「けんか祭り」ってどんな祭り?
けんか祭りとは、どのような祭りを指すのでしょうか。内容や名前の由来を見ていきましょう。
激しくぶつかり合う祭り
けんか祭りとは、祭りの最中に2基以上の神輿や山車などが激しくぶつかり合う祭りのことです。ぶつかる様子が、まるでけんかをしているかのように見えるため、「けんか祭り」と呼ばれています。
祭りによって登場する出し物などは違うものの、いずれも大変迫力があり、例年多くの観光客で賑わいます。なお、お札の取り合いや押し合い、悪口の言い合いなど、人同士が競う祭りもけんか祭りの一種です。
けんか祭りは日本各地で行われています。行けそうな祭りがあれば、実際に見学してみるとよいでしょう。
東北・北陸地方の有名な「けんか祭り」
まずは東北・北陸地方の有名なけんか祭りを紹介します。なお開催予定は、2024年8月現在の情報です。見学の際は、公式サイトで正確な最新情報を確認しましょう。
秋田県仙北市「角館祭りのやま行事」
「角館祭りのやま行事」は、秋田県仙北市で毎年9月7~9日に開催される祭りです。約400年の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
2016年には、「山・鉾・屋台行事」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。祭りでは武者人形や歌舞伎人形で飾った曳山に、お囃子の演者や踊り手が乗り、演奏と踊りを披露しながら町内を練り歩きます。
曳山とは、豪華な装飾を施した山車のことです。道中、曳山が鉢合わせした場合は通行権を巡る交渉が行われ、決裂すると力で勝負する「やまぶっつけ」となります。この「やまぶっつけ」はお囃子などにも力が入り、盛り上がりを見せます。
福島県福島市「飯坂けんか祭り」
「飯坂けんか祭り」は、日本三大けんか祭りの一つに数えられることもある有名な祭りです。福島市郊外の飯坂温泉にある飯坂八幡神社で10月上旬に開催される例祭で、正式には「八幡神社例大祭」といいます。
祭りの見どころは、神輿と一緒に練り歩く「屋台」と呼ばれる山車が6台、神社の境内で激しくぶつかり合うシーンです。祭りの起源は12世紀後半頃とされますが、神輿とともに屋台が出るようになったのは江戸時代後期から、ぶつけ合いが始まったのは1933年からと伝わっています。
2024年の開催予定は、10月4日(金)~6日(日)の3日間です。
富山県高岡市「伏木曳山祭」
「伏木曳山祭(ふしきひきやままつり)」は、富山県高岡市の伏木神社の春季例大祭です。6台の曳山が荒々しくぶつかり合う行事「かっちゃ」にちなみ、「けんか山」とも呼ばれています。
祭りに使う曳山は、各町内自慢の1台です。昼間は御神体を乗せ、花飾りをつけた華やかな姿を見せますが、夜になるとたくさんの提灯をつけた山車に変身します。
祭りの開催日は例年5月の第3金曜と土曜と決まっており、2024年も5月17日と18日に実施されました。
近畿地方の有名な「けんか祭り」
近畿地方では、兵庫県と大阪府で有名なけんか祭りが開催されています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
兵庫県姫路市「灘のけんか祭り」
「灘のけんか祭り」は姫路市白浜町にある、松原八幡神社の秋季例祭の名称です。「妻鹿(めが)のけんか祭り」や「灘まつり」などとも呼ばれています。
数あるけんか祭りの中でも最大規模を誇るとされ、国内はもちろん海外にも広く知られています。祭りの見どころは、3基の神輿と7台の屋台が繰り広げるぶつけ合いです。神輿は神社から西に約1km離れた「御旅山(おたびやま)」へ渡御しますが、出発前から激しくぶつけ合うために、到着する頃にはすっかり壊れてしまいます。
3~4台が同時にぶつけ合ったり、夜には電飾で華やかさを演出したりと、屋台も負けていません。開催日程は例年10月14・15日の2日間ですが、変更の可能性もあるため注意しましょう。
大阪府岸和田市「岸和田だんじり祭」
大阪府の岸和田市で開催される「岸和田だんじり祭」は、江戸時代中期に五穀豊穣を祈願するために始まった「稲荷祭」が起源と伝わる伝統行事です。
「だんじり」とは山車のことで、西日本特有の呼び方です。「岸和田だんじり祭」では、重さが約4tもある巨大なだんじりを、500~1,000人が力を合わせて動かします。
特に、走って勢いのついただんじりが直角に曲がる「やりまわし」は、最大の見どころです。祭りは例年9月と10月の2回開催されており、2024年の日程は以下の通りです。
●9月:14日(土)~15日(日)
●10月:12日(土)~13日(日)
四国・九州地方の有名な「けんか祭り」
四国や九州にも、勇壮なけんか祭りがあります。それぞれの有名な祭りを紹介します。
愛媛県新居浜市「新居浜太鼓祭り」
「新居浜太鼓祭り」は、愛媛県を代表する祭りの一つです。町内ごとに「太鼓台」と呼ばれる山車が出て、市内を練り歩きます。高さ約5.5m、重さ約3tと大きな太鼓台を担ぐのは、約150人の男衆です。
市内にはいくつかの「かきくらべ」会場が設けられ、複数の太鼓台が集まって担ぎ技を競います。太鼓のリズムに合わせて、担ぎ手が太鼓台を高々と持ち上げる「差し上げ」は大変勇壮で、祭りの最大の見どころとなっています。
例年10月の3日間で開催されますが、2024年の予定はまだ発表されていません。
新居浜太鼓祭り – 愛媛県新居浜市ホームページ|四国屈指の臨海工業都市
佐賀県伊万里市「伊万里トンテントン祭り」
「伊万里トンテントン祭り」は、佐賀県伊万里市の伊萬里神社御神幸祭です。祭りで使う太鼓の音にちなんで、このように呼ばれています。
祭りの見どころは、市内各所で繰り広げられる神輿と団車(だんじり)の「合戦」です。最終日には両者が組み合ったまま川に落ちる「川落し」が行われます。
この勝負は陸に早く引き上げられた方が勝ちで、神輿が勝てば豊作、団車が勝てば豊漁に恵まれるとされています。
2024年は、10月19日(水)〜27日(日)に開催される予定です。
迫力のあるけんか祭りを見に行こう
巨大な神輿や山車がぶつかり合うけんか祭りでは、担ぎ手や曳き手の気合が観客にも伝わり、会場全体が一つになって盛り上がります。普段の生活では感じることのない熱気や迫力を堪能しに、家族でけんか祭りを見学しに出かけてみるのはいかがでしょうか。
小さいお子さんを連れて見学の場合は山車からじゅうぶん距離をとり、人混みを避けて観覧するなど、安全面にもじゅうぶん注意を払うようにしてください。
※本記事は2024年8月時点での情報です。
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構成・文/HugKum編集部