人が読みながら質問して、対話型にしていきます。
子ども達は「聞く」・「話す」は慣れていますよね。でも、「読む」・「書く」ってとってもハードルが高いスキルです。学校では、難しい「読み」・「書き」を突然やってしまっています。だから、大人が読んであげて質問していく。問題文も読みあげて、「この問題の答えはどれだと思う?」と聞くと「多分これだと思う」などと自分なりに答えてくれるので、「それはどうしてそう思うの?」「要するにどういうこと?」と質問しながら解いていくと、読解できるようになっていきます。
まずは読み聞かせをしながら、対話方式で答えを導いてあげましょう。慣れてきたら自分で読ませたり、解かせたりすることで成績は上がっていきますよ。
読書感想文のコツは、印象に残ったところに自分の経験を加えること
__「読書感想文」も読解力がカギになりますか?読解力がない子もうまく書けるようになるにはどうしたら良いのでしょうか?
石田先生:「読書感想文」は印象に残った部分が大切です。そこに登場人物と似たような自分の経験を入れます。さらに気持ちを左右する言葉を加えましょう。気持ちの表現は光村図書の「言葉の宝箱」を参考に、学年ごとに適した心情表現がリストアップされているので、そこから選んで入れていけば完成します。あらすじを書くことが読書感想文ではないですからね。
ただし、書く作業は読むことよりも高度な作業なので、これも対話型で親御さんが導いてあげると良いと思います。子どもに何か質問しても「なんとなく・・・」と答えることが多いのですよね。そう言われたら「どのあたりでなんとなくいいなと感じたの?」「どの言葉でそう感じたの?」などと、印象に残ったところや、なぜそこが印象に残ったのかなど、深掘ってあげてください。言葉をメモしてあげると書きやすくなりますよ。文章量が足りない場合は、印象に残ったところを複数箇所抜き出すことで補うことができます。
「言葉の宝箱」はこちらからD Lできます
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/2716/7602/5877/2020k_guide_03.pdf
この夏は、読書感想文を通して読解力もアップさせよう
石田先生が教えてくれた読書感想文の書き方は、読んで感想を言って、そして書く!まさに読解力U Pの方法そのものでした。毎年の憂鬱な宿題T O P 10入りしそうな読書感想文ですが、この夏は、親子で読解力U Pのために、読んだ本の感想を親子で話し合いながら、感想文を書いてみてはいかがでしょうか。
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お話を聞いたのは
★石田勝紀YouTubeオフィシャルチャンネル
★Voicyパーソナリティ
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石田勝紀先生の公式HPは>こちら
文・構成/鬼石有紀